カテゴリ:嗚呼なつかしのテレビドラマ♪
'94年にフジテレビ系で放映された昼の連ドラ・「天上の青」‥‥
覚えている方は少ないと思いますが、モイラにとっては忘れられない名作です。 三浦海岸にほど近い古びた一軒家にひっそりと住み、和裁で生計を立てる慎ましやかな三十半ばの女・雪子(山口果林)と、 若い女を次々愛車に誘い込んで肉体関係を結び、ちょっとしたことで相手を殺す男・富士男(白竜)の、プラトニック・ラブの物語。 「天上の青」とは、ヘブンリー・ブルーという、眼にも鮮やかな青い朝顔のこと。 日ごろ、母親に甘やかされ、家業もろくに手伝わず、働き者の義兄に屑のように扱われ、 鬱屈した思いをゆきずりの女との刹那的な快楽でかろうじて発散している富士男は、 雪子の家の軒先の、その美しい朝顔に目をとめ、それを口実に雪子をモノにしようと近づくのですが、 過去にひどい失恋の傷を負っても、それを「仕方のないこと」と受け止め、 等身大に慎ましやかに生きる雪子の中に、一種の「聖女」を見て、 彼女にだけは心を開き、「この人だけは汚してはならない‥‥」と思うのです。 雪子も富士男のいい加減さを知りつつも、ひねくれた彼の中にも、どこか子どものような純粋で無垢なところを感じ取り、 気の向いた時に訪れる彼を受け入れる‥‥ 原作は曽野綾子。70年代に世間を震撼させた大久保清事件をモチーフにしたものですが、 殺人鬼と呼ばれる人間は、本当にまったく救いのない存在なのか? ‥‥というのがテーマではないかと思われます。 殺人鬼と呼ばれた富士男は、残忍な犯罪を重ねる一方で、 自殺を思いつめていた女性を助けたり、 不登校で家に居場所のない少女の相談役にもなっていたのですから。 富士男を演じたのは、Vシネでおなじみの白竜。 暗闇の中でうすら笑いで待ち伏せされたら、誰もが震え上がるであろう、あの独特の風貌と、 高い声の上手とは言えない台詞のしゃべり方が、 正直あまり好きじゃなかったんですが、 (最初、彼を映画で見た時、「ずいぶん日本語のうまい韓国人俳優だなあ」と思ったんです。) このドラマで、いっぺんに好きになりました! 彼が半裸になった山口サンの胸に抱かれて、 「俺、あんたをめちゃくちゃにしたい。でもできないんだよう!」と、子どものようにおいおい泣くシーンは、忘れられません。 女と関係し、気に食わなければ殺して埋めてしまうといった残酷な犯罪を重ねつつも、最低限の良心や、真に人を愛する心を捨て去れない男を、熱演していました。 取調べの刑事役の鶴田忍も良かったですね。 殺人鬼と呼ばれる男の奥底に残っていた良心を知り、彼を「鬼」ではなく、ひとりの人間として扱う、いい役どころでした。 このドラマ、白鳥英美子の主題歌がまた良かったですよ。 にほんブログ村 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[嗚呼なつかしのテレビドラマ♪] カテゴリの最新記事
|
|