メガネパール

[牛] カテゴリの記事

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  丑年

  どうも。明けましておめでとうございます、そしてお久しぶりです。今年は丑年だというのに年賀状も出さず、怠惰な日々を過ごしてしまっています。丑年ということを知るすべも無いうちの牛たちは、よく分からないままお客様に写真を撮られて、よく分からないうちに全国の家庭に写真が配られています。丑年第一号の出産は一昨日の朝、当然のごとく子牛の名前はオバマとなったそうな。久しぶりに書くブログはなんだか敷居が高くて、これを書く行為がぎこちなく感じますが、ありきたりに最近はまってるものを二つほど。１江頭２：５０のＰＰＰするぞ！ってラジオ番組。動画配信もされてるんですが、載せたら人間性疑われそうなので自粛。(これを書いている時点で疑われそうですが…)でもほんと面白いんですよこの番組。興味がある方は探してみてください。２この動画。元々バレエに興味は無いのだけれど、たまたま見てから見るたびに感動が大きくなりました。ラスト部分、鳥肌立ちます。いやー、美しい。そして、江頭の動きにもちょっと似てます。http://jp.youtube.com/watch?v=PQb9x6H3TlE３蒼井優今さらですが可愛いですねー。色気が無い感じがとてもいいです。「鉄コン筋クリート」って映画を今日見たのですが、声優をやってました。声優でも存在感ありました。週末にかけて寒波が来るそうですが、風邪ひかないように気をつけましょう。インフルエンザも流行っているそうですね。ではまた。

  2009.01.22

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  夕日の写真

  牧場での楽しみの一つが写真を撮ること。牛の写真のだったり、山菜やきのこだったり、その季節ならではの写真だったり。写真が貯まれば貯まるほど去年の同じ日の写真と比べたり、牛の成長が分かったり出来るので面白い。いつも働いている牧場なのに時よりうっとりしてしまうような景色があったりする。景色を見て驚いたり「すげえ！」的な感動は今までもあったけれど、じーんとくる感動、という景色はここに来てから初めて味わった。意外に多いのが朝日と夕日の写真。今日も夕日の写真を大漁に撮ってきた。最後の写真、よく見ると牛がおしっこしてる。

  2006.11.26

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  出産

  先月末ビッグファザー初の出産をしたアマに引き続き、今日ビッグファザー第２の出産がありました。実は今回の牛、まだまだ体が小さく出産をするには少し無理があるような体ではないかと思われ、かなりの難産を覚悟して向かえた出産でした。そのため普段は山の中でのお産ですが、今回は牛舎の中に入れてお産に備えることにしました。午後３時半ごろから牛の陰部から子牛の前足が見え始め、覚悟した難産もどことやら、１時間後には意外とあっさり、お母さん牛と一緒の真っ黒の子牛が産まれました。ふらふら、よろよろ、転んで、滑って、やっとこ立ち上がり、少し介助しただけでその後は自力でお母さんのおっぱいを飲み始め、ほっと一息です。産まれた瞬間、最初に立ち上がった時、そして初めてお母さんのおっぱいを飲み始めた時、これは何度見ても感動する光景です。生き物の強さ、「命」を授かった物のたくましさを感じ、親の暖かさを教えてくれます。ほっと一息はついたものの、今回の子牛はお母さんの小ささ同様かなり小柄のため、今後も少し心配なのですが、とりあえず無事に産まれて安心しました。お母さん、お疲れ様でした。

  2006.04.12

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• 昨日の記事に付け加え・・・

  牛乳を少しでも安く、大量に搾るために海外から大量の穀物が輸入されていることも頭に入れて置いていただきたいです。販売拡大路線でなく、規模縮小路線で今後進めるのなら「自給飼料を生産している酪農家、自給飼料の割合が高い酪農家」の牛乳が優遇されるような仕組みが出来たらいいな、と思います。食物の国内自給率の低さが問題にされています。乳製品の自給率は全体的には低くもなく一見うまくいっているように思えますが、与えられる餌に目をむけると、穀物の自給率は実に約１０％です。今回の生乳廃棄は大量に穀物を輸入して作った牛乳をわざわざ捨てているわけです。是非検討いただきたい。自給率向上のためにも。これ以上の生乳の廃棄がされないためにも。

  2006.04.05

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  うちの牛は走るよ

  「うちの牛は走るよ」あるとき、うちで飲んでいたらそんな話になった。確かにうちの牛たちは走る。だだだーっと、まるで馬のように。まさかそんな、、、という人。確かに「牛歩」なんて言葉があるくらいだから、世間では牛はのろのろと歩くものと決められている。信じてもらえませんか・・・。信じて・・。うちの牛は走るんだってば。ほら。ほら走ってるでしょ？ん？見えない？？？じゃ、ほら。ほら。ほら。走ってるでしょ？ダダダーって。すごいよ。砂煙立ててるもん。ちょっと怖いよ。でもほら、闘牛の牛は走るでしょ。普通普通。

  2006.02.22

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  どこ行った？

  一昨日から本格的に雪が降り始め、今日も昼間は雪。牧場はきれいな雪景色です。しかし、同時にやってきた除雪の作業。雪に慣れない私、めがねにとってこの雪と除雪の作業は大変でもありちょっぴり楽しくもあります。しかし、いくら「楽しくもある」と言ったところで体は正直者らしいです。牛の餌やりもいつも以上に時間がかかり、きつく、しかも寒い。体力の消費は相当なものだと思われ・・・。体力の回復にはなんといっても休息とご飯！休息は・・・正直ほとんど取れません。最近の忙しさに、ここ数日は除雪の作業も重なって睡眠時間はここ１ヶ月ずっと４時間程度。出来れば８時間くらいは寝たい俺にとって、この睡眠時間はかなり頑張り気味です。「寝なくても大丈夫なたちだから～」って言いたいところだけど、出来れば寝たい。食事。日中の会社の仕事のほとんどは工場も牧場も肉体労働。腹が減るのも当然です。会社に入ってから食事の量は自分でも驚くほどに増えました。朝１合、昼１合、夜２合の米が毎日腹に入っていきます。ご飯の量と比例しておかずも多く、それ以外に間食も増え、会社の人に「これ食べる？」と言われればなんでも食べます。もしかしたら成長期だった中学生の頃以上に食べている昨今です。気になるところは体重。それがね、全く増えないのですよ。むしろちょっと締まった感じで、いい感じです。ちょっと心配なのは最近の俺の便。人生初の「便秘気味」を経験しています。これだけ食べて、体重も太らず、便も出が悪い・・・どこへ行った、一日４合の米よ。

  2006.02.03

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• 俺の夢

  「自分の牧場を持つ」と言うことはその人にとって一大事業である。その理由はたくさんあると思うが、１つあげるとすると金がかかる。そして儲からない。　今もし新たに酪農を始めるとすると、現在の日本において、小規模の酪農　でやっていくのは難しい。小規模で販売まで手がける人もいるが、時間的　余裕が無い上販売ルールートを自らで作らないといけないため、相当の労　力が必要。のため単体で行うためには大規模にならざるをえないが、その　ための費用は莫大なものになる。必要なものは牛、搾乳施設・牛舎、搾乳　機械類、トラクター類、広大な土地、、、、等々。これは基本的に小規模　でも変わらない。まるで、自分で会社をおこすのと同じように労力が必要となる。もちろんその中でも立派に経営している人はたくさんいるし、様々な補助金制度もある。それにしても現状の中で個人で牧場を持つことは並大抵の努力では出来ない。酪農家の負債額というのはすごい。数千万から億単位で負債を抱えている人は珍しくない。俺が大学の入学当初に見せられたビデオ・・・北海道に別海町という酪農で有名な地区がある。ここの酪農家の現状を映したビデオだった。この中には酪農業界では有名な酪農家の方もいる。が全体的にみると・・・負債額の平均は４０００万円。別海町というのは国の「パイロットファーム事業」というものによって作られた酪農地帯である。それが行われたのが１９７０年代。事業着手後の牛乳業界というのは決して明るいものではなかった。政府の事業で多くの酪農地帯が作られたが、牛乳の消費と言うものはそれまでのように右肩上がりと言うわけではなく、むしろ牛乳は余った。当然、酪農家の最大の収入源である牛乳の卸価格も下がった。例えば当時３０歳の人がいたとすると、現在５０歳。こんな現状の中、後継者恵まれるはずが無かった。高齢化。そして負債額平均４０００万。収入を増やすための手段、それは牛の頭数を増やすこと。牛の値段１頭約５０万とすると、１０頭で５００万。すると搾乳場所や、草の確保のための土地とそれなりの施設が必要となる。設備投資。負債が増える。頭数が増えたために、労働が過重となる。そこに労働者の高齢化。牛乳の値段が下がる。さらに牛を買う。設備投資。過重労働。・・・・・・・・・・・・。もうこうなるとどうしようもない。悪循環から逃れることは難しい、当然離農者は多い。数千万、数億の負債を持ったまま、どうすることも出来ずに離れていく。酪農家の自殺者は多い。と言っても統計的な数字は知らないけれど。少なくとも自分の感覚として多い気がする。ここ３ヶ月で俺が多少なりとも知っていた酪農家が２人自殺した。そのうちの一人については密かに俺の憧れていた酪農家だった。いつか会いたい会いたい、と思っているうちに自殺の知らせが来た。やりきれない思いで悲しくなった。そして、その人と俺の境遇が似ているため（直接会ったことはないから詳しくは知らないけど・・・もちろん俺なんかよりずっと技術も知識もあって、聞くところによると、とても立派な人だったそうです。）少し、ぞくっとした。こんな現状の中、酪農に夢を持つものはどれだけいるだろうか。少なくとも俺は諦めた。いや、諦めかけた。今は違う。こんな酪農業界だからこそ、夢を持たなければいけない。夢を持ってもらうような酪農業界を作りたい。そのためには・・・要するに、儲かるようにすればいい。そのためには・・・楽ではない。けれど、夢はある。牧場にはたくさんの魅力があると思う。牧場の作業自体にも、牧場の雰囲気にも、牛にも。そこに憧れる人は決して多くは無いかもしれないけれど、少なくも無いと思っている。農大入学当初、周りにはそういう人は少なからずいた。しかし、普通夢だけでは食っていけない。食っていけなければ夢も無くなる。このままでは酪農業界は衰退してしまう。酪農家が食っていけるように、何とかしなくちゃいけない。関われば関わるほどやくざな商売を夢見たものだと思っています。でもね、やっぱり牧場はいいです。好きです。面白いです。

  2006.01.28

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• 祖先。

  スーパー、デパート、コンビ二。どこにでも売られている牛乳。この牛乳は、乳牛と言われている牛から搾られたもの。と言っても乳牛と言う種類の牛ではない。乳を搾るのに適している牛のことを「乳牛」と呼ぶのです。「ホルスタイン種」や「ジャージー種」は一般的で、この２種類にさらに「ガンジー種」を加えたのが３大乳牛。他に乳牛をあげるとすると・・・「ブラウンスイス種」「エアシャー種」「デイリーショートホーン種」などなど。これら、現在乳牛と言われている牛たちは全てヨーロッパが原産の牛たちで、元々ヨーロッパにいた野牛が進化・改良されて出来ました。例えばホルスタイン、、、正確には「ホルスタインフリージアン」と呼ばれる種で、原産はオランダです。しかし、この「ホルスタイン」というのは元々ドイツの地名。ドイツのホルスタイン地方にも古くから分布していたからホルスタインと言うそうな。乳牛の祖先ヨーロッパの野牛たちは「オーロックス」という牛にさかのぼることが出来ます。この「オーロックス」は「原牛」とも言われていて、名前の通り、ヨーロッパの牛たちは全てこの牛を祖先にもちます。ちなみに、オーロックスは１６２７年に絶滅してます。オーロックスの遺伝子は様々な牛に残されているため、その形質を残す牛たちをかけ合わせ１９３２年、オーロックスの復元に成功しました。とはいってもこれは復元であって、当然オーロックスそのものではありません。アジアにいる牛は、他に祖先を持っていると言われていて、いわゆる「こぶ牛」といわれる系列。今でもインドを旅行すると背中にこぶのついている牛がたくさんいます。このこぶ牛は暑さに強く、背中のこぶと首の下につくだらんとたれたヒダが特徴です。世界の牛はオーロックスとこぶ牛の２種類（ボスタウルスとボスインディクス）に大別されます。ネパールでこぶ牛を初めて見た時の感動は忘れられません。最後まで読んだあなた、人はあなたを牛オタク、いや牛アキバと呼びます。決して飲み会などで、盛り上げようと牛の話をしないように。

  2006.01.13

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  グリーンツーリズム（３）

  続きです。近年起こった畜産業界の事件である「口蹄疫」や「鳥インフルエンザ」（これは今現在非常に大きな問題ですね）など、お客さんを招くこと自体が非常にリスキーな場合があります。養鶏場については「鳥インフルエンザ」があるなしに関わらずオープンにすることは不可能に近いかもしれません。鶏の密飼いは牛や豚の比ではなく、一つの鶏舎に万単位の鶏を飼っています。１羽の病気の感染は万の鶏に感染する恐れがあり、相当の衛生配慮がされています。もちろん鳥インフルエンザで問題となっているように「鶏→人」の感染の可能性もあります。鶏ほどではありませんが養豚場もそれに近い状態かもしれません。一時期、ＳＰＦ豚(Specific　Pathogen　Freeの略で特定の病原体を持たない豚。繁殖や飼育方法が特殊。）というものが多く流通したように、衛生管理については気を使われ、個体での病気管理よりも群での管理が優先され、養豚場への立ち入りは制限されます。では酪農の場合は？豚や鶏ほどの危険性はなく（と言うと少し語弊があるかもしれません。衛星面の配慮が不必要というわけではありません。）、生産現場をそのままオープンに出来る可能性は大きいと思います。放牧管理の場合は特にそう言えるでしょう。逆に言えば豚や鶏に比べて放牧管理されやすい牛だから、オープンにしやすいとも言えるかもしれません。中洞牧場、ビッグファザーは「自然放牧」です。そして中洞牧場、ビッグファザーがぷらっと立ち寄れる牧場であること、そういう牧場になれることを私は望んでいます。皆さんもグリーンツーリズムしてみませんか？草刈コース、軽トラドライブコース、芝植えコース、いろいろとありますよ(笑)皆さんの訪問をいつでもお待ちしています。ただ・・・うちの牧場、ぷらっと寄るにはちょっと交通の便が悪いですよね・・・。

  2005.11.12

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• グリーンツーリズム（２）

  昨日の続きです。グリーンツーリズム本場のヨーロッパでは「牧場は個人のものであってみんなのもの、公共のもの」という考え方もあるそうです。私は実際にヨーロッパに行って見たわけではないので詳しくは分かりませんが、いつでも人が来て牧場の様子が見られるように歩道が設けられている牧場なんかも多いとか。「牧場は個人のものであってみんなのもの、公共のもの」納得できる点はあります。牧場というのは多額の補助金が使われている場合が多く、その意味ではみんなの税金があっての牧場であり、個人のものであってもみんなのものと言うことができるかもしれません。また明日。

  2005.11.11

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• 久々に酪農について　グリーンツーリズム（１）

  これから3日間会社のホームページ用にかいたもの、そのまま載せます。内容は面白いものではないのですが・・・。せっかく書いたもので。グリーンツーリズムというものがあります。日本でも広がりつつあり「スローフード」「スローライフ」などという言葉と共に流行りつつある、とも言えるかもしれません。調べてみるとグリーンツーリズムとは「農山漁村などに滞在し、その地域の農林漁業を体験したり自然・文化・人々との交流を楽しむ旅」だそうです。私自身はグリーンツーリズムというものはもっとラフに捉えています。「ぷらっと牧場に立ち寄ること」これはもう立派なグリーンツーリズムの一つであるのではないか、などと思っています。実際の生産現場である牧場を見たことのある人がどれほどいるでしょうか？ましてや、普段自分の飲んでいる牛乳が生産されている牧場となると皆無に近いのではないでしょうか？「観光牧場」というお客さんを呼んでそれ自体が一つの目的となる牧場もあります。この観光牧場に訪れ、牧場の作業を体験したり、観光や滞在を通して楽しむことも確かにグリーンツーリズムの一つではあるけれど、お客さんに対応する人がおらず、誰も説明してくれる人もいない、なんて牧場に行くのもまた粋なんじゃないかな、とも思います。しかし、実際に中に入れてくれる牧場なんて数少ないでしょう。衛生上の都合や対応する時間のことを考えると確かにお客さんを招くのが億劫になることは分かりますが、トレースアビリティーが求められるこのご時世、生の生産現場をオープンにすることというのは、そしてその努力は必要なことではないでしょうか。明日へ続く・・・。

  2005.11.10

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• 牛乳の殺菌法について（２）

  昨日の続きです。正直ここから先がうまく説明できるか難しいところ・・・。なら書くな。いや、書く。昨日書いたとおり何故日本ではＵＨＴ牛乳が一般的なのか、と言う事から書き始めたいと思います。1955年に起こった「森永砒素ミルク事件」と言うものを御存知でしょうか？戦後１０年経ち、敗戦の傷から徐々に復興していく日本。それは牛乳についても同じで、５０年から５５年の間に牛乳の処理量は約３倍にも膨れ上がりました。牛乳屋も徐々に大きくなり集約化・大規模化を始めた乳業メーカーでしたが、復興と言ってもまだまだ舗装されてない道も多く、ましてや保冷設備のあるタンクローリー車なんてものはありませんでした。搾ってから殺菌するまでが重要である牛乳は、当然のことながら非常に質の悪い状態で乳業メーカーに届けられたそうです。細菌数は非常に多く、高温と揺れによって酸化が進み腐敗乳同然の生乳が乳業メーカーに届けられるわけですが、こういった生乳は熱に弱く凝固をしてしまうそうです。この熱による凝固を避けるために使われたのが「第二リン酸ソーダ」などの安定剤で、この安定剤の中に砒素が混ざっていました。この安定剤、なんと産業廃棄物として出たものを使っていたと言うから驚きます。この事件によって一万二千人の被害者が出てうち１３０人は死亡しました。ここで出てきたのがＵＨＴ乳です。「今までの殺菌方法では不完全です。ＵＨＴの牛乳なら安心して飲めますよ。」と、森永事件の不安からかそのフレーズが市民にうけ、ＵＨＴ乳がどんどん広がり、一般的になっていったそうです。しかし・・・。根本的な原因を見るとこれでは何にも解決がなされていないのです。そもそも悪いのは殺菌方法ではなく生乳そのもので、それまでの殺菌法もＵＨＴ法も熱を加えるのは同じで、結局は凝固してしまうのです。殺菌方法ではなく、生乳の質の改善に努力を置くべきところではないでしょうか。生乳の質の低下は「大量生産で効率的に」と工場をひとまとめにし、今までは集めていなかった時間の掛かる遠くの農家からも生乳を集めるようになった、ということが起因しています。と言いつつも・・・。これは時代の流れで、生産性、効率性を求めることは仕方ないのかもしれません。きっと当然の流れなんですよね。その中でも「乳質」の改善に目を向ける人、そして乳業メーカーもいました。日本で始めてのパスチャライズ牛乳の販売を行う乳業メーカーが出来たのです。と・・・、なんだか話がずれてきたので止めにします。殺菌方法の他に、乳質に大きく関わる工程があります。それは「ホモシナイズ」と言われるもので、皆さんが飲んでるほとんどの牛乳はこの「ホモジナイズ」をされた牛乳。「ノンホモ」なんて書いてある牛乳はされてない牛乳です。また別の機会に書きたいと思います。あぁ～。やっぱりなんだかうまく書けない・・・。自分で書いててよく分からなくなってきた。http://plaza.rakuten.co.jp/bokudou/

  2005.09.14

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• 牛乳の殺菌法について（1）

  牛乳の殺菌について書いてみようと思ってます。が、なんだか自身がない。なら書くな。いや、書きます。自分の勉強と思って。牛乳の殺菌とは何のことだか分かりますか？牛乳パックの表示に書いてある「殺菌方法　○○度○○分」などと書いてあるやつです。「牛乳」と「生乳」と分けて説明します。「牛乳」は殺菌後で製品となっているもの、「生乳」は殺菌前の乳で牛から搾ってそのままのものです。牛から搾られた乳には多くの細菌がいます。大別すると「大腸菌群」とそのほかの「一般細菌」で、細菌数が４００万以上の生乳は出荷する事が出来ません。牛乳の殺菌方法は「○○度○○分」と言うように温度を上げての加熱殺菌となりますが、牛乳に関する省令「乳等省令」では「63℃～65℃30分またはこれと同等以上の効果がある方法で加熱殺菌」でなければならないと書いてあります。この「６３度～６５度　３０分」とはいわゆる「パスチャライズ」と言われている殺菌方法でこのパスチャライズ殺菌法（パスチャライゼーション）は御存知、有名な細菌学者パスツールがあみ出したことからこう呼ばれています。「低温殺菌牛乳」なんて呼ばれているやつです。このパスチャライズ殺菌法のほか低温長時間殺菌法（Low Temperature Long Time）ＬＴＬＴ法高温短時間殺菌法（High Temperature Short Time ）ＨＴＳＴ法超高温殺菌法（Ultra High Temprature）ＵＨＴ法があり、現在の日本で最も一般的な殺菌方法は一番下のＵＨＴ法です。さぁ、家にある成分表示を見てみましょう。おそらくほとんどの人がＵＨＴのはず。このＵＨＴ法、世界的に見ると実は全く一般的ではない殺菌方法なのです。というよりも正確に言うとこのＵＨＴ法は他の国で行われるＵＨＴ法とは違うものなのです。他の国で行われているのはＵＨＴ殺菌ではなくＵＨＴ「滅菌」法。「殺菌」ではなくて「滅菌」なのです。そう、細菌を殺して減らすのではなく「滅菌」してなくしてしまう、そう無菌状態にするのです。殺菌とは違い滅菌を行うと無菌状態になるわけだから長期保存、しかも常温での保存が可能となります。この牛乳はいわゆる「LL牛乳（Long Life Milk）」と言われていて、軍隊で長期移動の時や船の航海などの時のために考えられたものです。ではこのＵＨＴ滅菌法が世界的に一般的かと言われると、これもまた違うのです。このＵＨＴで滅菌（日本の場合は殺菌）を行うと極端に牛乳の味が落ち、焦げ臭は発生するために好まれてはいません。またパスチャライズ牛乳は成分も生乳と近く、母乳のように胃の中で固まるのでゆっくりと消化・吸収されるのですが、ＵＨＴ牛乳はあまりに高い温度のためにたんぱく質が変性してしまい、胃の中で急激に吸収されてしまいます。牛乳を飲んでお腹を壊す人やアレルギー体質の人のほとんどがこれのためで「パスチャライズ牛乳なら大丈夫」という人は少なくありません。世界的に最も一般的なのは牛乳の風味が一番残り、焦げ臭もない、成分の変化が少ない「パスチャライズ」法なのです。日本のＵＨＴ法はパスチャライズ法の悪い部分（長期保存が出来ない）と、ＵＨＴ法の悪い部分（味が極端に落ち成分が変わる）という部分を両方持つ、へんてこりんな殺菌方法なのです。しかしこの殺菌方法が９割ほどを占める日本では「ＵＨＴが旨い」と感じる人も少なくはありません。ＵＨＴ法独特の焦げ臭や舌に残るベトツキ感が逆に「コクがある」と感じるそうです。実を言うと私もこれでした。なのでパスチャライズ法の牛乳を飲むと「なんだかさっぱり」「物足りない」と感じるのです。このＵＨＴ法「味が落ちる」「成分が変わってしまう」という事のほかにも問題があります。ＬＬ牛乳が認可された時に問題となった事なのですが、世界的に見れば「ＵＨＴ牛乳」も「ＬＬ牛乳」も同じ、つまり日本ではＬＬ牛乳の問題＝日本の牛乳の問題でもあるわけです。この問題点とはこのＵＨＴ法では質が悪い生乳でも、殺菌されて飲めるようになってしまうという事です。鮮度が良くない生乳（牛乳は搾ってから殺菌するまでの時間が最も大事）、搾ってから５日も６日も経った牛乳、極端な話半分腐っているような生乳でもＵＨＴ法なら牛乳になってしまうのです。乳頭省令で細菌数「４００万以下でないと出荷できない」とありますがこの４００万というのはとんでもない数字。細菌数１万以下の生乳だってざらだというのに。あくまで基準ですが。でもこのＵＨＴが一般的である事は乳業メーカーにとってはありがたい事かもしれません。毎日毎日、酪農家から牛乳を集めなくても良いからです。今日はあっち方面の酪農家、明日はこっち方面の酪農家と、まとめて牛乳を集められるからです。ここで根本的な疑問。なぜ日本ではＵＨＴ牛乳が一般的になったのでしょうか？？？これについてはまた次回書きたいと思います。この疑問には森永乳業さんが大きく関係しています。http://plaza.rakuten.co.jp/bokudou/

  2005.09.13

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• 牧場ブログ。

  お気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、お気に入りに「岩手の牧童」のブログがリンクされています。これ、俺がやっているもう一つのブログです。その名も「牧場ブログ！」会社のホームページに牧場便りというものがあって、その更新をちょこちょことやるようになりました。どうせ日記書くならブログも作ってしまえ！ということで、牧場便りと全く同じ内容のものを載せることにしました。もともと会社のホームページのものなので不自然なところもあって、読みにくいかもしれませんが、興味のある方は読んでみてください。http://plaza.rakuten.co.jp/bokudou/

  2005.08.25

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• なんだか

  こうやって牛のことについて書いていると「ん？ほんとにこうだっけ」などと思って資料を読み返して見たりします。だから自分自身とっても勉強になります。つまらなくても書き続けます。続けてやります。まだまだネタはつきそうに無いので、このブログが誰も見なくなっても続けてやります（笑）

  2005.08.21

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• 狂牛病

  狂牛病について書いてみます。狂牛病、ＢＳＥです。ＢＳＥはBovine　Spongiform　Encephalopathyの略で、Bovine（牛）　Spongiform（スポンジ状、海綿状）　Encephalopathy（脳症）。牛海綿状脳症という牛の病気です。これに発病した牛は脳に空洞が出来て神経中枢が正常に機能しなくなって歩行困難などになって、発病した牛は１００％死亡します。これが発見されたのは８６年のイギリス、日本では現在２０頭（？）の発病が確認されてます。まずこのＢＳＥの特徴は、病原体がウイルスでは無いということ。プリオンというたんぱく質で、癌のようで癌とはちょっと違うものです。このプリオンというたんぱく質が身体の中に入ると少しずつ増殖していきますが、癌のようにその部分をうまく完璧に取り除けば増殖が防げる、という訳ではなくそのために死亡率１００％という結果になります。しかもこのプリオン、はちゃめちゃに強くて、熱にも冷凍にも化学物質にも、もうとにかく何をしても生き続けるそうだとか。牛のどの部分に多く蓄積されるかというと牛の脳、脊髄、眼、回腸の一定部分等に特に多いためその部分を食すと感染する恐れが高く、逆に肉や唾液や皮膚などは感染しないと報告されてます。人間に感染する、ということで余計に大きな話題となりましたがその通り、人間も感染します。病名としては「変異型クロイツフェルト・ヤコブ病」といいます。実はこの病気、名前から「変異型」を除いた「クロイツフェルト・ヤコブ病」というのはＢＳＥとは関係なく、１００万人に一人は人間に発病されるという病気です。その症状と似ているから「変異型」とつけて病名となりました。ちなみに・・・。よくニュースで「ヤコブ病」と言ってますが、この病気を発見した「クロイツフェルト」さんと「ヤコブ」さんは別人。なので「ヤコブ病」って言ったらクロイツフェルトさんがかわいそうです。ＢＳＥに似た病気は何も牛に限ったものではありません。羊。羊の場合「スクレイピー」という病気が昔からありました。身体中をスクレイプする（掻く）からスクレイピー。狂牛病発生の原因の一つとして考えられているのがこのスクレイピー羊の肉骨粉を試料に与えたから、というものです。この種の病気の生物を食べて感染する例は人間にもありました。パプアニューギニアのフォア族という人たちは死んだ人間を食べる、という習慣がありました。このフォア族の中に変異型クロイツフェルト・ヤコブ病の症状の人たちが次々と出たそうです。「自然発生したクロイツフェルト・ヤコブ病の人間を食べたから」と言われています。「共食い」という構造の中に発生する「変異型クロイツフェルト・ヤコブ病」。牛の場合は肉骨粉。この前も書いたように牛は草食動物。４つ胃をもち反芻というメカニズムでセルロースを消化する。そもそも草食動物の牛に何故肉骨粉を与える必要があったのだろうか。肉骨粉の材料は廃牛と言われる死亡したり、利用価値のなくなった牛。この廃牛はそもそも利用価値が無いので捨てられる運命だけれど、それには焼却したり、埋め立てたり、コストと手間がかかります。この廃牛を利用しようと考え付いたのが「肉骨粉」というもの。子供は本来母乳を飲んで育つもので、人間も牛も母乳が一番だけれど酪農の場合、母乳そのものが商品。子牛に飲まれていたら商品が少なくなってしまうわけで、その代わりにあげられていたのが廃牛から得られた動物性のたんぱく質。肉骨粉を液状にしたものって考えればいいのかなぁ。親牛にも栄養のため、乳量を増やすために動物性たんぱく質（肉骨粉）が良い、という指導がなされていた。生産性を高めるために本来草食動物である牛に肉骨粉。納得できる部分は多いけれど、ＢＳＥという病気は現代の人間社会に大きな与える大きな警告だと思ってます。この警告をどう受け止めるかは国だけでなく生産者だけでなく、消費者も含めた私たち人間次第。今日も長々とすいません。

  2005.08.21

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  山地酪農

  今、作っている牧場です。全く牧場らしくない景色と思うかもしれないですけど、もうすぐ完成で来週には牛を放す予定でいます。牧草なんかはまだ生えてなくて、今生えているのは野草です。しばらくはこの野草を牛たちが食べて、牛たちの力を借りて牧場らしくしていきます。「山地酪農」というものを実践していきます。俺は大学の卒論でこの山地酪農というものを研究していました。牛を飼うの為にはとっても広い土地が必要になります。なぜなら牛は１日６０キロもの草を食べるといわれていて、その草を用意するためです。日本の牛乳というのは乳製品の貿易が自由化されても外国の牛乳の価格に負けないようにと安く安くを目指してきました。その中で出てきた一つの結論が「広い土地を使って草を食べさせては安くはならない」ということでした。結果、放牧をさせずに必要最低限の草を食わせて、後の栄養分はもっと栄養分の高い穀物を安い海外から輸入しよう、という酪農が日本では一般的になりました。だから牛が悠々と草を食べながら過ごす風景、というのは日本の酪農の世界ではなかなか見ることが出来ない。牛は基本的に牛舎の中にいます。この結果、確かに牛乳の価格は安くなりました。スーパーの安売りなんかでは１５０円ていうのもざら。現段階でその究極とも言えるのはいわゆる「肉骨粉」です。高蛋白、高脂肪、ミネラル分も高い。しかも肉骨粉の原料は廃牛、要するに必要のなくなった牛です。だからコストも安くつく。もともと捨てる物であって、利用価値がほとんど無いものなのでリサイクルといえばリサイクルと言えるかもしれません。しかし結果は・・・言うまでもありません。ＢＳＥです。さっき言った海外から輸入される穀物のほとんどはは日本で配合されて「配合飼料」というものになって酪農家に買われていきます。とうもろこし、大豆、魚粕、麦・・・。こう言ったものです。牛はもともと草食動物で人間がうまく消化することの出来ないセルロース分（繊維質）を消化するシステムをお腹の中に持っています。牛には４つ胃袋がある、って聞いたことがあるのでは無いでしょうか？この胃袋の仕組みがとっても面白いのですが、長くなるのでやめます。とにかく簡単に言うと４つある胃袋で、草を消化する仕組みが出来てるわけです。なのでいくら栄養があるものを食べさせても草を与えなければ身体を壊してしまう。逆に言えば草さえ食べてれば牛は生きていけるのです。日本の牛はこの草の量が少なく、配合飼料の量が多いので身体がとても弱いとも言われています。俺はこの流れはある意味当然の流れなのかなとも思います。安くするシステムを考えるのも普通だし、そのために輸入穀物を利用したり、放牧を止めたりするのも一つの流れの中での技術だと思います。でも、少なくともこれからはそれだけではいけないんじゃないかと思います。海外の牛乳に比べて高いかもしれない。それだっていいと思う。だってここは狭い日本で、その中に一億以上の人が住んでいるんです。「安いもの輸入すりゃいいじゃん」って言っても、輸入するってことはこれからものすごくそれ自体が大問題になってくるはずです。ニュースでも「自給率が４０％！」なんて言っているのはそのせいで、とにかく輸入だけに頼るのは絶対によくないことなのです。これも詳しくはまた別の機会に。最初の話に戻って・・・そこで山地酪農って訳です。山地酪農では狭い日本の土地でいかに牛が飼える広い土地を確保できるか、ということから出発しています。そこで眼をつけたのが山。日本の国土の７０％以上が傾斜地１５度以上の、もうとにかく山だらけの国なのです。その山はどうなっているのかというと、林業は廃れて、平らではないから田畑も出来にくく、ほとんどが何も手のつけられていない状態なのです。その山を使って、牛を飼うことを思いつき山地酪農が出来ました。「出来ました」というのはおかしいかもしれない。もともと、日本で牛を飼うといったらこういうやり方が多かったというし、ヨーロッパなんかでも別に特別なことではないらしいです。今の山地酪農はそれに自給率の問題や、酪農の意義、世界的に見た食糧問題なんかと掛け合わされて、「本来草食動物の牛なんだから草を食わせて飼わなければ」「人間が消化出来ない草を食って、それを人間が消化できる牛乳というものが取れる、ここに酪農の意味があるんじゃないか」「人間が食べられるものをわざわざ牛に食べさせて、効率悪くするなんて。それだったら元々人間が食べれるものは人間が食べれば良いんじゃないか」なんて考え方もされてます。・・・ちょっと新興宗教的、なんて批判されることもしばしば。簡単に説明したつもりが長々と・・・。山地酪農についてはまだまだ書きたいことがいっぱいあります。いつか。最後まで読んでくれた人ありがとうございます。感想、意見、異論、疑問、何でも良いので寄せてくれると俺も勉強になります。

  2005.08.20

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• 人工授精に引き続き、受精卵移植。

  受精卵移植って知ってますか？別名、胚移植。この受精卵移植、人間では色々と問題視されているけれど牛の世界では一般的ではないにしろ普通にやられている技術なのです。人工授精と同じく、「受精卵移植」の免許もあります。やり方は二つ。まずお母さん牛から胚を取り出します。胚とは簡単に言うと卵。２１日に一度排卵されるこの卵を、ホルモン投与によっていつもよりも余計に出してやって、これを外で人工的に授精・培養した後にもう一度牛の身体に戻してやります。もう一つは、ホルモン投与で出した排卵させてやりそこに人工授精。で、受精卵をいっぱい取り出してこれをもう一度牛の身体に戻してやる。どちらの場合も卵を取り出したお母さん牛に戻さずに他のお母さん牛に入れてあげても子は育つので、もし卵を出したお母さんの身体が弱い、なんて時でも身体の強いほかのお母さんに入れてやることで母子共に子供が元気に産まれてきます。だから、真っ黒のお母さんから白と黒の子牛が産まれてくる、なんてことも出来るのです。しかも一回の肺移植で数頭の子牛が出来るので、こりゃ便利ってな訳なのです。クローン、って技術もこれの応用編のようなものではないでしょうか。世間で騒がれているクローンってのは「体細胞クローン」ってやつです。この場合からだ中にあるの細胞から出来て、しかも全く同じ遺伝子の子供が産まれてくるので（厳密に言えば全く同じ遺伝子ではない）、コピー生物がいくらでも出来てしまう、というわけです。これは現段階ではまだまだ研究段階だとか。成功したらこれはまさに生物の生産工場ですね。もう一つのクローンは「性細胞クローン」って言うもの。これは現段階で普通に行われているという話を聞いたことがあります。さっきの受精卵移植の工程の中で、胚を外に取り出してやった時に培養するって書きましたが、その時に卵は分割していきます。（多分中学、高校の生物でやったと思うけど・・・。）で、最初は一個の核を持つ卵が精子と授精することによって、２個、４個、８個、１６個・・・と２の乗数になって、どんどん増えていくわけです。でだんだん子供ができてくる。この際、４個、８個に分割した卵を一つ一つ個々に分けてやると最初は１個だった卵が、４個、８個になりますよね。でこれを培養して４個、８個の卵をそれぞれお母さん牛に戻す。一個の卵が４個、８個に増えちゃうわけです。もし血統の良い牛でこれをやれば、一卵性の双子みたいに一卵性の八つ子が出来、全く同じの良い牛がいっぱい出来る、という仕組みです。スーパーに並ぶ牛肉にもこの手のものがある、という話を聞いたことがあるのですが本当なのでしょうか・・・。ちなみにこの受精卵移植、ＥＵでは禁止をされています。俺もはっきり言ってこういうの好きではないです。確かに良い牛がいっぱい出来てコストも安くなるのかもしれないけれど、そこまでして良い肉を安く食べたいものかなぁ、なんて思ってしまう。あまりにも自然に反してます。さっき体細胞クローンのところで生物の生産工場って言ったけど、受精卵移植ってのはまさに工場の考え方だと思うのです。牛は機会じゃありません。牛は牛であって生き物なのです。ＢＳＥでは生産効率を考えて「共食い」をさせてた、って言うことが原因ではないかって言われてます。いわゆる肉骨粉ってやつ。（まだはっきりと原因は断定はされてないけど、まず間違いないのでは・・・）受精卵移植、このあまりにも自然に反した行いはいつかなにか起こって、脅威となるのではないか、なんて思ってます。もちろん、それが無いとないように研究もされているだろうし、今の段階では驚異は無いからこそ行われているのだろうけど。どうなんでしょうかね。でも俺は嫌いです。この技術・考え方は裕福な日本人を肥やすことになっても、世界の飢餓を救う技術では無いと思います。

  2005.08.20

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• 人工授精

  前回書いたように日本では９９％の牛が人工授精によって産まれてきます。雌の発情期（約２１日周期）を狙って「えいっ」っとストローに入った精液を雌の生殖器に注入します。まず、このストロー。これは雄の精液を薄めたものが入っていて、液体窒素で保管がされています。そうすると精子が死なずに、解凍してやればまた元気に動き出すのです。何故、９９％が人工授精なのか。人工授精にはいろんな利点があり、まず持ち運びが楽ちん。人工授精じゃなければ「あの雄牛の種つけたいなぁ」なんて言ってもわざわざ牛を運んで自然に交配をするのを待ってなきゃなりません。それに比べて細いストローになって、液体窒素の缶だけ運ぶなんて屁のようなもの。沖縄から北海道へ運ぶのだって可能です。なので、自然と育種がしやすくなります。要するに近くに良い牛がいなかったら遠くの良い牛の精液が使える。次に、精液を薄めるために一回の射精から大量のストローに入った精液が取れるので雄牛を飼う手間が省けます。そして、どっかで数頭、それも良い牛だけを飼っていれば良いのでいろんなリスクが省ける。闘牛なんてあるように雄牛ってのは時に凶暴なのです。家畜改良センターなどの機関でほんの数頭雄牛を飼うだけで何百件の酪農家の雄牛を飼うのが省ける、こりゃ楽です。逆に欠点といえば・・・。まず、精液を取った牛の中に欠点が見つかれば大量にその牛の精液がばらまかれることになるので大変な事になります。人工授精って言っても誰でも出来るということではないので（人工授精師の資格が必要）資格を持っていなければ授精師さんを呼ばなければならない。そして、授精の技術がつたなければ全然子供が生まれない、という自体もありえる。今の日本では酪農家が人工授精をやるのよりも、授精師さんを呼んで授精をするのが一般的だと思います。精液の入ったストローは酪農家ではなく授精師さんが持っているので、その中身に嘘があっても分からないのです。一本５０００円のストローを使ってもらったのに、実は３０００円のもので、質が悪い・・・とか。結果は産まれて、大きくならないと分からないので。肉牛では１本何万円もするストローがあるので、そんな詐欺事件も起こったことがあるとか。俺も詳しい訳ではないので間違っているところがあればすいません。御指摘下さい。

  2005.08.19

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• 雄牛の運命

  今日ある人にこう言われた。「雄牛って乳ださねえの？」出しません。当たり前です。人間だってお母さんしか出さないでしょ？（たまに男から出たって話も聞くけど・・・）これと似たようなことを前にも言われたことがある。「乳牛っていつでも乳出すんでしょ？」出しません。乳は人間だって牛だって自分の子供のためです。人間だって子供が産まれないと出ないでしょ？乳牛も（たとえ乳と付いても）子供を産まなきゃ出ません。学生時代、牛のこと勉強してるって言うと結構こういう質問をされたものです。でもこんな誤解が結構あるものなんですよね。ちなみに説明すると雄牛は乳を出さないため、乳牛を飼っている牛飼いのところには基本的にいません。では雄牛の運命とは・・・。別に遺伝子を操作して雌しか産まないようにしているわけでもなく、産まれてくる子牛にはちゃんと男の子もいます。ただ、彼らは飼っていても乳は出さないしそれでも餌をあげなければ生きてはいけないので酪農家にとっては不要なのです。なので、生後間もなく売ってしまいます。肥育農家へ。肥育農家とは、子牛を買って肉にするための牛を飼う農家です。肥育農家へ売られた牛は、肉質を良くする為に去勢され、そこで育った後お肉にされてしまいます。別に特別なことではありません。こうやってお肉を食べることが出来るんです。だからスーパーなんかで売ってる安い肉なんかは乳牛「ホルスタイン」が多いそうだとか。ホルスタインでも何でも国産は国産です。立派な国産和牛です。国産牛＝黒毛和牛（黒毛和種）というわけではないのでお間違えなく。ん？じゃお父さんは？という事になりますね。実は牛のお父さんは酪農家の牛舎の中にはいません。しいて言うなら透明の細い筒の中、ストローのような管の中にいます。そう、９９％の牛は人工授精によって産まれてきます。なので日本に居るほとんどの雄牛は男として活躍しないままに肉になってしまいまうのです。何故？何故？人工授精？？これについてはまた今度。もう一つの「いつでも乳牛は乳を出す？」について。さっきも言ったとおり牛も子供を産まなければ乳は出しません。今の乳牛（かなり改良されている）は基本的に子供を産んでから３０５日乳を搾り、その後「乾乳」と言って乳を搾らない期に入ります。この乾乳期が２～３ヶ月を理想としていて、３０５日（搾乳）＋２～３ヶ月（乾乳）で一年となります。これが基本的な理想の乳牛のサイクル。年間の乳量というのは実際には３０５日の乳量ということです。　　お産---→人工授精--------→乾乳---→お産---→人工授精・・・・・　　←---搾乳（305日）---→　　　　　　　　　　←---搾乳・・・・・　　　　　　　　←---妊娠期間（280日）------→　　　　　　←---妊娠期間・・・・　分かりますか・・・？とっても分かりづらいのですが・・・。まぁ、こんな感じなのです。俺は基本的に反自然的なことは好きではないので「牛が牛らしく生きる」牧場を目指しています。牛うんちくについてはまた。

  2005.08.18

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