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Jun 19, 2008

野望と人間の尊厳★「白い巨塔」

(8)

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

「大学病院での不祥事、医療過誤」などというニュースを耳にするたび、
モイラの脳裏に浮かぶのが、この日本映画史上に輝く名作です。

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大阪・浪速大学病院の外科医・財前五郎助教授（田宮二郎）は、
難しいオペも短時間で仕上げることで、院内ではもとより、マスコミにももてはやされていた。
貧しい母子家庭に育ち、金儲け主義の開業医の入り婿である財前は、
教授昇格を熱望していたのだが、
自分がオペをした患者が急死するという事態が起こり、立場は一変し‥‥

'66年大映作品。監督は社会派の名手・山本薩夫。
男の野望、大学病院内の目もあてられぬ腐敗、それでもなお、人間性を追及しようとする医師の姿などを、骨太なタッチで描いた秀作と言えるでしょう。
キャストも、小沢栄太郎、藤村志保、田村高広、加藤嘉、
船越英二、小川真由美、加藤武など、そうそうたるものです。
しかし、なんといっても一番ハマっているのが、田宮氏でしょう！
モイラの頭の中では、「財前五郎＝田宮二郎」なのです。
あのどこか翳のある知的な風貌、時おりふっと見せる貧しい育ちゆえのコンプレックスが、
観客にシンパシーを与えていたようです。

強烈に印象に残っているのが、加藤嘉扮する学究肌の老医学者。
教授選の前、財前の義父に差し出された大金を、怒りに任せて蹴散らし、
「帰れッ！このわしを何と心得るかッ?!バカ者!!」と怒鳴るのが、いやあ、かっこよかった！
金が必要となるとすぐ、「なんぼや?!」と手をたたく財前義父（石山健二郎）も、
いかにも医師会のえらいさんあたりにいそうな人で、それでいてどこか憎めませんでした。

「白い巨塔」は山崎豊子の原作ですが、のちに田宮二郎でテレビドラマ化、
その後もいろいろな俳優でドラマ化され、
ついに昨年、韓国でもドラマ化され、高視聴率を得ました。

★もっと田宮二郎！★