『少年探偵江戸川乱歩全集』江戸川乱歩
以前、ポプラ社からハードカバーで刊行されていましたが、2,3年前にソフトカバーで全集刊行したものです。ハードカバーをちまちまと集めていた私にはプチ・青天の霹靂?ハードの方ががっしりしていて、さわり心地もいいし、何せ、挟んであるしおりが毎回イカス。その巻ごとの内容にそった台詞?みたいなのが書いてあります。1巻の『怪人二十面相』のしおりには、 ロマノフ王家のダイヤモンド、国宝級の美術品。すべてこの二十面相がいただこう。警察諸君、むだなあがきはやめたまえ。わたしの素顔はだれにもわからない。ほら、あなたのとなりのだれかに、変装しているかもしれないのだ……。 さあ明智君、二十面相の正体をあばくことができるかね!?わくわくします。私は二十面相の大ファン。彼は確かに盗みはするけど、人殺しや、誰かを悲しませるような盗みは決してしないんです。紳士なんです。いつも明智小五郎や少年探偵にしてやられますが、ちゃんと次の回には牢抜けをして性懲りもなく明智に挑む。彼は明智の「やられた!」という顔がみたくてみたくてたまらないのです。『空飛ぶ二十面相』では二十面相の「戦争」に対する厳しい批判が垣間見えます。世界中のあちこちで二十面相が空を飛びながら人心を、世界中を惑わす、そのわけは…。この回を読んで、私はますます二十面相のファンになりました。児童文学といいながら、乱歩独特の表現が混じって、ぞっとしたりもします。 日本中のひとが死にたえたようなしずけさです。わぉ。そして、表紙絵は私の大好きな藤田新策氏。ミステリー絵の大御所。http://www.shinsakufujita.com/what/what_Frameset.htmかっこよすぎです。(でも説明にある伝書鳩は「ポッポちゃん」ではなく「ピッポちゃん」である。)あー、やっぱりハードカバーで集めようかなー!