テーマ:マラソンに挑戦(5677)
カテゴリ:ウルトラマラソン(未)完走記
≪ 鉄人と最後の関門 ≫
25km地点 25km地点の通過は4時間04分51秒。これでようやく半分まで来たのだが、この時はそんな意識はなかった。何せどこまで行けるかは自分の体調次第で、全く予定が立たないのだ。28km地点の給水所は、かつて私が大会本部に要望して設置してもらった所。今回は近所の主婦の方がボランティアで給水係に出られていた。ここでクッキーを1枚いただく。これも自分達の提供のようだ。1枚のクッキーが、前進のエネルギーに変わる。 O川さんの勇姿 27km辺りで後から私の名前を呼ぶ声。振り返ると同じ走友会のO川さんだった。私がここにいるのが不思議そうだったが、直ぐにゼッケンで50kmの部と分かったようだ。100kmの部とは言え、スピードランナーの彼が今頃こんな場所にいる方が変。 話をすると5月の連休に走った「川の道」520kmの疲れがまだ残っている由。彼はかつて盛岡から仙台までたった1人で200kmを走ったことがある。それもこれも全ては「川の道」の練習のため。そうして2年連続完走の偉業を達成したのだ。 28km地点の私 会えて良かった。ずっと彼のことが気にかかっていたのに、仕事の関係で5月末の「みちのくラン」でも会えなかった彼。「撮りますか」とO川さん。彼はそんな優しい心づかいが出来る男だ。暫く一緒に歩いたが、やがて彼はゴールに向かって走り出した。 今回の「川の道」ではゴール寸前にコースを間違いそうになり、ゴールしたのは制限時間のわずか20秒前だった由。我が走友会には2年連続で520kmを完走した勇者が2人いる。彼らこそまさに鉄の心と脚を持った鉄人なのだ。 30km地点 30km地点の通過は4時間52分41秒。今の体調で良くここまで来れたものだ。次の関門は36.6km地点で制限時間は午後4時。歩かなければ間に合うかも知れない。ここから下りが始まり、間もなくトンネルを過ぎると急な坂道になる。今までに4回走ったこのコースは、まだ鮮明に記憶として残っていた。 魔の下り坂 ここが魔の下り坂。峠越えをする100kmの部では、峠の真っ暗で寒いトンネルを抜けると急激な下り坂がある。あそこで飛ばすと、この坂が利いて来るのだ。幸か不幸か50kmの部の私は前半かなり歩いた。そのためにまだ坂道を走って下る力が残っていたようだ。ゆっくりとでも走れるのが有難い。それにコースを覚えているのも有利なはず。 林の中の標識 慎重に走って何とか下り坂が終わった。ここからは暫くほぼ平坦な道が続く。道路に落ちていた「黒飴」を拾って食べる。これも貴重なエネルギー源。無駄には出来ない。ここからが本番と立ち止まり、ペットボトルにサプリの粉を入れた。だがペットボトルの水はほとんど無くなっていた。慌てて周囲を見回す。左手の森に小川が流れている。そこにペットボトルを沈めて水を入れた。浅いため何度か動作を繰り返す。水はようやく8分ほどまで満たされた。よ~し、また前進だ。 杉林を見ながら 左手に見事な杉林が見えて来る。ようやくここまで来れた。またこの景色を観られるとは思わなかった。途中でリタイヤしたランナーを収容するバスは県道1号線を直進するため、この景色は2つの関門(100kmの部は3つ)をクリヤーしないと見られない。感慨が胸を過る。だがここから次の関門までが長く感じる。 「このペースで次の関門がクリヤー出来ますか?」と若い女性。「キロ10分ペースでも走っていれば大丈夫」と私。その声を遮るように別の女性ランナーが言った。「でも最後の関門を通過しても登り坂があるからキロ8分ペースは無理。今のうちに貯金を作っておかないと完走出来ないよ」。なるほどその通り。まだ「現役」の頃の私なら、きっと同じような計算をしたはず。2人は先へ行った。私は相変わらずのペースで、登り坂は歩いた。 鶯宿ダム湖 やがて右手の下方に鶯宿ダム湖が見えて来る。ここはちょっとした登り坂なのだが、その僅かの傾斜が苦しい。それにしても何故35km地点の標識が見えて来ないのだろう。同じような疑問を、他のランナーもぶつけているのが聞こえた。これは標識の位置がおかしいのではなく、疲労のためにペースが落ち、距離感が狂うのが原因だ。 35km地点 ようやく35km地点の標識発見。通過は5時間44分30秒。この5kmに約52分もかかっている。これで次の関門までの時間が残り僅かになった。坂道を下ると前方に人影。3つ目の関門だ。 3つ目の関門(36.3km地点) 36.3km地点。これが3つ目の関門だが、何とか時間前に辿り着いた。頭から水を被り、両膝にも冷たい水をかける。これでかなり体温を下げ、炎症を抑えることが出来る。スポーツドリンクと水を飲み、バナナを食べて直ぐに出発。次の関門は「賢治ワールド」で近いのだが、制限時間がギリギリの上坂道が続く。いつまでも休んでいる訳には行かない。最後の関門は40.5km。そこまで行けたら立派なもの。これは自分でも予想外の大健闘だ。 40km地点の通過は6時間27分45秒。次の関門まで500m。大きく手を振りながら必死になって坂を登る。ついに県道1号線と合流。少し先に最後の関門が見えて来た。これは嬉しい。最後の頑張りだ。<続く> お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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