万感の思いで、「おかえりなさい、Camera Obscura」
LOOK TO THE EAST, LOOK TO THE WEST [ CAMERA OBSCURA ]日記のタイトル通り、万感の思いを込めて、彼らに「おかえりなさい」と言いたい。Camera Obscuraが2013年以来の待望の新譜「Look to the East, Look to the West」をリリースしました。しかもリリースはMergeから!正直なところ、もうアルバムは出ない(出せない)のかと思っていました。2015年にメンバーのCareyを骨肉腫で亡くしてから、あまり目立った活動もなくなってしまったので(コロナ禍もあったみたいです)…。そんなところで届いた新譜リリースのニュースに、発売を心待ちにしていました。そしていま、私の手元には彼らの素敵なニューアルバムがあります。プロデュースはJari Haapalainen。彼らのアルバムの中でも、私がとりわけ大好きな「Let’s Get out of This Country」や「My Maudlin Career」を手掛けた人ですし、もうこの情報だけで絶対に大好きになれる自信がありました。先行シングルの「Liberty Print」を聴いたときからちょっと驚いていたのですが、今回の彼らの音は、あの幽玄めいたリバーブを脱ぎ捨てています。その上、ド直球なポップネスを、実に素直に、何の衒いもなく奏でているのです。ある意味、彼らは新しく生まれ変わっての再出発として、原点に立ち返ったのかなと思いました。もうね、どれを聴いても涙が出てくるんですよ。本当に帰ってきてくれたんだという感激で、言葉が出なんですよ。そして歌詞を追うとこれまた感慨深い。一筋縄ではいかない感情の機微を描くことにかけて、Tracyanneの右に出る者はいないと思ってます。「Big Love」とか、特に「The Light Nights」とか!「私がお願いしたら、私を愛するのを諦めてくれない?」って…!「We're Going to Make It in a Man's World」は考えさせられます。というのも、Tracyanneが音楽業界のジェンダー問題っぽいことについて書いたらしいんですね。やっぱりまだまだ男性社会なのかと思わされますが、彼女の決意表明みたいな感じで受け取りました。そして、出てくる涙の種類がまったく違うのが、「Sugar Almond」。これを聴いて、涙がこみ上げないファンはいるのでしょうか。歌詞の内容とか、最後に「Won’t you sing, to me, Carey」って言っているところからも、亡くなったCareyに向けて書いた曲かなと思うのですが…。最初のワンフレーズ目から、最後に呟くように「Carey」と言ってぷつっと終わる瞬間まで、彼女への思いが詰め込まれてあふれ出した一曲です。もう、歌詞を読むだけで涙ぐみます。観に行くことができた彼らの初来日ライヴを思い出します。私の日記にはCareyが可愛かったことが書いてありました。そしてTracyanneと話した私の失恋話を思い出し、懐かしくなったのでした。