アイ・アム・ポール・アトレイデス!;デューン 砂の惑星 Part2
最後30分くらい、心臓が波打つくらいドキドキしっぱなしで、これほどの高揚感を味わったのは久しぶりでした。先日ちょうどアマプラでPart1を見ていたので、そのテンションで突入した「デューン 砂の惑星 Part2」。私はSFにほとんど興味がない方なのですが、Part1の不思議な世界観にかなり引き込まれ、Part2も俄然見たくなったわけです。一作目は本当に導入という感じでしたが、今回は大きな展開で終始エキサイティング。一族をほぼ皆殺しにされたポール・アトレイデスが、砂漠の民フレメンを率いて、仇であるハルコンネン家、ひいては皇帝シャッダム4世に挑みます。砂の惑星なので相変わらず砂だらけなのですが、この砂の世界がなんとも幻想的で、それだけで引き込まれます。画面に紗がかかったような雰囲気で、常に静寂がつきまとっているのですが、時に技術が現代を超えたものであったり、古めかしいのに機能的であったりと、これはやはりSFならではの設定なのでしょうが、私にはとても新鮮でした。とにかく、ティモシー・シャラメが妖艶で力強くて、その存在感はすさまじい。「君の名前で僕を呼んで」の子がこんなになるんですか!?一作目ではまだまだ若木のようだった彼が、フレメンの信用を得て一気に統率者となり変容していくさまが、不気味でもあり胸が痛くもあり。フレメンに仲間意識を持ちながらも、自分の目的のために、彼らが求める救世主リサーン・アル=ガイブへの崇拝心を利用し、ポールはてっぺんに立つわけですが、時折見せる、暗い苦悩を秘めた眼差しにくらくらします。とはいえ、「I am Paul Muad’dib Atreides, Duke of Arrakis!」と彼が叫び、フレメンの民が咆哮を挙げる瞬間は、何かすごく大変なことになりそうだと思うと同時に、血が湧き立つような感覚も覚えてしまいました。チャニの複雑そうな表情が挿入されるので、余計に、ね…。でも、このシーンからシャッダム4世を屈服させるところまで、終始私の心臓はバクバクでした。この興奮はなんだ、いったいどこから湧き上がってくるんだと自分でも戸惑うほど。そして、大領家との全面戦争を示唆するところで終幕なのですが…もう、次どうなるの!早く見たい!砂虫を乗りこなすシーンの迫力も目が釘付け。砂虫を畏れながらも、時にそれを移動手段として使いこなすフレメンのたくましさは、頼もしい。ハルコンネンに戦いを挑む際、砂の中からみんながいっせいに飛び出すシーンは鳥肌が立ちます。スティルガー頼もしすぎて大好きです。リサーン・アル=ガイブとか、クウィサッツ・ハデラックとか、不思議な固有名詞ばかりなのですが、それがすっと頭に入り、物語を楽しめるのは、やはり監督の手腕なんでしょうかね。宗教と政治、戦争が絡み合う世界は、現代への警鐘でしょうか。核弾頭が92発って、それは…使うの?という不安も続きますし、イスラムとキリスト教世界を思わせるような雰囲気も、危うくて、恐怖めいたものを感じますし…でも、見たくなるんですよね。これがどういう帰結を迎えるのか、本当に楽しみです。個人的に、ガーニイが生きてたのが嬉しすぎてたまりませんでした。「老いぼれ」とポールが呼んだ瞬間、ちょっと涙ぐみましたよ。だってみんな死んじゃったと思ってたので…それと、オースティン・バトラーが原型をとどめてなくてびっくりしました。あの頭、メイクで作ったらしいですが、それもすごい。でも彼があんなんで本当にすごい(笑)。伯父上とのキスシーンまで(しかもアドリブらしい)あって、ものすごいインパクトでした。