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The world's end　-Arim Lab log

マリアさんはツンデレ0

デコメ素材1

[SS用ネタ] カテゴリの記事

全46件 (46件中 1-46件目)

あの空の虚ろなる　１

プロローグ　また、夜がきた。　僕は重い体を起こして起き上がる。　もう何度めだろうか。この夢を見るのは。　暗い空、ひび割れの向こうの虹彩、不自然な色彩の世界が広がっている。僕は、夢の中の少女を知らない。それは確かなのだが、こう何度も同じ夢を見ると知っているような気分になる。　扉を開く瞬間、少女は微かに目を見開く。その瞳の色は、不吉な血の色だ。　思わず溜め息を吐いた。この夢を見ると、もう今夜は眠れないとわかっている。眠ろうと努力しても、それを阻むように瞼の裏には鮮明に不気味な色の空が広がり、その下に立つ制服姿の少女の後姿が見えるのだ。世界の終わりのように、がらんとした虚ろな風景。赤が目に沁みる、モノクロームの風景。一体何を表しているのだろうか。　そしていつのまにか聴こえてくる、歌。　無音の夢の中で、小波のように僕の耳に囁く。子守唄のようにおだやかで、悲哀に満ちた静かな歌。それを歌っているのは、少女なのかどうか定かではない。　彼女の歌声の虚ろな響きが、耳から離れない。　それは、見えない世界の境界を越えて今日も僕のもとへとやってくる。

2006.10.31

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雨の日のラプソディ

あれ？？制作やるつもりが何かついつい絵描いてた(´Д｀)そんなわけでそのうちリメイク予定のゲーム、『雨の日のラプソディ』より主人公のコエモさん、ニューバージョン。『眠れる～』の制作してたのに、何かラプソディ作りたくなってきた…でもほんとにやろうと思ったら、立ち絵＆スチルのこと考えただけでおそろしいから無理。Arim Lab

2006.09.29

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レンズ

わたしの目は　レンズがないと何も見えない　メガネを掛けて一日を過ごすと、見慣れた風景画いつもと違ったものに見える。水彩画のような、とろける色合いで、くすんで、眩くて、ぼんやりと揺れる。気だるい。　コンタクトを着けている日々は、何て窮屈なんだろうか。と、思う。物がはっきり見えると、忙しくなくても、何だか慌しいような、何かに追い回されているような気持ちになる。　だからこそ、時々、メガネでぼんやりと過ごす。　レンズが無ければ、わたしの目は、誰にも見えない幻想を映す。　だけど、それではバランスが悪いから、メガネを掛けて一日を過ごすことにしている。

2006.09.12

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鏡の中のプーパエオルクス～３．月下の檻～

３．月下の檻　誰も見つけられないような暗い森の奥深くに、鏡で出来た館があるそうですよ。　その館は、毒キノコの沼のほとりに白い花が咲いたときだけ姿を現すそうです。眩暈のするほどの甘い香りを持つこの花は、幻覚を引き起こす…プーペントルーフルッペンポウという花で、咲いたのを見た人は、数えるほどしかいません。月の灯りの下に佇む、鏡で出来た館を見かけたら、決して入ってはなりません。もしも、入ったら…絶対に、出られませんから。　鏡の中の姫君の話をご存知ですか？

2006.08.05

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鏡の中のプーパエオルクス～２．薔薇の午後～

２．薔薇の午後　「ご存知ですか？」と、道化師が問う。「知っているわ。」私は笑って答える。「私が、知らないことなど、あるわけないでしょう。」そう付け足すと、道化師は少し困ったような笑顔を浮かべて、「そうですね。」と言った。　窓から差し込む午後の光のゆらめきは、蜘蛛の糸の様に細く脆い夢のよう。薔薇の装飾の施された小さなガラステーブルの上には、白いティーカップ。道化師は手を伸ばしてそれを取ると、暫くカップの中を見つめていた。紅茶色の光が彼の白い顔に反射する。光の網は、まるで終わらない水の中の夢だと私は思う。「帽子を脱ぎなさいよ。」私は唐突に言う。「構いませんが、ハゲてはいませんよ。」「そんなの知ってるわよ。」彼なりの冗談を鼻で笑うと、道化師はため息をついた。　道化師、と言っても彼はピエロではない。それだけは言っておこう。彼の被っている帽子は、黒いシルクハット。身に着けている衣服はノーブルな黒のスーツ。ピエロめいているところは、と言えば、白いシャツにやたらとレースがついている、それから、白く塗った顔と目の周りの奇妙な縁取りくらいか。顔立ちは端整なのも、本人の名誉のために一応言っておく。　「で、続きは？」私はティーカップに口をつけた。「話すのですか？先ほど知っていると…」「いいから、話なさいよ。」ぴしゃりと言い放つ。また、道化師は困った顔をする。その顔をしたいのはこっちだ、全く。「雪降る夏の日、少年はどうなったの？」----------＋＋Arim Lab＋＋

2006.08.03

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鏡の中のプーパエオルクス～１．少年と館～

プーペントルーフルッペンポウ沼に咲く白い花プーペントルーフルッペンポウその花を見つけたら　秘密の小道が見つかるよ１．少年と館雪が降る異常な夏彷徨う少年月は既に空高く　深い森に影を落とす不安に駆られ走り抜けた木々の先に黒々と身を横たえる沼毒キノコの霧に気をつけて囁く声は誰のものプーペントルーフルッペンポウ白い花が咲いたならプーペントルーフルッペンポウ呪いの夜のはじまり赤い月照らす先にそびえる洋館夜はとても寒々と　白いため息とめどなく震える体　寒さのため　そうじゃない煌々と輝く館は鏡迷わないように気をつけて囁く声は誰のものプーペントルーフルッペンポウ白い花を見つけたらプーペントルーフルッペンポウ悪夢の夜のはじまり----------＋＋Arim Lab＋＋

2006.08.02

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鏡の中のプーパエオルクス～オーヴァーチュア～

　「あぁ、遅かったじゃないの。待ちくたびれちゃったわ。」　「…時間通りのはずですが。」　「そう？でも、随分待ったわよ、私。」　「申し訳ありません、マスター。」　「これだけ私を待たせたんだから、満足する話をしてくれなくては嫌よ、道化師。私を楽しませるのが、お前の仕事なんだから。」　「心得ておりますとも。さて…。」　「どんな眠りを見た、道化師？お前の言葉で物語を紡ぎなさいな。」

2006.08.01

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あの空の虚ろなる～プロローグ～

世界の色が剥がれ落ちる。誰も気付かないうちに、ぼろぼろと。静かに雪は降る。触れる冷たさは刃の様。「見たのでしょう？あの雪の中、川の中で凍てついた、死に絶えたフランス人形…」だから、何だって言うの？現実はいつも曖昧で、ゆめと隣り合わせ。瞼を閉じれば、モノクロの世界は音を立てて崩れ、笑い声を上げながらゆめの世界が頭をもたげる。扉を、開く。いいんだ、もう十分だから。ね、でも君にありがとうって伝えれなかったことだけ残念。五年経った今でも、その言葉は魚の骨みたいに引っかかってる。雪の降りしきる空は、虚ろなゆめの入り口。手を伸ばせば、触れるゆめの欠片。凍てついた白い現実と私の壊れたゆめの繋がる細い糸を、そっと手繰り寄せれば、空は暗く轟いて、ひび割れて落ちる。瞬時に視界は色を失い、ぐるぐる回る。少しだけ、歪みに気付いた日には、もう遅いんだよ。そう言ったのは誰だったか。

2006.07.24

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Scenery in limit

静かに静かに、風景は凍てつく。頬に触れる雪の一片。冷たく、鋭く、痛む。それは、皮膚でなく心の奥底の痛み。眠り続ける、眠れぬ傷跡。その日、朝からずっと知らない歌が頭の中で響いてた。私は、学校に行くのを止めて雪の吹雪く道を独りぼっちで歩いていた。誰にも、出会わない。だってこんな雪だから。景色は本当に、真っ白。このまま真っ白になれたらいいと思いながら、ふらふら歩く少女が一人。橋の上で、ふと目を止める。そこに見えたのは、凍て付いて死に絶えたフランス人形。金の巻き髪は乱れることなく凍りつき、青いドレスは水に濡れて重く。流れぬ川の水の中、目を開けて静かに揺れている。少女は立ち去った。----------めも。

2006.07.23

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君の歌声の虚ろなる

また、夜が来る。僕は起き上がった。体が重い。君の歌声の虚ろなる響き。それは、見えない世界の境界を越えて今日も僕の元へとやってくる。----------書きかけ。

2006.07.14

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mystic mist

メモメモ。思いついたらすぐメモしないと忘れちゃうな。不可解な霧。

2006.05.16

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雨の日のラプソディ

おはようと声に出してみても、誰も言葉を返してくれない。コエモは体を起こすと、ぼんやりと窓の外を見詰めた。重い心とはうらはらに空は限りなく青い。先程見た夢が重くのしかかり、コエモは窓から目を逸らしてベッドから降りた。家族は２年前にテロに巻き込まれて死んだ。生き残ったのは彼女だけで、同時にその時に全てを失った。コエモは生まれ育った町を離れて、一人で生きていくことを決意した。誰にも頼らない。いや、もう誰にも頼れない。

2006.03.25

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THE WORLD

メモ。白羊宮「自傷」金牛宮「安定」双児宮「キライ」巨蟹宮「マザー」獅子宮「眩しい」処女宮「強迫観念」天秤宮「バランス」天蠍宮「密約」人馬宮「カミサマ」磨羯宮「誰にもわからない」宝瓶宮「見えない」双魚宮「サヨナラ」＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋Rosa-mundi

2006.03.06

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人魚の涙(1)　～ケイ・シィックのオトギバナシ～

こんにちは。…あなたとどこかで会ったかしら？え？そうだったかしら…忘れちゃったわ。またお話が聞きたいの？私だってそんなに暇じゃないのよ。まぁ、いいわ。今日は人魚の涙というお話をしてあげる。ぽっかりと心に穴が開いてしまって、どうやったって元にはもう戻らないことがわかったから、少年は旅に出ることにしました。どこへ行くあてもなかったけれど、取り合えず歩いていきました。道をまっすぐまっすぐ、何故か分かれ道には出会わなくて、少年はずっと一本道を進んでいったのでした。随分と歩いたのか、いつのまにか空は赤く染まり始めていました。少年はここでようやく疲れを感じ、道端の原っぱに寝転がり、雲が逃げ惑うかのように流れてゆくのを眺めながらいつしか眠ってしまいました。夢を見ました。青い木が生い茂る森に少年はいました。小さな白いカナリアが飛んでゆくのが見えます。森はとてもても大きいようで、少年はどこにいるのだかわかりませんでした。光が時々差し込んで眩しく、少年の目に映ります。森はひっそりしています。少年はぼんやりと立ったまま、何をするでもなくただ呼吸だけしていました。そうして暫くのこと。頭上でカナリアが枝を揺らしました。少年が見上げるとカナリアは首をかしげて飛び立ち、少し離れた気の上に留まりました。少年を待っているかのようにじっと見ています。少年はカナリアを追いかけていきました。どこへ行くのかわからないけど、どこかへ向っているのは確かでした。カナリアは白い羽を羽ばたかせて緑の中を飛んでゆきます。それはとても綺麗でした。森には本当に何もいないのか、カナリアの羽ばたく音以外は木の葉の揺れる音ぐらいしかしません。しっとり濡れた新緑の草、巨木の幹、空を覆い隠すような枝にはエメラルドのようなサファイアのような美しい葉。少年は見たこともない美しい風景に驚いていました。カナリアは羽を休ませることなく羽ばたき続け、森の奥へ奥へと少年を誘います。辿りついたのは鏡のように透明な湖でした。カナリアが地面へ降り立ってよちよちと湖の方へ歩いていくので、少年もついて行きました。あまりに美しい湖だったので少年はただじっと水面を眺めていました。日が暮れるまでずっと。日が暮れる前になるとカナリアは少年を湖に残してどこかへ飛んでいきました。暫くしてくちばしに綺麗な布をくわえて戻ってきました。それを少年の上にふわりとかけると、またどこかへ飛んでいってしまいました。少年はその布に包まって眠ることにしました。湖に日が落ちます。夜の帳が下りて、銀の星と白い月が水面に映って揺らめくのを少年は飽きもせずずっと眺め続けました。だってそれはこの世のどんな眺めよりも美しかったのです。気持ちのいい風が吹き、華の良い香りがして、まるで楽園の様に思えました。少年はとても安らかな気持ちでした。そして眠りに就いたのです。＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋Rosa-mundi

2006.03.02

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鏡の中の鏡(1)　～ケイ・シィックのオトギバナシ～

あの話を知ってる？知らないの？じゃあ教えてあげる、鏡の中に閉じ込められた女の子のお話。深い深い森の奥に、とても大きな館がありました。その館の中は全部鏡張りで出来ていて、一歩足を踏み入れればまるで迷宮のよう。そこに綺麗な女の子とその母親がたった二人で住んでいました。仮に女の子の名前をヴァージニアとしておきましょう。だって、誰もその女の子に会ったことないから本当の名前なんてわかりっこないのです。ヴァージニアは館の外の世界を知りませんでした。＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋Rosa-mundi

2006.03.01

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世界の薔薇の物語―設定

■レースダエ統べる者、世界の薔薇と呼ばれる女神の歌により無限に存在する世界の総称をレースダエと呼ぶ。最も深層に在る世界を楽園と呼び、世界の薔薇が直接支配し常に身を置く場所である。ここに存在するものは全て不確定であり、全ての世界と繋がっている為にごく稀に迷い込むものもいる。多次元宇宙であるレースダエでは別次元に同じ者や場所が在るパターンは珍しくない。■世界の薔薇ロサムンディの他にも異名は数多く、レースダエの全てである存在。色も時間もない永久の闇から全ての物質を見出し具現化した。永遠の少女の姿で血の色の目を持つが、変幻自在であるために容姿に関しては一概に言えない。姿を変えてレースダエに降り立つことも多々ある。選ばれし始まりの７人とは、光謳うライ・ポエット、廃墟遊園地の道化師、深淵纏いしエメモル、完璧なるメアリアン・ヴィクトリアに双子の女神ルトヴューとヴェリアーネの二人、ロサムンディの依り代となる聖御子を加える。尚、創世に関してはライ・ポエットが大きく関する。■双子の女神の世界黒の女神ルトヴュー、白の女神ヴェリアーネの歌によって生まれた世界。■ウタビト、歌い手カントール、カントリクスと呼ばれる歌人たちは俗に双子の女神の血を引くと言われる者たちであり、素晴らしい歌唱力によって人々を夢幻の世界に導くことができる。ただの歌ではなく、音楽に乗って響く歌声は魂そのもの、また歌人の見る物語である。稀に、黒の大陸に赤い髪と赤い目を持つ者が生まれることがあるのだが、彼らはウタビトとは比較できない程の力を持つとされ危険視されている。双子女神の力をも凌駕する、即ち世界を歪める影響力の存在なのである。発見され次第、鳥籠と呼ばれる施設に幽閉され、外の世界で生活できる者は殆どいない。＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋Rosa-mundi

2006.02.08

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点在する世界

ある世界はオトギバナシの世界。終わることの無いオトギバナシが続いている。一つ終わってはまた一つ始まり、永続する変わらない世界。ある世界は空想世界。全くもってファンタジーとしか言いようの無い、精霊、魔法の存在する世界。秩序を自然が律し、超越した力が調和をもたらす。ある世界は女神の世界。全ての源は一人から始まり、一人に帰結する。どこへ行こうとも、それは誰かの手の中、箱庭のようなもの。夢のような現実。ある世界は最も現実に近い世界。誰かの想う、こうだったらいいなという小さな出来事が連なる目まぐるしい世界。どこまでも現実に近く、でもどこまで行っても現実に交わることの無い空間。―物語は果てしなく、世界はどこまでも透明だ。＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋Rosa-mundi

2006.02.05

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Genesis of Res deae

そこには何も無かった。点在する風景はさながら箱庭。小宇宙に断続的に広がる世界を見ながら、道化師は涙した。音の無い世界で歌人はただ耳を澄ました。モノクロの世界の中、人型機械は無機的に見詰めていた。「この世界のこの廃れよう…何と哀れなことか」「私たちが望むのは…」「いや、僕らが望むのではなく。」「望めるのは世界の薔薇唯一人。」「それならば、今すぐにでも」「でも強制的にでは駄目だよ。」「されど、この世界の終わりも始まりも、あの方の手の中。」「やはり」「ならば、僕が行こう。」「歌を？」「歌うのですか？」「そう、始まりの歌を。」「果たして彼女の心に響くのか」「きっと。」「僕は彼女を知っている。彼女も僕を知っているはず。」―始まりに、歌あり。そして、終わりにもまた歌あり。世界の薔薇は静かに横たわっていた。見開かれた瞳は、澄んだ水の色と、血の赤とに目まぐるしく変わり、何も映してはいなかった。冷たい床に力なく落ちた腕には無数の傷跡。その下には濁った赤い雫が広がり流れ、白い息とは対称的に温かい。誰もいない白い部屋で冷たい床に横たわり、朽ちることを彼女は望み、求めた。何を思うでもなく、不意に言葉が零れる。「歌を。」「仰せのままに。」「…いたのか、ライ・ポエット。」「はい。」「鎮魂歌を。」「いえ、創世の歌を。そして歌うのは猊下、あなたです。」「私は歌わない。決して。」「この小宇宙は全てあなたの手の中にあり、逃れることはできない。それなのに、あなたは僕達を捨てると言うのですか。」「これは箱庭。ただの夢。私が目覚めれば、消える。」「いえ、もうこれは現実。紛う事無く、此処にあるのです。」「生きていたくなどないもの。」++++++++++++++++++++++++製作元：Rosa-mundi

2006.02.03

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白昼夢―kanariya002_prototype

「あら、またあなたなの道化師。」「落胆していらっしゃる？」「いいえ、あなたしか来ないこともわかっているから。」　白い部屋にゆめはなく、道化師が語る物語が全ての夢で、少女の物語。　そこには幾つもの世界が広がり、限りない自由が待っていると。「お覚悟はつきましたか？」「…」「あなたが世界を見る事が、同時に世界を創る事になるというのに。何が一体ご不満なのです？」「どうして私で無ければならないの？」「だって、あなたの世界ですから。」「おかしなことを言うのね。私の世界は此処だけ。この白い部屋だけ。ここでゆめを見る事が、私の望みだもの。朽ち果てようとも、悔いはないわよ。」「…此処にはゆめなどなく、諦念と絶望があるのみだと言うに。強情なお方だ、また参りますよ。」　いつもの仕草で道化師は指を一本唇に当て、紫の煙を撒き散らす。「諦めません。あなたが与えた世界だから…」「それでも、私は此処に残ることを望むわ。」＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋本館サイトRosa-mundi

2006.02.02

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夢の果て-kanariya001

生きているのか、死んでいるのか―それすらも定かではない。私は、冷たい床に倒れていた。何日、いや、何年経つのだろうか。あの人がいなくなってから。もう戻ってこないことは知っているけど、私はそれでも…この部屋で待ち続けている。白い部屋、この場所なら、私は、変わることなくいられる。―残酷なほどに数え切れない月日が経とうとも。会いたいのは、あなただけ。でも、もう会えないことは知っている―カナリアはもう帰ってこないのだと。　目を覚ますと、僕は見たこともない場所にいた。簡素なベッドとテーブル、白い壁、白いカーテン…消毒の匂いからして、ここは病院だろうか。　でも、何故僕はここに？　…全く思い出せない。　体を見回してみるが、どこにも怪我をした様子はないし…。　とにかく、こうしていても仕方が無い。部屋の外に出てみよう。誰かいるかもしれないし、まずは此処がどこなのか確かめたい。　そういえば、眠っている間に何か夢を見た気がする。黒髪の少女…あれは誰なんだろう。知らない子だった。でもとても悲しそうで、何か引っかかる。　-------------------------製作中のホラーＡＶＧ、冒頭です。＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋カナリアの歌～The isolation world～Rosa-mundi

2006.02.01

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白昼夢

気付くと見たことも無い部屋にいた。染み一つ無い白い壁、四角く切り取られた窓から覗く青空、檻の様に巨大な鳥籠。左手の壁には全身が映るほどの大きく古めかしい鏡がある。その前に、ばらばらと散らばる黒い髪。何だ此処は。金色の鋭い鋏が落ちている。「おかえりなさい。」誰？僕は、こんなところ、知らない。―そうよ、だって此処は私の世界だもの。私だけの世界だもの。

2006.01.23

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コダマ。＃１電車

いつもの、廃線間近で命拾いした小さな電車に乗っていた。ガタンゴトトン電車は揺れる。曖昧な時間で、その車両に乗客は私一人しかいなかった。その筈だった。ひとつ駅を過ぎて、トンネルを抜けた時、突然目の前に小さな女の子が座っていた。奇妙だった。しかもその女の子は包帯だらけだった。白いワンピースを着ていて、そこから出ている足も腕も、そして顔も、全て包帯で覆われていた。かろうじて見えているのは、小さな口だけである。私にはその女の子はコダマだとわかった。どうしてわかったかはわからない。名札も何もつけていないが、その女の子の名前は間違いなくコダマだ。ガタンゴトトンと電車は揺れる。次の駅に着いても私の乗っている車両には誰も乗ってこなかった。そして、またガタンゴトトンと電車は揺れ始めた。「次の駅は嫌い。」不意にコダマが口を開いた。その言葉の通り、私は次の駅が嫌いだ。理由は言わない。包帯からのぞくコダマの口元が少し笑っているように見えた。私は目を逸らした。コダマは足をぶらぶらと揺らしながら座っている。しばらくして歌い出した。否、歌ったというよりはハミングに近い。小さく大きくさくらさくらを歌っている。その表情はわからない。だが楽しそうだ。そしてそれでいて無感情でもある。ガタンゴトトンと電車は揺れる。七つ目の駅が私の降りる駅だ。プシュゥと音を立てて電車が止まったので、私は立ち上がった。すると歌を歌うのをピタリと止めてコダマもついてきた。そしてガタンゴトトンと電車は去っていった。私たちは取り残されたみたいにしてしばらく突っ立っていた。取り敢えず、図書館へ向かうことにした。歩き出すと、コダマもついてくる。てくてくと歩いた。美容院、小さな公園のある道を通り、カーブミラーを横目に見て通り過ぎた。そこにコダマは映っていなかった。小さな十字路に出た頃、雨が降り出した。墓場に差し掛かり図書館はもう少しというところだった。本降りだ。雨足はどんどん強くなっていく。ゲートボール場の併設された墓場には雨を避けられそうなベンチがあるのを知っていた。空はどんよりと暗く濁っている。生暖かい風がアスファルトを撫でた。私が走るとコダマも走ってきた。私たち二人は墓場のベンチに寄り添って座った。風が、線香の匂いを運んだ。「線香の匂いは、好き。」そうしてコダマがふふっと笑った。雨は止まない。中々止まない。そうして私とコダマは座り続けていた。-----------------------------------------------------コダマシリーズ第一作、高校生の頃に書いたSS。現在製作中のゲーム、『隔離病棟２１２号室』に登場するコダマと同一人物。今後どうなるかはお楽しみに。『隔離～』には続編もあるので。てか、タイトル変えたいと思う今日この頃。でも特にいいのもうかばないんだよね…■□■本館サイト■□■ホラーゲーム『隔離病棟２１２号室』の情報はコチラで。Rosa-mundi http://red.ribbon.to/~mebarin/

2006.01.08

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Pro patria～破滅のマリア～第一章：隔離の塔

―夕暮れ時でもないのに、血の様に赤く暗い空が広がっていた。ゴルディア帝国の兵たちによって火を放たれ壊滅的な王都の中心には陥落寸前の白く美しい城があり、炎の中に揺らめくその姿は砦を打ち砕かれ外壁という外壁は黒く煤け無残なもので、昨日まで神護り護られし聖国と称されたこの国メルセフォアは、今や栄光からは程遠いものだった。『Pro patria～破滅のマリア～』第一章：隔離の塔SSコーナーにアップしました。下記サイトにて公開中。■□■Rosa-mundi□■□明日からヨーロッパ行くので一週間くらい更新ないです。帰ってき次第、A.R.E.A.と世界の薔薇の物語に取り掛かります（；´д｀）ノ隔離病棟は…当分先かもしれません。２、３月は時間的余裕がたくさんあるけど…ちょっと忙しいかも；

2005.12.05

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世界の薔薇の物語―終わり

望んだのか、望まなかったのか、よくわからないまま世界は音を立てて崩れ、一瞬にして色彩は剥がれ落ちた。後に残ったのはモノクロの誰もいない世界だった。行く当てが無いのは定かだったので、少女は途方にくれてしまった。それでも此処ではないどこかへ行かなくてはという強迫観念から、少女は諦念と共に歩き始めた。風は汚染物質を運び撒き散らし、建築物の残骸が砂の様にさらさらと崩れていく。荒んだ大地に散らばる瓦礫を乗り越え、灰色の雨に濡れながら、随分と長い時間彷徨い歩き、辿り着いたのは廃墟。疲れ果てた少女にはまるで、魔法の扉の様に思えた。「この先にはきっときれいな世界が広がっているんだ。」これは、夢。少女はそう信じ込もうとし、夢から覚めるべくして傾いた廃墟の重く冷たい扉に手をかけた。足を踏み入れる。刹那、世界は揺らぎ、渦を描いて少女を飲み込んだ。それは禁断の地への入り口。そこは絶対不可侵領域だった。体を強かに打った少女が呻きながら顔を上げると、目の前に白い髪と赤い目を持ち、少女の形をした機械がいた。機械は少女を覗き込みながら、何をするでもなくじっと見詰めているのだった。「どこへ行けばいいの。」「…最早、あなたには安息の地など無い。」無慈悲な声で、機械は機械らしく答えた。そうして、続ける。「あなたは虚無と同じものになったのですよ。」これが、少女の旅の始まりだった。

2005.11.29

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世界の薔薇の物語

１．終わり２．少女と機械３．廃墟遊園地の道化師４．水の中のドール５．始まりメモ。本館にて公開予定のSS。完成間近。取り敢えず１２月４日くらいに『Pro patria～破滅のマリア～』第一章アップ予定。そのときにできたら世界の薔薇の物語もアップしたい…

2005.11.29

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世界の薔薇の物語―少女と機械

「ねぇ、帰ろう。」と、声を掛けようとも、メアリアンは振り返ることなく歩いていく。これ以上先に進むのも気が進まなかったが、置いていかれてはどうしようもないことはわかっていて、仕方なく少女は後を付いて歩いていった。「これが、あなたの望んだ世界。」「違う。」「もう帰る場所なんて、ないんですよ。」「違う。」「否定しようとも、これがその結果。」「違う、違う、違う！」「あなたを傷つけるものが何も無い、世界。」「違う…私はこんな世界を望んだわけじゃない！」空はどこまでも灰色で、荒れた大地には瓦礫が積もり、吹き抜ける風はかさかさと冷たく少女の髪を揺らす。メアリアンと呼ばれた機械は人型をしてはいたが、人間でなく、血肉の温もりは皆無。少女は黒い髪をなびかせて、黒い煙で薄汚れた白い衣服をはためかせ、泣きはらした真っ赤な目をしていた。望んだものは、こんな世界ではないはずだった。そう思えど、時は既に遅く、目の前に広がるのは死の世界。喩えようのない孤独と恐怖に少女は打ち震えた。「どうしたらいいの？こんなはずではなかった。」「でも、あなたは望んだ。だから、こうして世界は滅んだ。」「こんな世界は嫌…」「…」「こんな世界は望んでいない。」「…ならば今一度望めばいいのです。一度壊れたものはもう戻らないけれど。」「元の世界には戻れないの？」「戻れません。戻すことはできません。」「じゃあ、どうすればいいの？」「あなたの望む世界を創るのです、世界の薔薇。」「そう…」いつまでも見ていたい夢、終わることのない世界。どこまでも響き渡る歌声。何もかも超えて、今、あなたと在りたいと切に願う…歌声により、世界は色付いて、新たな道を歩み始める。それは世界の薔薇の、再生の歌を刻んだ世界。どこにもない世界だった。

2005.11.24

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お菓子の家に住む魔女

―かみさま、どうか私をおうちに帰してください。何度そう祈っただろうか。だけど、祈りは届かず、私に突きつけられたのは辛い現実だけ。きっとおにいちゃんは迎えに来てくれるなんて、どうして信じていたんだろうか。兄は、逃げた。私を置いて、この呪われたお菓子の家から。父と母を連れて戻ってきてくれると思っていたのに、何日待ってもそんな気配はない。見捨てられたということを教えてくれたのは私と兄を捕まえた年老いた魔女だった。信じたくない、でも、誰も来てくれない。私は捨てられたんだ。私はいらない子なんだ。許せなかった。幸せだった日々はもう戻らない。それなら、私は魔女になろう。＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋こうして捨てられたグレーテルは魔女になったのです。学祭冊子用ネタ。

2005.09.26

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アヤ基本デザイン

ＡＲＥＡ主人公、アヤ・ギィダ。めちゃくちゃ女顔で口悪い設定です（　´∀｀）塗り途中だけどアップ。ＡＲＥＡ書いてて楽しいんですよ(・ω・)かれこれ構想からこれも３年くらい経ってしまうみたいですけど…ようやくｷﾀ━━━━(゜∀゜)━━━━!!!!って感じ。もうちょっと設定詰めて、いい感じになったらＳＳ本館にコーナー作ります。言っちゃうと昔から長髪キャラがすきです(/д＼*)でも、現実にはいりません。あくまで妄想の中だけでいいです。

2005.09.16

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ＡＲＥＡ　～真白き残光～

　政府廃棄エリア、Ｇ６５‐Ａ１。　既に市街は壊滅していた。生存者はいないように思わせるほど、冷たい静寂があたかも絶対者であるように辺りを支配していた。かつては高く聳えていた巨大ビル群は、最早その姿をとどめてはおらず、鉄骨を剥き出しにし、無残に打ち砕かれ倒れて道路を寸断していた。陽光は傾いたビルに遮られ、大きな影がいくつも落ち、それが更に気温の低下を助けているようだ。　凍てついた風が辺りを吹き抜ける。街はスノーボールに閉じ込められたかのようだった。　その死に絶えた街の中、中央道路にぽつりと二つの影が落ちている。黒い長衣に身を包んだ彼らが、住人ではないのは明らかである。ジャリリと瓦礫を踏むは黒く頑丈なブーツ。それはかなりの重量を持つ超技術召還仕様のもの、市民がそんなものを着用しているわけはない。「はぁあ、寒いな。こんな寒いなら調査隊も早く教えてくれりゃいいのにな。資料には載ってなかったぜ。この特殊軽量装甲(コート)でこんな寒いならよっぽどだな。…っと、ぶぁーっくしょん！！」　栗色の短髪をした男が大きなくしゃみをした。フードを目深にかぶって、縮こまり、寒さに震える巨体を抱えるようにしてさすっている。続けて何でこんな寒いんだとため息をつくと、呼気が氷の結晶となってはじけた。それをみて男は更に寒そうな顔をする。そして、白い手袋をした手の甲でぐいぐいと鼻をぬぐい、大袈裟にズルズルと音を立てた。それは大男には随分と似合わないしぐさに思えた。「…うるせェ。」「しょうがないだろ～。寒いもんは寒いぜ。って、アヤ、お前今日もコートしか着てないのか！？うっわー、風邪引くぞお前。あっ、馬鹿は風邪ひかないんだっけか♪」「言ってろ。」アヤと呼ばれた男はそっけなく答えた。こちらはゲインという巨漢よりも随分と細身で、黒く長い髪を冷気にさらしている。陶磁の如く白い肌をしていて、それが凍えた世界では一層白く見え、妖しいまでに目に映る。彼はゲインとは対照的に寒さを全く気にしていない様子だった。それどころか寒さに震えるゲインをみて鼻で笑い、更に毒舌を浴びせる。「はン、馬鹿はお前だ、ゲイン。」＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋取り敢えずお風呂入ってきますぅ。

2005.09.16

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お菓子の家の魔女

―天のいと高きところには神に栄光あれ、　地には善き人々に平和あれ。神に祈ろうとも、声は聞き届けられることはなく、この身は闇へと堕ちていく。それならば、祈らない。　空は黒い雲に覆われ、今にも雨が降り出しそうだった。生ぬるい風が鬱蒼と生い茂る木々を撫でる。どんよりと不気味な空気が辺り一面漂っていた。人間はもちろん、小鳥のさえずりも、虫の音も聞こえない。魔女が住むと噂される森の奥深くでは、それはいつもの見慣れた風景だった。　グレーテルは、沼の近くで白い花を摘んでいた。魔女に言われたとおりに、小ぶりなものを手際よく選び、左腕に持った籠に手早く入れていく。＜未完＞

2005.09.15

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ＡＲＥＡ　～帰還、そして出発～

向かいの部屋のドアが開く音がした。廊下にかすかに響く、錆びたドアの音。カレンはその音で目を覚ました。いつもは嫌な音だと思う。だけど、今夜はそんな気はしない。帰ってきたんだ。ベッドから起き上がると、ガウンを羽織った。底冷えする冷たい床をぺたぺたと歩いて、ドアを開ける。廊下は、消えかかった電灯が一つついているだけで薄暗い。誰もいない。真夜中、みんな眠っている。休めるうちに休まないとというのが仲間の考えだった。少女は足音を立てないように、そっと廊下の向こうの、ドアを開けた。―ギィイ…少しだけドアを開けて、その隙間からそっと覗く。間接照明だけの薄暗い、寒々しい部屋が見える。左手にあまり使われていないダイニング、右手に簡素なベッド。そして部屋の中央に据えられたソファー。アヤはそこに身を投げ出すようにして座っていた。黒く長い髪が血飛沫を浴びたせいで汚れ、幾筋もの束になって固まっている。床に無造作に放り出された戦闘用の黒いローブにも血は染み付いていた。ローブは随分と頑丈に作られているが、最早限界といったように擦り切れ破れている。「…お前か。」「おかえり。」「入れよ。」「うん。」「…チッ。」「入れって言ったじゃん。」「…言った。」少女は静かに青年の横に座った。「怪我してない？」「見たらわかるだろが。」「中々帰ってこないから死んだかと思った。」「勝手に殺すな。」「Ｂ地区はどうなったの？」「…壊滅した。」青年は苦々しそうに呟いた。それから思い切ったかのように途切れ途切れのように言う。「お前は、もう、部隊に組まれたのか？」「ううん、まだ資料調査ばかり。」「そうだろな。お前なんか来ても足手まといだ。」「そんなことないもん。」「部隊に組まれて、戦死してるかと思ったけど、全然だったな。一生内勤でもしてろ。」「失礼な。戦死してるかと思ってたのはこっちだよ。もういい。」「…ほざけ。」カレンは勢いよく立ち上がると、アヤを睨み付けた。「…何だよ。」「何でもない。」「じゃあ、もう寝ろよ。」「アヤの部屋のドアがうるさいから目が覚める。」「しらねぇよ。てか、もう寝させてくれよ。」アヤはため息をついた。体は疲れ果てている。明日も早いため、もう眠りたいというのが本音だった。休息はないに等しい。そんな彼を見詰めながら、カレンは先程とは違った面持ちで口を開いた。「…私、明日部隊に組まれるの。」その言葉に、ぼんやりと眠気に身を任せ始めていたアヤは目を見開いた。一瞬息を飲む。部隊に組まれるということ、それは戦闘地区に行くということだ。調査員はアヤたち戦闘員とは違う。死ぬ確率が高い。「冗談よせって。明日もどうせ資料整理だろ。」「嘘じゃない。セファン隊長の部隊。」「セファンの部隊だって、お前、冗談だろ。」「本当。調査部隊３人、戦闘要員３人の部隊よ。」セファンとは調査員のトップの男で、彼が表に出てくることはほとんどない。ということは、事態は深刻なのか。でも、何故、部隊に組まれたことのないカレンが動員されるのか。調査員は腐るほどいるのに。アヤの疑問は尽きなかった。「何で、お前なんだ？」「私が調査している部門だから。…一昨日トップが死んだ。だから助手をしてた私に回ってきたの。」「トップの間に合わせか。」「私が、彼と同じにっていうのは考えるのも失礼だわ。だけど、精一杯やりたい。」「他にいないのかよ。」「トップと私が極秘に調査してた部門なの。」「で、何地区に行くんだ？」「Ｄ８地区。」「…あそこは調査済みだったはずだろ。」「アヤ、もう、休んで。私ももう寝る。」「そうしろ。」「明日早いでしょ。疲れてるのにごめんね。」「…全くだ。」アヤは何も言わずに、立ち去るカレンの後姿を見ていた。心配じゃないといえば嘘になるが、そんなことを言うのは彼の性分に合わなかった。カレンは死ぬかもしれない。でも彼には何も出来ない。明日になれば彼は、カレントは別の戦場へと向わねばならない。黒髪がばらりと彼の顔におちた。カレンはドアノブに手をかけると立ち止まった。振り向かずに言う。「おやすみなさい。死ぬ前にもう一度会えて、良かった。」―嫌な音をたてて、ドアが閉まった。

2005.09.12

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カナリアの唄、考

次回作『カナリアの唄』ですが、サイコホラーアドベンチャーの予定だったんですが、変更しようと思うんですが…(「ですが」多いっつの何でしょう、これもヴィジュアルノベルになりそうだ…どーなるの。ヴィジュアルノベルにした時点で鬱決定なんだけど。でも、これは世に出したいものであって…えぇ、もう４年も温めてるんですよ。何とか形にしたい。選択肢作るか…それならいいかも。作っても多分鬱、バッドエンド三昧かも。あー、わかった。カナリアの唄続編をサイコホラーアドベンチャーにすればよかとですよ！！多分！！(自信なさ気だな；；てことは、またプロローグですか？？うーん(・ω・)どういうカタチにしりゃいいのだか…誰主人公にすればいいのやら。下手すると３部作。うまくいけば一部作。(って言うのか？

2005.08.30

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少女標本～我が儘～

いつまでたっても、すぐにカッとなる癖は直らなくて、癇癪起こすたびに後悔する。そうやって、誰かを試しているのか、何なのか、一体自分は何をしたいのだろか。悲しくなるたびに、還りたいと願う。でも、失くした物はもう戻らなくて、帰りたい場所はもう、ない。今を大事に生きようと思っても、想うのは過去のことばかり。多分、失くしてからでしかわからない莫迦なんだ。過去にすがって思い出を嘆くばかり。そんなことするより、もっと、やることがあるだろに。自分は何て莫迦なんだろと自分を見下げて呆れ果てる。仕方ないのさ。それ以上に自分を客観視するいい方法が今のところわからないし、わかったところで出来やしない。癇癪起こすたびに、自分を見失うから苦労する。誘惑に負けて、また自虐的になって、自傷をしそうになるから。でも、もうそんな自分が生きる隙間が、自分の中にないことだってわかってる。いつまでたっても、自分は昔と同じで変わらないのか、それとも遠く変わったのか。多分、両方が当てはまるから、奇妙で不思議で気持ち悪い。＋＋＋＋＋＋＋＋まとまりが悪いけど、中々気に入ったのでそのうち書き直す。ＣＧつけてアップする。

2005.08.25

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シルクハットの道化師と廃墟遊園地

空は妙に青々と底無しに澄んで、風がカサカサと吹き抜けた。誰もいない遊園地。それでも遊具は動いている。楽しげな電子音のメロディーも止まらない。それから、人々の笑い声も。　誰もいないはず、誰もいないはずなのに声は聞こえてくる。子供大人、男の子女の子、父親母親。遊園地が廃墟と化す前の、かつてのざわめきだ。モノレールから降りて少女は呟いた。「何処なのここは」いつのまにか一緒にいた小さな女の子は消えている。少女は途方に暮れ、暫くこの奇妙な遊園地をどうしたものかと眺めていた。しかし、期待に反して何も変わったことが起きる気配はない。彼女は仕方なくふらふらと歩き出した。そこには時代に置き去りにされた遊具があった。ミラーハウスにビックリハウス。ふと、少女はミラーハウスに人影を見つけた。「まって」人影は驚いたように立ち止まり、彼女の方へやってきた。「君はどうやってここに」「電車に乗ってきたの」「あのモノレールのこと」「そう」「僕もだ」二人ともあのモノレールに乗って此処に来たようだった。しかし彼女と彼の言うことはまるで噛み合わず、全く違う電車に乗ってきたみたいだった。不意に声がした。「それはおかしなことおかしなこと。言うことがそんなにも違うとは」いつの間にか二人は観覧車乗り場の前にいた。「さっきまで観覧車なんてなかったよね」「確かになかった」目をぱちくりさせる彼らをよそに、突然現れた道化師は口を閉じようとはしない。「ようこそ、この哀れな遊園地へ。放置されてもう幾年、ある字はもう現れません。あとは朽ち果てて行くだけのこの場所。久し振りのお客様、どうぞごゆっくりお過ごし下さいませ。あなたたちはとても幸運ですよ」「何故」「この遊園地が世界と繋がるのは、もう一年中でこの一日しかないんですよ」道化師は紳士らしく恭しいお辞儀をした。袖口からのぞく白いレースがひらひらと揺れる。「お客様は今日がどういった日かご存知ですか」「知らないわ」「万聖節前夜ですよ」「万聖節前夜？ハロウィンのこと」「そうです。一年のうちで一番魔力の高められる日」「それと何の関係が」少女のその問いに道化師は赤い口の端を吊り上げた。「わたしたちは今日だけ、こうしてお会いすることができるのです」「よくわからないけど、多分、私たちは迷い込んだのね」「ええ、全くそのとおり」　少年と少女は顔を見合わせた。それを黒い服の道化師は影法師のようにすんなり立って楽しそうにみていた。「どうすればいいんだろう」「帰れないのかしら」「ですから、どうぞ今日一日はここでお楽しみ下さい」道化師は帽子を取って両手を広げた。そのまま帽子を胸にあて、白い化粧の下から目を覗かせている。「今日一日しかわたくしどもの命はないも同然です」「そう言われても」「ほら、他のお客様もおいでになりました」二人が白い手袋の指がさす方を振り返ると、先程までは人影なんてなかったのにいつのまにか辺りは人で溢れている。「どういうこと」少女の問いに答えず、道化師はいたずらをする子供のような笑みを浮かべている。そして指を一本立てて、宙に円を描いてみせるのだった。紫色の軌跡が一瞬見えた。「魔法ですよ」少女にはそう聞こえた。「さあ、行きましょう」「どこへ」「メリーゴーランドです」「私たちに乗れと」「ええ、楽しい旅が待っていますよ。モノレールよりも楽しい旅が」「帰って来られるんだろうね」「もちろん。メリーゴーランドは止まるでしょう。あなた方が望めば」また道化師は意味有り気に微笑んだ。「さあ、急いでください」急かされるままにメリーゴーランドに乗り、出発の合図を待つ。人々でメリーゴーランドは溢れていた。「何が起こるんだろうね」「全くわからないわ」そして、出発の合図。ゆっくりゆっくりと木馬は上下に揺れ、回転を始める。ゆっくりゆっくりと、早くなってゆく。眩暈がしそうだった。ぐるぐるぐるぐると、木馬は目まぐるしく回る。あまりに早くて息が出来ない。気を失いそうだ、と少女は思った。そのとき視界の端に道化師を捉えた。彼は彼女に気付いているのか、やっぱり指を立てて宙に円を描くのだった。また、同じように紫の光が指先に宿っている。星雲のようだ。ぼんやり考える彼女の頭に道化師の声がはっきりと聞こえた。「魔法ですよ」道化師は帽子を取って深くおじぎをした。

2005.08.23

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ウェルカム、メルヘン

「いらさい、メルヘンの世界へ。私は案内人の小人です。」メルヘン！！ビバメルヘン！！何か妄想してみたい。メルヘンてかグリム童話大好きよ。何だろなぁ。。。ゴッドハンターグレーテルも考えなくちゃならんし。どうしたらいいんだか。ラプソディのリメイクをやるまで何やろぅ。あかずきんとかどうですか？？あー…でもあれ作画がめんどうだ。うーんうーん…小説コーナーにいきそうだなぁ。おぉ、ＳＳも考えねば！！やりたいことはいっぱいなのに、無情に時間が過ぎてゆくぅ…

2005.08.22

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ゴッドハンター　グレーテル、或いは不幸なヘンゼルの物語

今日、部活で学祭で発行する冊子に載せる小説のネタを考えていました。私の担当は『ヘンゼルとグレーテル』のアナザーストーリー…何か、グレーテルがすごいことになります。今の設定だと、グレーテル、魔女ですよ。ありえなーい(・ω・)この冊子有料発行予定なので、WEB上にあっぷすることはできないかもですが、多分ここをメモにするので小ネタをちょこちょこ出すでしょう。。。うーん、そろそろ忙しくなりそうだから、明日中にアリスは仕上げて明後日公開です

2005.08.17

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カナリアの歌、不完全版

　鳥籠からカナリアが逃げ出した。白い羽根を美しく羽ばたかせて、あっという間に私の手から逃げ出した。大空へと逃げ出した。　大きな大きな鳥籠に、小さな小さな白いカナリアを幽閉していた。それはまるで夢の様だった。今はもう鳥かごには何もいない。綺麗な夢は一瞬にして掻き消え、私は窓から四角い空を見ては白い影がないことを認めため息ばかりついている。隣にある赤銅の錆びた鳥籠は、最早私を憂鬱にさせるだけだ。　カナリアは逃げ出してしまった。　殺風景な日常が続いた。私の部屋は白く冷たく、何もない。耳を澄ましてみても只静かで、全てからひっそりと隔絶されている。空っぽだ。無機質と言う言葉が良く似合う。白い白い染みひとつない壁、四角く切り取られた窓、冷たい床。これが、私の世界だ。そこに私は立ち尽くしている。　カナリアが逃げ出してからの毎日を私はため息の中に過ごしてきた。白い壁を見つめ、空を眺め、鳥籠を眺め、ぼんやりとしていた。カナリアがいない生活はこんなにも寂しくつまらないものかと私は虚無感に捕らわれ続けた。唄が聴きたかった。小さな白いカナリアが歌う唄が聴きたくて堪らなかった。だけど、カナリアは帰って来ない。　一週間が経った。その朝目を覚ますと、カナリアが以前と同じ様に鳥籠の中にいた。優しい唄を歌っている。だけど、どこからどうやって帰って来たのかわからない。確かに窓は閉まっていたし、鳥籠も閉めてあった。不思議だった。でも、戻って来てくれたのならば私はそれでいい。カナリアは私をじっと見つめている。その瞳は黒く美しく魔法のようだった。そして無機質な世界は静かに静かに色付いていった。また、カナリアとの生活が始まるのだ。　次の朝目が覚めると、鳥籠のカナリアは二羽に増えていた。どこかから入り込んだのだろうかと私は不思議に思い二羽をよくよく調べてみた。だけど、全く相違がない。二羽は完全に同じだ。しかも、鳥籠はきちんと閉めたはずだった。わからない。なぜカナリアは二羽になったのだろうか。悩む私にお構いなしに、彼らは可愛らしく囀っている。鳥籠はとてもとても大きい。それならば、別に気にしなくてもいいのかも知れない。　更に次の朝、鳥籠のカナリアは四羽に増えていた。調べてみれば、やはり四羽は完全に同じである。どこも違った点は見受けられない。どうしてカナリアは増えていくのだろうか。まるで増殖でもしているかのようだ。本当にわけがわからない。　そしてまた次の朝にはカナリアは八羽になっていた。鳥かごの中で彼らはぱさぱさと蠢いている。白い羽根が床に少し落ちていた。私はそれをつまみ上げて日に透かしてみた。本当に真っ白だった。カナリアたちはきいきい鳴き続けている。　それから毎日毎日カナリアは増え続けていった。そしてある日、大きな大きな鳥籠は小さな小さな白いカナリアでとうとういっぱいになった。隙間もないくらいカナリアたちはぎゅうぎゅう詰めになって、か細くぴいぴいと鳴いている。柵の隙間から、足や羽、そして首が飛び出していて、ぴくぴくと動いていた。まだ増えるのだろうか、私は突っ立っていた。　夕焼けが空を赤く染め上げ、鳥籠のカナリアたちにも赤い光を投げかけている。白い白い体は真っ赤に染まり、その中でカナリアたちは尚ももがき続けていた。　翌朝目覚めるとカナリアたちは死んでいた。鳥籠の中で折り重なって、みんなみんな死んでいた。小さな白い体はぴくりとも動かず白い蝋細工のようだった。もうぴいぴい鳴くこともない。みんなみんな死んでしまった。もう、帰ってくることはない。　鏡の前に私は突っ立って考えてみた。どうしてカナリアは逃げ出し、戻ってきて、増殖し、そして死んだのだろうか。あんなに可愛かったカナリアは、増えて増えて増え続けるうちにいつの間にか私のカナリアではなくなり、ついには煩いだけの肉の塊と化してしまった。最後には憎くなった。　　鏡の中には私が映っている。黒い髪が白いワンピースにゆらゆらと揺れかかっている。白い世界もいつかは汚れ、私を圧迫するようになるのだろうか。私もいつまで此処にいられるのだろうか。気付かないうちに、この体はどんどんと汚れていってしまう。何もかも汚れていってしまう。私は髪を引っ掴んで、金色の鋏でばっさりと切った。鏡には歪んだ顔が映っている。　その夜、久々にテレビをつけた。ものごとは自分の目で見るまでは偽物だと思う。ニュースも何処まで信じていいのかなんてわからない。現実を入手するには一体どうしたらいいのだろうか。ぼんやりした頭で考えてみるが、やっぱりぼんやりしているからわからない。私は床に投げ出した足でチャンネルをかえた。何回も何回もかえた。あんなにあんなに可愛かった私のカナリア、増え続けたあのカナリアは本当に私のカナリアだっただろうか。　私はチキンをかじっては吐き捨て続けた。　そしていつも通りにまた静かな朝が訪れた。眩しさに目を細めれば、白いレースのカーテンの向こうに澄み切った青い空が見える。ふと鳥籠に目をやれば、そこにはたくさんのカナリアたちは消えて、一羽の小さな白いカナリアが静かに静かに横たわっていた。私は駆け寄った。鳥籠を開けてそっと手を触れてみる。冷たかった。硬くて、まるで石のようだった。唄歌うカナリアは死んでしまったのだ。　不意に涙が溢れ出た。私は大声を上げて泣きだした。涙は止まらず、ぽたりぽたりとカナリアの羽を濡らしていく。いつまでもいつまでも、私は泣き続けた。=============================４年程前に書いたもの。恥ずかしながらアップ、読むと不快になること確実。あまりに酷い話なので、途中までにしときます。ついに、サイコホラーゲームに生まれ変わります。鬱ゲー間違いなし！！

2005.08.15

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世界の薔薇の物語～断片１～

世界が壊れ、宇宙が剥き出しになった空の下で、私たちはかろうじて生きていた。彼が生き残るのは当然のことだったが、私が生き残ったのはどうしてなのかわからなかった。私はもう既に役目を果たしていた筈だった。ぐちゃぐちゃに壊れた茶色い風景の中、彼はまったく無傷で、まるで神のように眩しいのだった。「大丈夫？」いつもと同じように優しい口調で問う。私は、もう声が出ない。ただ彼を見詰めるだけ。彼は慈悲に満ちた顔に、不安を抑えきれないでいた。「ねぇ、僕はどうしたらいいの。一体何が起こったのかすらわからない」私の声は、喉から空気となって漏れるだけで、ことばにならない。でも伝えなければならないのはわかっている。世界に何が起こったのか、そして、彼はどうすべきなのか。もどかしい。こんなにも自分の体が脆く壊れていくのが、こんなにも自分が弱いのが。どうしても、私は彼を守りたかった。全意識を集中して、声を、振り絞る。「世界の薔薇が枯れたのよ。」「世界の薔薇を、助けて、世界を元通りに」これは、私に課せられた最後の使命。彼の道標になること。彼に使命を告げること。私はかつての約束を今果たした。これでいい。意識がかすれていく。でも、本当にこれでいいのだろうか。大切なことを伝えたいのに。あと一言だけ。あと一言だけ伝えたい。「僕には無理だよ。」「母さん…いかないで。僕を置いていかないで。どこへもいかないで」彼はぽろぽろと涙をこぼした。幼い頃のままだなと思う。この子の本当の母親になりたかった。選ばれし神の御子に、私が愛していると伝えることなど到底許されないのだろうけれど。それでも。愛している。心の底から。私のいとし子、この体が朽ちて魂が消えようとも、お前を見守り続ける。喩えそれが許されないとしても、最後まで私はこの子の母親であったと信じたい。どこからか遠く歌声が聞こえ、そして私は目を閉じた。

2005.07.27

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現実逃避　part3

台風が近付いてきていますね。ガッコ休みになると嬉しいものですが、まぁ小中高校生のみなさんは既に夏休み突入してるみたいだから、今回の台風は夏の予定を狂わせそうな邪魔者ですねぇ。私はまだガッコなんでいつもだと休みになれと呪う様に祈るんですが、今テスト中なんで、正直台風来てほしくない。もし台風が来て、ガッコ休みになったら…テスト延期とか？来週にやりますとか言われたら、それこそ呪う。夏休み突入ーとか思ってるのに、来週テスト受けに来てくださいとか言われたら…誰でも呪いたくなるでしょ！！ｗｗ明日はラテン語のテストです。今から動詞の活用を覚えるとです。あぁ、何か遠い…夏休みが遠い…orz

2005.07.25

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現実逃避　part２

ラテン語のテストが憂鬱でならず、手もつけられない。憂鬱だからこそ勉強しろよと思うのだが、現実逃避ばかりしている。昨日は５時間も昼寝してしまい、結果、夜眠れず不快な思いをした。今日は昼寝をしないことに心を決めている。夏休みと私を隔てているテストというこの大きな壁が毎度ながら憎くて仕方がない。どうしようもないことはわかっているが、やはり楽しみは苦しみの向こうにあるということか…仕方がないので妄想をする。時々『ワールドへ帰る！！』と駄々をこねてみる。大概、憂鬱な時とか現実世界において満足できずどうしようもない時しかワールドへは還れない…だから、テスト前は絶好のチャンスである。今日は懐かしい本を手にとって見た。福永令三氏のクレヨン王国シリーズ、小学生の時によく読んだ児童文学。本棚の奥に眠っていた(本が入りきらなくてもう何段にもなっている)のだが、懐かしい気持ちになった。大人になったなぁと思うときは、懐かしいなぁと何かを思い出してしまうときに多い。確か、小学生の時は(小学生の時に限らないが)すごく夢見がちな子供で、妖精とかが出てくるファンタジーやメルヘンがほんとに大好きだった。内向的な子供だったので、外で遊ぶことよりも家にいることがすきで、友達と遊ぶよりも本を読むことが好きだった。あの頃、知識は本からすべて学んだといってもいい。本を読み、登場人物に感情移入し、その世界の中に身を委ねるのが好きだった。本当に夢見がちな子供だった。そう思う。それ故に社会にうまく適合できないことは自分でもわかっている。あまりに夢の世界に浸りすぎた。楽しかったと心から言えるのは小学生時代だけだ。その後中学時代、高校時代はまさに憂鬱とそして諦念と共にあったと言っても過言ではない。楽しかったことは何かと言われれば数えるほどしかない。今こうして思い出すと、もっと自分に勇気があれば楽しめたのだろうなと思う。私は他人を恐れていた。後悔はない。これで良かったとは思っている。ただ少し残念なだけだ。

2005.07.24

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涙の池

「シロウサギ？」アリスは辺りを見回すが、そこにシロウサギの姿はなかった。霧がかかり、風景はぼやけている。「どこに行ったの？」仕方なく手探りで進むと、急に床がなくなった。降下。ガクンとアリスは竪穴の中へと落ちていった。＋＋＋＋＋＋＋メモです、メモ。アリスたぶんこんな感じ。

2005.07.10

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夏のうちにやりたいこと

ぼんやりしながら考えてみました。ゲーム編です。１：『雨の日のラプソディ』のリメイク２：ヴィジュアルのベル『闇夜に舞い散る黒い羽根』製作３：『プッペントルーフルーペンポウ』(作業系ゲームにしたいから完成は遠そうだなぁ)４：『幻惑の国のアリス』予告編だけでも…考えてみるとやりたいこと多すぎます。春休みもいろいろ予定だけは立てたけど、全部挫折しましたが(:゜д゜：）今回はどうなるんでございましょ。春休みはバイトが週６くらいで入ってたから、ヒッキーする時間がなかったって言い訳させてくださいm(｡･ε･｡)m今日でバイト辞めるし、春休みの二の舞は避けたいものです夏休み。

2005.07.09

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闇夜に舞い散る黒い羽根

　一人で、こんなに遠くまで出掛けるのは初めて。僕は小さな電車にガタゴト揺られていた。車内は狭く、前のボックス席の老婆と足がぶつかりそうだ。先程から老婆が僕を見ていることには気付いているが、知らない振りをし続けている。僕はひどくふさぎこんでいて、何も喋りたくなかった。でも、目を閉じればまた嫌な思い出が瞼の裏に浮かぶから、それもできない。だから、じっと、窓の外を見続けた。窓の外には寂れた街が見える。列車の吐き出す黒煙が景色を汚している。「坊ちゃん、お菓子をやろう。一人でどこまで行くんだぇ？」人のよい笑みを浮かべ話しかける老婆と対照的に一言だけ答える。「…地獄街へ。」微笑は歪み、目は見開かれる。老婆が震えているのがわかった。　母が死んだ１０歳の夏休み、僕は地獄街で過ごした。＜続く＞

2005.07.07

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世界設定

今日授業の空き時間にスティラデラム(仮)の世界設定を考えました。てか、スティラデラム(仮)です。えぇ、(仮)ってことをお忘れなく。てか、もはや女神が女神じゃなくなったりしてます。最初の頃の路線とだいぶ変わっちゃいましたね。確か純ファンタジーだったのにな…よくわからん。だいたいこれで時代設定とかはいいけど、まぁ、細かいところをあとは詰めていこうと思います。

2005.07.01

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ゲーム、幻惑の国のアリス

BLOODY CHRISTMAS改題、幻惑の国のアリス。全５話。舞台は黒の大陸、マッドハッターの館。まだ、黒と白の両大陸が分裂し、争っている中世期の物語。一話ごとにアリスが違う冒険をします。基本的にヴィジュアルノベル、ゲーム要素は少ないです。＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋目を覚ますと、マッドハッターとサンガツウサギそしてネムリネズミがテーブルを囲んでカードゲームをしている。「あ、アリスが起きたよ。」お茶はいかがとネムリネズミ。記憶をなくした少女の名前はアリス。ぐるぐる回るメリーゴーランドのような奇妙な物語が始まる…第一話『途切れた記憶』今夏、公開予定。第二話『夢の中の歌声』(仮題)今秋、公開予定。

2005.06.30

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受難のピエトロ、悪夢の１５日

また、１５日がやってきた。ピエトロは引きこもりそうな自分をひたすら励ましていた。「逃げちゃダメだ逃げちゃダメだ…」時間は刻々と迫ってくる。クリスタニア王に今日は謁見しなければならないのである。王はさほど問題はない。問題は…末の王女・コレロ。そして、ピエトロと「ばるーん」というユニットを組んで活動しているミザリィ。女の戦いが始まる…コレロ王女に突撃されて骨折するもミザリィに橋の下に突き落とされるも、ピエトロの運命はあなたの手に委ねられている！！生きろ！！＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋＋次回、初ＤＬ型作品。白の大陸・クリスタニア王国での物語。短編アドベンチャーです。

2005.02.19

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The world's end -Arim Lab log

[SS用ネタ] カテゴリの記事

あの空の虚ろなる １

雨の日のラプソディ

レンズ

鏡の中のプーパエオルクス～３．月下の檻～

鏡の中のプーパエオルクス～２．薔薇の午後～

鏡の中のプーパエオルクス～１．少年と館～

鏡の中のプーパエオルクス～オーヴァーチュア～

あの空の虚ろなる～プロローグ～

Scenery in limit

君の歌声の虚ろなる

mystic mist

雨の日のラプソディ

THE WORLD

人魚の涙(1) ～ケイ・シィックのオトギバナシ～

鏡の中の鏡(1) ～ケイ・シィックのオトギバナシ～

世界の薔薇の物語―設定

点在する世界

Genesis of Res deae

白昼夢―kanariya002_prototype

夢の果て-kanariya001

白昼夢

コダマ。＃１電車

Pro patria～破滅のマリア～第一章：隔離の塔

世界の薔薇の物語―終わり

世界の薔薇の物語

世界の薔薇の物語―少女と機械

お菓子の家に住む魔女

アヤ基本デザイン

ＡＲＥＡ ～真白き残光～

お菓子の家の魔女

ＡＲＥＡ ～帰還、そして出発～

カナリアの唄、考

少女標本～我が儘～

シルクハットの道化師と廃墟遊園地

ウェルカム、メルヘン

ゴッドハンター グレーテル、或いは不幸なヘンゼルの物語

カナリアの歌、不完全版

世界の薔薇の物語～断片１～

現実逃避 part3

現実逃避 part２

涙の池

夏のうちにやりたいこと

闇夜に舞い散る黒い羽根

世界設定

ゲーム、幻惑の国のアリス

受難のピエトロ、悪夢の１５日

The world's end　-Arim Lab log

あの空の虚ろなる　１

人魚の涙(1)　～ケイ・シィックのオトギバナシ～

鏡の中の鏡(1)　～ケイ・シィックのオトギバナシ～

ＡＲＥＡ　～真白き残光～

ＡＲＥＡ　～帰還、そして出発～

ゴッドハンター　グレーテル、或いは不幸なヘンゼルの物語

現実逃避　part3

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