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カテゴリ:読書
へうげもの 1 (1) 作者: 山田芳裕 出版社/メーカー: 講談社 発売日: 2005/12/22 メディア: コミック ISBN:4063724875:detail 信長、秀吉、家康、光秀、宗易(利休)・・・いろいろいるけど、主人公は!!古田左介だ。群雄割拠、下剋上の戦国時代。立身出世を目指しながら、茶の湯と物欲に魂を奪われた男がいた。織田信長の家臣・古田左介。天才・信長から壮大な世界性を、茶聖・千宗易(利休)から深遠な精神性を学び、「へうげもの」への道をひた走る。生か死か。武か数奇か。それが問題だ! 山田芳裕といえば、出世作の「デカスロン」や好事家に人気の「度胸星」などのダイナミックで強引な展開とデフォルメ効き過ぎの画風で知られる奇特な漫画家ですが、この人は初期には「考える侍」「大正野郎」といった『粋』をテーマにしたマンガもあり、売れセンではないのですがこちらのほうも魅力的なのですよ。 この「へうげもの」は、商業ベースにのることを考えながら初期の作風にも似た『粋』への追求がうかがえる、かなり期待をさせる作品ですよ。 戦国時代もので主人公が古田佐介(のちの古田織部)って段階ですでにものすごいんだが、それが地味な話にならずにスピードのある展開になってるのもすごい。 武人として生まれたからには、主君・織田信長のような大大名に、と思いつつも、ついつい「信長様が帝から譲り受けた香木」や「信長様がお召しの"びろうど"」「天下に知られた平蜘蛛の茶釜」といった「物」のほうに欲望が向いてしまう古田左介。名物に対する執着と数寄であることへの憧れが、山田芳裕のデデーンとした絵によっておもしろ切実に描かれています。 信長もなぜかピアスしてるし、鎧はあり得なさ過ぎるし、見開きページ多いし、本能寺の変の解釈も独特で斬新な描き方で、畏れ入る。 戦国ものなのに戦がメインではなくて、茶入や茶釜などの名器が主役。 これからのこの物語のテーマになってくることなんでしょうが、戦国時代ってのは国盗り合戦でワーワーやってたのはもちろんですが、その一方で日本の歴史上ほかにないくらいの、価値観の転換が行われた時期なのです。もっといえば、新しい価値観が生まれた時期。 今に通ずる「侘び・寂び」の文化というのはこの時代に生まれたもので、そのために千利休などは文字通り命をかけて戦っていた。 この「へうげもの」はそんな文化革命をなしとげた(なしとげようとしている)男たちを描いています。 前田慶次を描いた「花の慶次」が「傾奇者」という概念を知らしめたように、今度はこの作品が「数寄者」という在り方を再び世に出すのかもしれません。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006/05/22 02:44:27 AM
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