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2007.01.01
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カテゴリ:コラム
約1年に渡って、私なりに機械式時計のムーブメントの価値について(独断と偏見に満ちた?)考察を重ねてきましたが、2006年を振り返りつつ、このお題について最終回としたいと思います。今後も不定期ですが、新たなお題を見つけてやっていきたいと思いますので宜しくお願い致します。(ただいま喪中のため新年のご挨拶はご遠慮させて頂きます)


前回までの内容


では最後に、私の独断と偏見で(!?)今こそ買う価値のある時計(ムーブメント)を選んでみたいと思います。

(1)有り余る資金がある人へ
 一押しはフランソワ・ポール・ジュルヌの「ソヌリ・スヴレンヌ」「トゥールビヨン・スヴラン デッドセコンド」「クロノメーター・レゾナンス」辺りでしょうか。彼のムーブメントは独創的かつ精度や機能を最優先させた、非常に良く考えられたものだと言えます。しかもどれも他社が搭載していない(できない)特別な機構を搭載しています。リピーター以上に複雑と言われる「グランソヌリ」は幾重にも安全装置が装備され、誤操作による故障を徹底的に排除しています。トゥールビヨンに搭載された定力装置「ルモントワール」は、トゥールビヨンの弱点であるテンプの振り角低下を改善し、また視覚的な動きの面白さも通常のトゥールビヨンの比ではありません。最後は二つのテンプを「共振」させることで高い精度を発揮する「レゾナンス」、なぜ共振して、なぜ精度が上がるのか、全くもって理解不能ですが、見ているだけで深遠なる物理の世界に思いを馳せることができそうです。どれも時計史に名を残すであろう素晴らしい逸品であると思います。
 まあ、資金が有り余っているような方々は私の意見など聞かず、ピン!ときたものを好きなだけ買って下さい!(すいません、半分やっかみですw)

(2)100~300万くらいで買うべきは?
 この辺のクラスは候補が沢山あって迷うのですが、やっぱり歴史があり、真面目な時計造りに定評があるメーカーをお奨めします。パテック・フィリップ、オーデマ・ピゲ、ヴァシュロン・コンスタンタン、ブレゲ、ブランパン、ジャガー・ルクルトロレックス、ランゲ&ゾーネ、グラスヒュッテ・オリジナルetcと、これらならどれを買っても間違いはないでしょう。
 個人的にお奨めしたいのはランゲ&ゾーネの「リヒャルド・ランゲ」。3針の極めてシンプルな時計ですが、精度に拘った素晴らしい造りです。ドイツ伝統の3/4プレート、センターセコンドにするための出車、ビス止めされたゴールドシャトン、ガンギ車受けの油保持のプレート、スワンネック型微調整装置、テンプ受けの凝った装飾など、全て完璧に仕上げられ往年の高級懐中時計を思わせる意匠。自社製巻上げひげを使用したフリースプラングシステムを採用し、ひげ持ちの微調整にスワンネックを採用するなど、徹底的な美と精度への追及が窺えます。これほど外観の美しさと精度を両立させたムーブメントはないのではないでしょうか?18KYGが200万円台前半、Ptが300万円台半ば、決して安くはありませんが、価格以上の価値は間違いなくあると思います。

(3)30~100万円くらいだと?
 この辺になると、まず自社製か否かで迷うことになります。自社製ムーブメントでお奨めしたいのは、まずロレックスです。40~50万円で十分素晴らしいムーブメントが買えます。Cal.3135(デイトジャスト系、サブマリーナデイト、シードゥエラーなど)、Cal.3155(デイデイト)、Cal.3185(GMTマスターII、エクスプローラーII)と、どれもデイトジャストを装備し、両持ちテンプ受け、巻上げひげのフリースプラングです。この他、ジャガー・ルクルト、ジラールペルゴ、ゼニスIWC、グラスヒュッテ・オリジナルなども、シンプルなSSモデルなら100万円以内で自社製ムーブメント搭載モデルが購入可能です。あと忘れちゃいけないのが我が日本が誇るセイコーですね。
 しかし、私はあえて自社製以外のムーブメントをお奨めしたいと思います。特にETAベース。例えばIWCのパイロットウォッチ系やアクアタイマー、オメガのコーアクシャルモデル、ブライトリングモーリスラクロアなど、それぞれのメーカーで徹底的にチューンナップされたものばかりです。ETAのムーブメントは大量生産品ということで、どうしても安物扱いされ、性能もそれなりというようなイメージが定着していますが、その多くは長年に渡り改良されながら生産されてきたムーブメントで、信頼性の面では前出のマニュファクチュールに勝るとも劣らないと思います。精度においても機種によってはちょっと手を加えるだけで楽々クロノメーターを取得できるくらいの実力を持っています。しかも後年のメンテナンスを考えれば、少なくとも部品は市場に大量に出回っているわけで、部品がなくてメンテできないということにはならないでしょうし、メーカーでなくても街の時計屋さんで十分メンテナンス可能というのは大変心強いと言えます。そして「自社製」と謳っているのもに比して大幅に安価のものが多く、これらのことを踏まえるとETAベースのムーブメントが如何に割安で、堅い買い物であるかがお解かり頂けると思います(あくまでも相対的な評価としてです)。
 実用重視(精度重視)ならIWCブライトリング、コーアクシャル脱進機やフリースプラングに魅力を感じるならオメガ、シースルーバックの眺めを楽しむならモーリスラクロア、をそれぞれお奨めします。

(4)30万円以下のエントリーモデルでは?
 30万円以下の機械式時計では、基本はETAポンです。ETAポンとはETAのムーブメントをそのままポンと乗せただけの時計を指します。もちろんポン乗せではなく、きっちり仕上げやモディファイがなされたものも多くありますのでETAポン限定ということではありませんが。
 まずお奨めするのはドイツのノモスでしょうか、このメーカーはETAのプゾー7001を徹底的にモディファイした手巻きモデルもかなりお奨めですが、今年(2006年)発売された自社開発の自動巻きを搭載した「タンゴマット」が大変魅力的です。一年に及ぶ動作テストをした後再度オーバーホールを実施するという工程を経て販売されたものが30万円以下というのは「あっぱれ」と言う他ありません。
 次にお奨めするのはずばりETAポン(またはほぼポン乗せ)時計です。中でもスウォッチグループに属すブランドは非常にコストパフォーマンスが高いと感じます。スウォッチグループと言えばETAの他レマニアやFPなどのエボーシュメーカーを傘下にしており、オメガをはじめブランパン、ブレゲといった高級ブランド、ハミルトン、ラドーの他グラスヒュッテオリジナルなどを抱えています。当然自グループ内で優先的にエボーシュを供給することができ、グループ内のブランドは時計の価格を抑えることができます。ETAポンの代表ハミルトンなどは、ケースなどのムーブメント以外の部分に高いオリジナリティーとクオリティーを発揮しながらも、非常に優秀なコストパフォーマンスを実現していると言えます。
 これは私の考えですが、「腕」時計である以上、ムーブメント以上にケースやブレスレットのクオリティーを重要視するべきだと思います。懐中時計から腕時計への進化の歴史は正にケースやブレスレッド(ベルト)の進化の歴史と言っても過言ではありませんから。(本コラムの趣旨とは少々矛盾していますが)
 スウォッチグループ以外では、オリスエポスボールなどががんばっており、今のところスウォッチグループに勝るとも劣らないと思います。

 以上が、今私が考えるお奨めできる時計です。なんだか抽象的で今ひとつはっきりしない感じですが、上記を参考にご自分の時計選びを楽しんで頂けたらと思います。
 但し、ETAのエボーシュ供給縮小が本格化する2010年以降、恐らくあらゆるブランドのあらゆる時計が値上がりすることは必至であり、例えETAポン(ポン乗せ以外も)と言えど、今のようなお手ごろな価格では買えなくなってしまうことが予想されます。まずスウォッチグループ以外のブランドがETAのような低価格なムーブメントを使うことができなくなり、必然的に価格が上がるでしょう。ライバルがいなければスウォッチグループもいつまでもETAポンを低価格では販売せず、必ず値上げをするはずです。これは今後3年間の内に、ETAに代われるような供給力を持ったエボーシュメーカーが現れない限り、回避できないと思います。ですので、あまり喜ばしい未来は想像しにくいのですが、ETAのムーブメントを低価格で購入するなら、今(2010年まで)しかないのかもしれません。

 少々暗い見通しで締めることになってしまいましたが、幸い日本のセイコーオリエントはETAとの関連がないので、2010年以降も大きく状況が変わることはないと思います。また、ロシア製ムーブメントを乗せた時計もどんどん増えてくると思われ、一方的にETA(スウォッチグループ)の思惑通りにはならないでしょう。
 何れにせよ、各時計ブランド(&エボーシュメーカー)はいい加減価格の吊り上げ合戦をやめ、我々一般的な消費者に眼を向けた時計造りをして頂きたいものです。





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Last updated  2007.01.01 11:41:50
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