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Maryam's HP 日記

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Hiro Maryam

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2015年10月25日
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テーマ:短編を作る(405)
カテゴリ:素描



この次に春がやってくるとお役御免となるランドセルを寄せ合い息弾ませ、

今日一日の出来事に夢中になってみかん畑に沿った坂道歩き続ける。


かなりの勾配ある登り道なのに、

ときどき冷えた手のひら口にあて、笑いあう少女たちはそれを気にする様子なく、ゆっくりゆっくり登りゆく。


会話以外のことは全く無頓着な少女たち。


それでもかなり下方から、エンジンが悲鳴あげ登り来る車には気がついたようである。


しかしその車がかなり近くにやってきても、ふたつのまあるい唇は転がる動きを止めようとはしない。





坂道の先には彼女たちの歩進める山よりも、ずっと奥に続く山の端(は)に、身を潜む夕陽の影。


まだ秋微かに残す陽は橙色で、幼さ残る二人の柔らかき頬をほんのりと愛おしそうに染めて差しいる。




一匹の野良犬が、骨と皮ばかりの背を引き伸ばし這いつくばって、みかん畑の倉庫下の隙間を抜け入る。


倉庫の下には小さなスペースがあって、そこではお腹空かせた子犬が4、5匹、
彼女の帰りを首長くして待っているのだろうか。




重さの感じられないカラスウリの実は干からびた蔓の先に…

鴉にさえも見向きもされなかった柿の実は、恨めしそうに薄暗くなりゆく空に浮かぶ。


晩を告げ吹く風に、どこからともなく夕餉の匂いが流れ漂ってくると、


この二人の少女の長いようで、短い帰路の終わりも近づいてくるのだった。








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Last updated  2015年10月25日 05時39分36秒
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