ヒゲとメガネとロン毛の下には
このジャケを見て、買おうと思った人は相当のつわものに違いない。渋谷のHMVの、何十枚と聴ける大きな試聴機がありますよね。あそこに入っていたのです。その後、中央の方へも何枚か置かれていたので、どうやら注目のお方なのかもしれません。Kevin BarkerというSSW。Devendra Banhart, Joanna Newsom, Vashti Bunyan, Vetiver, Antony and the Johnsons, Espersというすごい面子とツアーやレコーディング、コラボレーションをしたりしています(しかし私はこのすごい面子をほとんど聴かないのですが…苦笑)。彼のデビューアルバムが「You & Me」。ハーモニーと牧歌的なメロディが印象的な「Little Picture Of You」。フォーク・カントリーの薫りが立ち上るこの冒頭の一曲で、心はぐっとかたむきました。アルバムタイトルの「You & Me」もその流れ。少し音数が減った分、彼の声が良く聞こえます。角のないやわらかな声で、優しい歌声です。「My Lady」はこのアルバムの中でもとびきり素敵だと思っています。優しい歌い出しから、トラディショナルな雰囲気のフォーク・サウンド。ソファにゆったり身を預けて聴いていたら、寝入ってしまいそうなくらいふんわりとした曲です。Kevin Barkerは、そのメロディセンスも素晴らしいですが、なおかつこの声がいいのかなと思います。ともすれば楽器の音に埋もれてしまいそうな頼りなさを感じさせるのに、そのやわらかなあたたかさがしっかりとサウンドの中に息づいている。私が最初に引用した、Devendra~周辺の音とは、また少し違うような気もするのです(後半に、ちょっとだけサイケデリックな展開もあることはあるけれど)。だって私が聴いているんですもの(笑)。マイスペ彼も、このヒゲ剃って髪の毛切ったらけっこうカッコイイんじゃないのかなあ。