カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
鬼才・寺山修司の「少年時代の記憶」というか
「原体験」のようなものを、青森の田舎の土着的・土俗的な なんとも形容しがたい色合いと匂いづけで描いた秀作‥‥ それが、「田園に死す」('74年 人力飛行機舎 ATG)です。 2008年04月23日発売田園に死す 映画監督の「私」は、自らの少年時代を回顧した映画を創ろうとした。 映画の中の少年の「私」は、農村特有の閉鎖社会と、 何より自分を庇護という名で抑圧する母の存在がうっとうしくてたまらず、 ひそかにあこがれていた隣の美しい後妻さん(八千草薫)と、手に手をとって 郷里をあとにしようとするのだが‥‥ 前作の「書を捨てよ町へ出よう」は、ほとんどすべて都会を舞台にしていますが、 こちらはほとんどすべて、青森の山奥深い農村が舞台。 濃霧の中でいつの間にか老人になる、かくれんぼをしていた子どもたち。 畳の下から出現する恐山。 サーカス団の超デブ空気女(春川ますみ)と、小人の亭主。 村の娘が産んだ父なし子を川に流したあと、なぜか川向こうから流れてくる大きな雛壇。 突然農村をバックにギターを抱えて、吼えるように歌い出すフォーク歌手・三上寛(この時は長髪だったのでびっくり!)‥‥ シュールにして土俗的、不気味にしてどこかノスタルジックな寺山ワールド全開。 まあ、わけわからんものが嫌いな人は、生理的に受け付けないシーンの続出でしょうが、 前作「書を捨てよ‥‥」よりはいくらかストーリー性もあり、 なおかつ、寺山独自の不思議ワールドを堪能できる一作です。 観終わった感想‥‥「寺山サンって相当なマザコンなんだなあ‥‥」。 この作品では、「母」というものが大きくクローズアップされていますが、 同時に、「少年期の終焉」も「見事に」(?)描かれています。 そして痛感したのは、「性」と「生」とは同義語なんだなあということですね。 さらば箱舟(DVD) ◆20%OFF! 寺山修司詩集 寺山修司・遊戯の人 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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