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2007.08.19
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カテゴリ:Breguet
 今年のバーゼルで発表されたブレゲの新作「トラディション・トゥールビヨン・フュゼ」。2005年に発表された「トラディション」シリーズの新作にあたります。

2007 Breguet Tradition Tourbillon-Fusee

 まず目を引くのはあまりにも印象的な文字盤の意匠です。前作同様丸見えの粒金仕上げムーブメントをバックにオフセットされた小ぶりのダイアルは、シリーズに共通する、創業者である、かのアブラアン-ルイ・ブレゲが製作した懐中時計をルーツとしていることを強烈にアピールしています。
 意匠もさることながら、前作では「パラシュートサスペンション」というブレゲが発明した耐震装置を腕時計に復活させたことで大きな話題になりましたが、今年の新作は「トゥールビヨン」+「フュージー(詳しくはこちらを参照)」という、2つの「大掛かりな」複雑機構を搭載した、正に「怒級」という言葉が相応しい芸術品です(値段も怒級ですが^^;)。ちなみに「フュゼ」は「FUSEE(フュージー)」のフランス語読みだそうで、ブレゲの創業地がパリであったことから「フュゼ」と呼ぶそうな。

 腕時計が抱える潜在的な問題点として、姿勢変化による姿勢差と、ゼンマイが発生するトルクの不均一があります。まず姿勢差を解消するべくアブラアン-ルイ・ブレゲによって発明されたのが「トゥールビヨン」であることは周知の通りです。つまり前作の「パラシュートサスペンション」に当たる今作のハイライトは「トゥールビヨン」なのだと思います。そしてトゥールビヨンとして期待される精度を得る為に必要なのが、ゼンマイのトルクを一定に保つための定力装置であり、ブレゲが今作に採用したのが「フュージー」であったと。
 一口に「定力装置」と言っても「フュージー」の他、FPジュルヌの「ルモントワール」やランゲ&ゾーネの31日巻きに搭載されるものなどいくつか種類がありますが、ブレゲが「フュージー」を採用したのは、やはり「トラディション」シリーズに共通する「創業者が創った数百年前の懐中時計」のイメージにはこれしかなかったのでしょう。

 また、チタン製のテンワに2対のミーンタイムスクリューを持つテンプなど、最新技術もしっかり盛り込まれています。そもそもフュージーを直径41mm厚さ16mmの腕時計に収める事自体がかなり高度な最新技術の塊とも言えます。(市販品でフュージーを腕時計に収めたのはブレゲ以外ではランゲ&ゾーネの「プール・ル・メリット」だけです)

 かなりの高額モデル(1800万円オーバー!)ですが、昨今「ただの」トゥールビヨンでも1000万円を軽く越えるのが当たり前ですから、それを考えれば妥当な、むしろリーズナブルと言える価格設定かもしれません(って本当に買う人は値段なんてあんまり気にしなさそうですが^^;)。
 ゼンマイを巻くのがこれほど楽しみに思える時計は、他にちょっと思いつきません。なんとも贅沢な時計です。


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Last updated  2007.08.19 19:58:21
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