|
カテゴリ:塾
中学三年生は、夏休みの宿題に「税の作文」というのがあります。
東京だけでなく、各地で税金の作文書かされてます。 去年の夏期講習のときに「税の作文はこう書け!」というのを作って配ったのですが、今年もその改訂版を掲載しておきます。 【 夏期講習 「税の作文」はこう書け! 】 まず、作文を書く上で大切なのは「1.何について 2.どう思うか」をはっきりさせることです。 1. 「何について」とは、内容のこと。 内容は、「税について」に決まっている。それ以外にないです。 2. 「どう思うか」はつまり、自分の意見。 しかし実は、これも決まってしまっているのです。 本来ならば、文章とは自由に何でも書いていいものなのだけれども、 今回は「東京都主税局」が募集している作文です。 「税金は、大切だ」という、税に対して賛成の立場で書く以外には、ないのです。 税金なんて必要ない、という立場は、ありえない。 つまり、 「こんなことがあった、だから税金は大切だと思う」 「こういうことがある、だから税金は大事につかうべきだ」 という結論になるしかない、ということです。 具体的な流れとして、以下のパターンをすすめます。 [1] 話題 税の、どんな面についてのことを作文に書くのかを書く。 この段落をわかりやすくまとめるためには、 「税は必要なのだろうか」 「税金は本当に役立っているのだろうか」 などと、疑問の形で問題を提起すること。 疑問の形にすることによって、何を問題として作文を書くのかが明確になるし、 その質問に対する自分の結論を書くことによって自分の意見をはっきりすることができる。 ただ思ったことを書いただけでは、まとまりのない文章になってしまう。 たとえば、「税は必要なのだろうか」と疑問を示して、 最後に、「やはり税は必要だ」と答えを書くことで、 主張の通ったすっきりした流れの作文になります。 「~~だろうか?」という疑問に「~~である」という答え。 これが論文の型です。 [2] 体験 話題をうけて、自分の体験や調べたことなどを書く。 「こんなことがあって、税に興味を持った」 「税金について調べてみると、こんなことがわかった」 なんとなく書き始めて、とりあえず書き終えました、というのではなく、 ゴールを設定してそれに合ったネタを並べるのがコツです。 自分の体験やニュースで見たことなど具体例を書いて、 「だから~~だと思う」というように書く。 もちろん、体験とはいっても事実そのままである必要はない。 ウソもオッケー、誇張も歓迎。 自分の都合もいいようにでっちあげましょう。 [3] 意見 話題をうけて、自分の意見を書く。 基本的な形としては、 「~~だという人がいる。たしかにそれは~~だ。しかし、……だ」という形。 重要なことは、 はじめに「~~だという人がいる」と一般的な意見を書く。 自分の結論とはちがう意見も書いて、あとから 「それではいけない」と否定する形にする。 まず反対意見を書いて、「そう言う人もいるが、本当は……だ」と書くことで、 「はばひろい物の見方をして、こういう結論になったのだね」 という気になる。 いかにも深い意見という気がしてくる。 だから、前に書くのはちょっと駄目な発想であるほうがよい。 そして、「実はこうなのだ」とあとから書く。 [4] 結論 最後に自分の結論を書いて、作文をまとめる。 結論は短く、三行くらいにまとめるのがよい。 次に、各部でよく使われる表現や、こんなことを書いたらいいんじゃないかな というネタを書きます。 参考にしながら、自分が書くことを考えてみてください。 [1] 話題 … いちばんはじめに、とっかかりをつくる。 自分と税というのは関係のうすいものなので、 自分と税金を結びつけるような書き出しがいい。 この導入部は、いろんなバリエーションがあって、頭をひねるところです。 作文を書く上でいちばん大切なのはここで、 「ほうほう、ふむふむ」「なにそれ?」「で、何の話?」 と読む人の興味をひくことができたらしめたもん。 作文に書きやすそうな例を書いてみます。 この中で、ちょっとでも心にひっかかるものがあれば、 それをきっかけにして内容を考えてみてください。 ○ 消費税をいつも払っている。いったい何につかわれているのだろうか。 ○ 消費税が今度増税されるらしい。 (それでは困ると書いて、あとから「それも仕方ない」と書く) ○ 社会の授業で、さまざまな税金があることをしった。 ○ 財布を落としたら、交番に届けられていた。 (ほかにゴミ処理、郵便、災害救助などの公共サービス。すべて税で成り立っている) ○ 「税金は万人に公平でなければならない」という。 しかし累進課税制度というのは公平ではない。 (納めるときには不公平、つかうときには公平に) ○ 新潟・福井の水害のときに救助隊が出動。 ○ 税について図書館で調べた。その図書館も税で成り立っている。 ○ ニュースで税金が無駄につかわれているときいた。 ○ なぜ5%もの消費税を納めなければならないのか。 ○ 現在の消費税5%は、外国に比べれば低い。 (高齢者の環境が充実しているスウェーデンでは、25パーセントもある) ○ 学校にクーラーがはいった。(それも税金) ○ 「この施設は~税によって建てられました」という看板があった。 ○ 先日、お祭りにいった。その公園も税金でまもられている。 ○ 私の父は公務員。 ○ 私の祖父は年金で暮らしている。 ○ 税金といえば、消費税しか思いつかない。 そこで私はほかにどんな税があるのか調べてみた。 (と、以下いろんな税のことを書いて字数稼ぐ) ○ 国民の義務といえば、勤労、教育、納税である。 それらはどのように結びついているのだろうか。(たぶんこれ書きやすい) ○ 無駄な公共事業(長良川、川辺川の河口堰など)がある。 ○ 安倍首相が貰える年金は月に50万円。 ○ 学校に行くのに、教科書のお金も税金で払われている。 (教育を受けるために税金がつかわれている) ○ 現在、日本には700兆円ほどの借金がある。 ○ 国の収入の半分は税金だ。 ○ 東京都公立中学校の生徒1人あたりの3年間公費負担額は約381万6000円。 ○ 税が何につかわれるのかよく知らなかった。知ろうと思う。 (なんて反省してみるのも有効) ○ たかだか5%で意味があるのか。 (現在消費税の税収は約10兆円。1%増えれば単純計算で1兆円の増収になる) ○ 日本は、高齢化が進んで、社会保障の費用が増えていく。二〇〇〇年には、六十五歳以上の高齢者一人を三・六人で支えていたのに対し、二〇四〇年には一・六人で支えることになる。 ○ 江戸時代の年貢は、とられるだけだったが、税金は結局自分のためにもなる。 基本的な流れは、「税について、~~を知った(考えた)。 そしてわたしはこう思った」という形になります。 そして、 「なぜ~~だろうか」 「どのようにして~~するべきだろうか」 「本当に~~だろうか」 というように、疑問の形にする。 [2] 体験 … [1]話題の段落で書いた話題を、さらにくわしく書く。 この段落は具体例を書く段落なので、[1]で書いたことを自分の体験や見聞きしたことを通してわかりやすく説明して、伝えることが大事です。 実感が持てるような、自分の身の周りの出来事を探して、それを書く。 自分が経験したこと、自分が新聞やニュースで見たこと、 どうしてもなければ、創作でもかまいません。 うそでも、「こんなことがあった」という実体験の形で書くこと。 基本的には、あとで書く自分の意見につながるような例を考えて書く。 最後に「だから、~~だ」とつなげます。 ここでしっかり材料が集まったかどうかで、 作文のデキが違ってくるので、気合入れましょう。 [3] 意見 … 「わたしはこう思う」 自分の意見を書くときに注意するのは、税金には「払うもの」と「つかうもの」という二つの面があることに着目すること。 ふつうに暮らしていると、消費税などで税金を払うことだけに注意がいってしまうが、じつはその税金は身の回りのさまざまなことにつかわれているのだということに気を向けてやると、主張に厚みが出てきて、ちょっとがんばった作文になる。 この[3]意見 の部分は、あまりバリエーションないです。 なぜなら、「税金は大事だ」という結論にもっていくしかないので、意見もその方向でしか展開できないから。 ○ 税金を払うことは大事だが、それをどうつかうかも大事だ。 ○ 税金は、国に納めているのではなく、自分自身に納めている。 ○ 税金は納めるだけでなく、わたしたちを助けてくれる。 ○ 消費税増税に反対する人がいるが、やはり必要だ。 ○ 健康なものには実感できないが、老人や障害者のためにも、税金は必要だ。 ○ 少子・高齢化社会では助け合いの精神が必要。 ○ 自分にはできない公共サービスをするためにも税は必要。 ○ 汚職などのニュースをきくと否定的になるが、よいことにつかわれている税もある。 ○ 高くても税金を払わなければならない。 ○ 税にはちゃんと意味があるのだ。 ○ 税とどうつきあっていくかを考える必要がある。 ○ 税が何につかわれているのか、理解して税を納めることが大事だ。 ○ 税金を払うとは、社会に貢献することである。 ○ 親の払った税金がわたしを支えている、私の払う税金はわたしの子を支えることになるのだ。 ○ わたしたちが思う普通の暮らしは、実は普通ではない。 ○ 税金は貯金箱だ。「盗られる」のではなく、「一回集められて、私たちに返ってくるもの」だと私は思いました。 税は身近にあるべきものです。 ○ 消費税の引き上げはやむをえない。 ○ 今までは消費税を払うのが嫌だったが、これからは誇りに思いたい。 ○ 国民の三大義務を果たすことは、わたしたちの権利を守ることにつながる。 ここでよくつかわれるのは「なたもだ」というやつで、 自分の意見を述べたあとに、 【な:なぜなら、た:たとえば、も:もしも、だ:だから】 という四つの接続詞をつかってみるといいです。 困ったら、「なぜなら~~」「たとえば~~」「だから~~」「だから~~」 とつなげてみて、そのあとを考える。 こう書いて文をつなぐことによって、説得力のある作文になるし、 無理なく字数を稼げます。 困ったら「なたもだ」で字数を稼いどけ。 [4] 結論 ここは、基本的には、「だから、税金は必要だと思う」という方向以外の結論はありません。 具体的にまとめの例を書くと、こんな感じに。 ○ 私達もいずれ大人になり、働き手となる。 明日の良き納税者となるためにも、今から税への正しい認識を深めていこう。 ○ 一人一人が納めた税金は形を変え、ゆとりのある豊かな社会を支え、 またそれに自分自身も支えられている。 私も将来納税者になりますが、このことを忘れないでいたい。 ○ 税は決して他人事ではない。 未来を支えていく私達は、これからはしっかりと税の使われ方も見守りながら、 未来を考えていかなければならない。 ○ 国民一人一人が、税についての理解をより深め、正しく理解し、きちんと納税の義務を果す。 その一方で、自分たちが支払った税金がどのように使われたのかを知ることが重要になってくる。 ○ 私たちはいつでも、税にささえられています。 警察や消防に守られ、道路や街灯の整備によって更に快適な環境となります。 学校で勉強ができることも税がなくてはできません。 税に感謝して、私達もやがて子供のために納税をするのだ。 とかね。(^ー゜)b お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[塾] カテゴリの最新記事
|