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2010.03.21
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 今年も新作の発表、ジュネーブサロンとバーゼルフェアが開催されました。ジュネーブサロンは既に(というかとっくに)終わっていますが、気になった情報をいくつか採り上げたいと思います。

 先ずはパネライの新作ムーブメント。
 手巻きの「Cal.P.999」。昨年発表されて大注目だった、自動巻き「P.9000」シリーズ同様完全自社設計ムーブメントですが、少々趣が異なるもよう。最初の搭載モデルはラジオミール P.999 42mmで、価格はCal.P.9000を搭載したルミノール1950 3デイズオートマチックと同等であるものの、GMTやパワーリザーブインジケーター搭載バリエーションは無く、代わりに金無垢とチタンモデルがあります。

主要スペックを比べてみますと、
<Cal.P.9000系>
サイズ 直径31.8(13・3/4リーニュ)、厚さ7.9mm
振動数 28,800/h(4Hz)
石数  28石
パワーリザーブ 72h
調速方式 フリースプラング(調整用スクリュー4箇所)

<Cal.P.999系>
サイズ 直径27.4(12リーニュ)、厚さ3.4mm
振動数 21,600/h(3Hz)
石数  19石
パワーリザーブ 60h
調速方式 緩急針(スワンネック、チラネジテンプ)
     ※スワンネックは金無垢モデルのみ

 先ずサイズですが、パネライムーブメントとしてはかなり小ぶりと言えます。そしてこれを搭載したラジオミールも一回り小さな42mmです。これは近年のシンプルウオッチに見られる小径薄型化に準じたものでしょう。
 そして、ひたすら性能重視だったP.9000系に対し、P.999はロービートのチラネジテンプにスワンネック緩急針を採用するなどオールドスタイルをとっており、完全に審美性重視のムーブメントであることが分ります。ハイビートでフリースプラングの方が性能的に勝っていることは確かでしょうが、チラネジが沢山付いた大きなテンプがゆったり振動する様は、確かに機械式時計好きの弧線に触れるはずです。
 ただ、なんとなく違和感を覚えるのは、審美性重視はパネライのアイデンティティーに反していないのか?というところです。もちろんP.999が性能を無視しているとは思いませんが、今まで一貫してフリースプラングを採用してきた自社開発ムーブメントとは明らかに違う思想で設計されていると思われます。
 また、審美性を重要視しながらブリッジの仕上げがサテン仕上げというのもなんだか中途半端だし、ブリッジの分割形状も曲線を多用しながらも今ひとつ美的センスが感じられない(これは個人差があるのでしょうが)。というのが個人的な感想です。

 近年のトレンドとして、自動巻き=性能重視、手巻き=審美性重視、という流れができてきているようですが、美しい手巻きムーブメントが相応しいのは、無骨な実用時計ではなくドレスウオッチのような繊細な時計ではないでしょうか?そこにブランドイメージが重なって美しさに深みが増すというか。
 パネライがパネライとして美しさを表すなら、やはり機能・性能を追求した結果の「機能美」こそが最大の魅力になるのではないかと思います。ただこういった「らしくないモデル」は往々にして生産数が少なく、後年コレクターモデルになったりするんですよね(^^;)




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Last updated  2010.03.21 20:04:06
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