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Rakuten Card

2010.04.11
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 ペキネ(PEQUIGNET)。名前は聞いたことあるし、腕時計を作っているということも知っているブランドではありますが、あまり印象がなく、どんな時計作ってたっけ?というのが正直なイメージのブランドですが、今年発表された自社開発ムーブメントには大きな可能性を感じます。
 1973年創業という比較的新しいこのフランスのブランドは、ファッション大国らしいラグジュアリーなジュエリーウオッチを展開していますが、スイス製機械式ムーブメントを取り入れたハイクオリティーな機械式時計はヨーロッパでは高い評価を得ているようです。日本での知名度は今ひとつ(というか全然?)ですが...

Emile Pequignet Royal Collection with In-House Calibre

 今年のバーゼルフェアで発表された「Cal.ロワイヤル」は、ペキネ初の自社開発の自動巻きムーブメントで、4時位置にスモールセコンド、8時位置にパワリザーブ、そして大型ディスクを使用したビッグデイトと大型の曜日表示を持つのが特徴です。6時位置に大ぶりなムーンフェイズを持つバージョンもあり、文字盤はかなりコンプリケーションな感じです。
 パワーリザーブは88時間もありますが、精度を維持できるのは72時間までとしており、パワーリザーブインジケーターは0~72と-16を分けて表示するなど配慮がされていて好感が持てます。

 ムーブメントを見ると、ややオフセットされた自動巻きローターが特徴的です。テンプが半分隠れる程度までオフセットされたローターは、4/5ローターとでも表現すればイメージが沸くでしょうか。そしてこれにより見やすくなったテンプを見ると、緩急針を持たずテンプに4つ取り付けられたマイクロスクリューで緩急調整するフリースプラングであることが分ります。
 また、長いパワーリザーブは、流行の複数の香箱を持つ方式はなく一つの巨大な香箱により実現しています。但し従来のように芯で巻き上げて香箱で輪列にトルクを与えるのではなく、香箱で巻き上げて芯からトルクを与えると言う、真逆の構造を持っています。これは香箱が大きくなることで、ゼンマイが解ける際の振動や姿勢差(重力の影響)が大きくなるため、香箱より遥かに軽量な芯をトルク伝達に使用したものです。部品点数をむやみに増やすことなくロングパワーリザーブを達成しており、なかなかよく考えられたムーブメントであることが伺えます。

 そして驚くべきはその価格設定。ムーンフェイズ無しのSSモデルでは60万円以下という情報もあり、フリースプラングの機能満載マニュファクチュールムーブメントと考えると、かなりのバーゲンプライスです。中途半端な機械式時計ブランドでは太刀打ちできないでしょう。

 ここ1~2年の間に様々なブランドが魅力的なマニュファクチュールムーブメントを発表しています。ETAの2010年問題は単に機械式時計の高騰を助長しただけではなく、良質なムーブメントの選択肢を確実に広げてくれています。これがスウォッチグループの思惑通りなのかどうかはさておき、ニコラス・G・ハイエックのコメント「スイスの時計産業のどこにもイノベーションはない。どこにも新規開発はない。だから私は、彼らが新規開発に踏み切れるよう後押ししたのだ」(’03年1月)は、単にETAムーブメントの供給停止を正当化する「建て前」のように思えましたが、その実スイスの時計産業は痛みを伴いつつも変革が進んでいます。但しまだまだETAの動向が大きな鍵であることは間違いないでしょう。





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Last updated  2010.04.11 19:44:26
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