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テーマ:心のかたち、人のかたち(951)
カテゴリ:子供
たとえ月が満ちていても、おぎゃーと泣いて生まれてこれなければ水子とされる。生まれて来れなかった霊を、心に強く思うと取り憑かれてしまう。
水に流して忘れなくてはいけない。だから水子という。 骨壷も残さない。所詮生まれて来れなかった命なのだと。お坊さんがそう言ってたと。 早く忘れ、気持ちを切り替えて、新しい生活を始めなさい、と、とても判りやすく諭してくれているのだと思います…。 今は思ってもいい。けれども火葬後はもう口にしてはならない。水子がこの世から離れられなくなるから。 オペ後から家族にずっとそう諭されてきて、考えていました。 一理あるな。判るんです。経験と重なってすごく納得する話であるんです。 子供の頃から母に、私の二人の弟を姑の強要で中絶したと聞かされ続けてきました。 私や兄もそうされそうでしたが、弟たちは産ませてもらえなかったと。順番が違えば私は居なかった。希薄な生存感と家族に対する人間不信で暗い青春時代を送り、精神を患いカウンセリングと通院の日々。。。 大人になった今では、子供に決して話すことではないし、私に持ち越さず両親の間できちんと解決して欲しかった、と思います。母は水子に取り憑かれたのでなく、自分の境遇を憐れむあまりむしろ水子に取り憑いて天国にいかせようとしなかったとさえ思います…。 それはさておき、上の子供たちにも霊が取り憑いてしまう、と言われるのは辛いです。 この子が大切なのは勿論ですが、今居る子供たちの将来を優先するのは当然の努めですから。 でも、5ヶ月間も、ましてやこの1ヶ月は二人で手を取り合って命をかけて闘ってきたのに、亡くなるやいなや水子と忌み嫌われてしまうのは、何だか心痛くないですか…。 ******************************* 昨夕病院に迎えにいって、家族5人で最期の一晩を過ごしました。 翌朝、小さな箱に眠る赤ちゃんにほおを寄せ、ハンカチのおくるみに包むと、子供たちと花を摘みに出ました。入院した時は野も山も枯れ枯れだったのに、もう、いつの間に世の中はこんなに春になってしまったのでしょう…。 アネモネが、風に揺れています。チューリップが朝日を含んでふくらんでいます。 忘れな草が。ラナンキュラスが。パンジーが。いつの間に。そんな風だったのかしら。 子供たちがしろつめくさやたんぽぽの花を沢山摘んできました。 まるで、うさぎの棺みたいなんだけど…うちで一緒に遊んでるみたいな感じがするから、お庭の花がいいかな。小さな棺は春のお花で一杯になりました。 主人が、ロザリオを真ん中に置きました。入院中ずっと持っていたのだそうです。私は手紙とよく身に着けていたピアスを入れて、タオルでお魚の形のにぎにぎを作ったのを。子供たちは折り紙を色々折って入れました。 11時。町の火葬場へ行きました。 『お骨はどうされますか?』と聞かれたら、丁重にお断りする段取りでした。 が、『お骨はきちんと拾わなくてはなりません。』そう言われて、小さな骨が飛んでしまわないように、レンガでしっかりと囲ってくださいました。 『水子さんは年に2、3回ほどですが、きちんと拾うようにしてもらっています。家のお墓に入れられても良いですし、とにかくきちんとお寺に供養してもらわないといけません。』そうおっしゃって、とても慎重に残すように焼いて下さいました。 『水子は親族ですから、家族を守る霊です。ただ、繰り返し起こってはならないことなので、、特にお母さんが主となって、きちんと供養をして、子孫を守るのです。水子供養をしてくれるお寺は沢山ありますから、あたってみられるとよいですよ。』 小さな骨を丁寧に一緒に探しながら、とても詳しくお話下さいました。昨日は一杯で今日になり、お忙しい中ですのに、火葬代は市の負担だから、と骨壷代500円だけを受け取られて、こんなに丁寧に対応してくださった職員さん。人にあまり聞ける話でなし、本当に有難かったです。家はお寺の方だそうです。家族を守る良い霊だとおっしゃてくれたのが、何より嬉しかった。この子を妖怪みたいに忌み嫌う道理なんて、無いですもの。 お墓はあるにはあるのですが、墓を開けてお経を上げてもらうとなると、とてもたいそうになってしまいます。近くの法華山一乗寺が水子供養で有名だから、と、電話で尋ねて、こちらに明日収めることになりました。 駐車場のあたりで水子供養の受付はこちら、と声をかけるのは別の業者の方ですから、気をつけてください、と言われました。全く信じがたいことですが、そんな商売を思いつく輩がいるのですね。人の気持ちを何だと思っているのでしょう…。 ******************************* 同じような思いを、心に抱いている人、沢山あるのですね。 『短い間だけど、お腹に居てくれて、ありがとう。』 入院初日、点けたTVでいきなり登場した時…まさにこんな時に、何てこと言うんよ!サーっと血の気引いたんですけど…まさか、自分がこうして見入ることになるなんて…。 結果。私も参加しました。ポコズママの会 体験談は重いですけど、乗り越えて喜びをつかんだ報告に、救われます。 みんなすごいな、って思います。 私は年齢もそこそこですし、二人の子がありますから、今回の妊娠は、全く思いがけず恵まれたことを素朴に喜んでいました。 今回の家族の心労や、自分の至らなかったこの子の姿を思い浮かべると、とてももうひとりなどと望むべくもありません。この子の代わりが欲しいなどとは思っていません。でも、それは上に子があるから。そうでしょう。もう充分でしょう…。けれど、初めての子がこうだったら、自分がそうだったら。次は、とても勇気が要ることでしょう。こんなに沢山、そうした悲しみを前向きに受け止めてすすんでいるひとがあることに、驚き、励まされます。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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