カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
きょうは、'60年代後半から'70年代前半にかけて
アメリカ映画界のみならず、世界の映画界で物議をかもしたアメリカン・ニュー・シネマの佳作にして 笑いと悲哀あふれるロードムービー・「スケアクロウ」('73年)をとりあげます。 スケアクロウ アメリカの片田舎で、ヒッチハイクの車をつかまえようとしていた二人の男 刑務所を出たばかりのマックス(ジーン・ハックマン)と 5年間船乗りをして、ようやく陸に下りたライオン(アル・パチーノ)。 マックスはドケチで些か直情型、かたやライオンはイタリア人気質丸出しの陽気な男。 二人はひょんなことから意気投合、ライオンの妻と子が待つというデトロイトまで同行することに。 しかし、気楽な風来坊ふたりの気楽な旅の果てには、地獄が待ちうけていた‥‥ ジェリー・シャッツバーグ監督のてらいのない、どちらかといえば淡々とした演出が 風来坊ふたり組ののんきさと危うさを、上手に表現しています。 持っている服を着るだけ着込んだハックマンが、おかしかったですね。 でも一番圧倒されたのは、パチーノの終盤近くの狂気の演技。 彼の役者としての才能は、「哀しみの街かど」「ゴッドファーザー」などで注目されていましたが、 モイラはこの演技を見て、思わず唸りました。 この終盤近くのシチュエーションと狂気の演技には、賛否両論あるようですが、 モイラは結構好きです。 ラストの空港のカウンターのシーンも、とてもわびしいというか、哀しかったですね。 「スケアクロウ」は、案山子という意味ですが、 「ショボい奴」という意味もあるそうです。 昔のハリウッドなら、まずほとんど主人公にはならなかったショボい風来坊に 真っ向から焦点をあてた佳作と言えるでしょう。 【DVD】88ミニッツ/アル・パチーノ カリートの道(HD-DVD) / アル・パチーノ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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