|
カテゴリ:読書
西暦2010年、日本初の有人宇宙探査ロケット「獅子号」が市街地に墜落し、主人公アスミの母を含め多くの人がその事故の巻き添えで後遺症に苦しんだり死亡するという大惨事となった。 そんなある日、事故で母親を失った幼いアスミは、墜落したロケット獅子号のパイロットの幽霊「ライオンさん」と出会う。アスミはロケットの運転手になる夢を抱き、その目標に向かって物語が動き始める。 ひさしぶりに、いい作品に出会いました。 とにかくまっすぐで、くもりがない。 夢とか、ロマンとか、そんなことを疲れることも疑うことも知らない少年のように語れるなんて、この作家はどんな人なんだろう。 絵が優しくて、まるで子どもの頃にチラシの裏に書きためたマンガを読んだみたいに、懐かしい気持ちになる。 登場人物たちのセリフが切なくて、会えなくなってしまった友人と再会したみたいに、くすぐったい気持ちになる。 単行本には連載する前に読み切りで描かれていた話も載っていて、それがいい。いいのよ。 宇宙飛行士になるお話なので、訓練の場面とかもあるんだが、そういった要素は物語をまわすためではなく主人公の性格を語るための、主人公の夢を乗せるための道具としてしか描かれない。苦労したり努力したり、友情とか淡い恋とか、マンガを構成するそんな要素はこの作品では主人公の意志を描くための舞台に過ぎない。 「ロケットの運転手になるんだ」という夢が、既定の事実としてあり、それだけに向けて走っていく主人公。 ゆるぎなくて、まっすぐで、力強い。 じんわりしたかったら、ぜひ読んでください。 人はけっしてひとりじゃないと教えてくれる。 生きるってのは目的のためじゃなくて夢のためなんだと教えてくれる。 空は、星は、いつまでもそこにあるのだと教えてくれる。 抜群です。 私の一番好きな漫画家でありますよしもとよしともさんが「オモロすぎ。泣いた泣いた」と言っていたそうです。小3の娘さんもハマって「父ちゃんあたし宇宙飛行士になるよ」と言っていたそうです。 よしもとよしともが手放しでほめるなんてあんまりないんではないだろうか。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2006/06/16 02:50:22 AM
コメント(0) | コメントを書く
[読書] カテゴリの最新記事
|