カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
鶴田浩二といえば‥‥
相当お年を召しておられる方にとっては、「松竹のさわやか青春スター」、 ややお年を召しておられる方にとっては、「三船武蔵と巌流島で闘った佐々木小次郎」 それよりちょっとお若い世代の方にとっては、「東映任侠映画の大スター」 ‥‥こうしたイメージがおありだと思いますが、 そんな鶴田浩二も、東宝特撮映画に主演していたんです! その彼が主演の唯一の特撮作品が、福田純監督の「電送人間」('60年)! 電送人間(DVD) ◆20%OFF! 東京都内の遊園地(今はなき多摩川園)のお化け屋敷で、 中年男が銃剣で刺殺される事件が発生。 新聞記者の桐岡(鶴田浩二)と刑事の岡崎(土屋嘉男)は、 現場にかつての陸軍軍人が所有していた認識票と、 奇妙なコイルのようなものを見つけた。 目撃者によれば、ホシはお化け屋敷という人目につく場所で堂々と犯行を行い、 直後、煙のように消えたというのだから、桐岡も刑事たちも首をかしげるばかり。 そして、この奇怪な殺人事件の報道に、恐れおののく三人の男たちがいた‥‥ 円谷英二大先生が特技監督を務めた特撮作品ですが、 全体としてはサスペンス映画のテイストに仕上がっています。 15年前の敗戦直後、戦争中に国民に供出させた金銀を懐にいれるため、 阻止する部下と軍部に協力していた科学者を生き埋めにした過去に怯える三人の男が、 次々と電波によって、はるか遠くの地点に己の身体をテレポートできる「電送人間」に、銃剣で殺される過程が、 ハラハラドキドキの連続でした。 警察の張込み、追跡のシーンもなかなかのもの。 ただ追っかけのシーンでは、砧撮影所の塀を使っているのが丸わかりでした。 犯人が特殊な機械を使ってテレポートするシーンは、アニメーションを使っていますが、 他に特撮といえば、噴火する浅間山と、貨物列車の爆破シーンくらいで、 その点が世の特撮ファンには、イマイチ人気がないようですが、 なんのなんの、列車の爆発は本物みたいで迫力があったし、 電送によるテレポートの様子も、不気味でした。 不気味といえば、中丸忠雄の表情のない暗く冷たい顔が、この上なく不気味でしたね。 ご本人はああいった役はやりたくなかったらしいのですが‥‥ 鶴田浩二も、東宝の二枚目スターというプライドから、特撮モノには出たくなかったそうですが、 当時新進気鋭の福田監督の顔を立てて、出たそうですね。 隆が経営する「キャバレー・大本営」には思わず笑いました。 陸軍の軍服を着て銃剣を持った男が呼び込みで、 ホステスは全員水兵服(しかもミニスカ)姿。 出される酒の名前は、「焼夷弾」「手榴弾」‥‥ まあ、この作品が世に出た頃は、まだ日本も戦争の影を引きずっていたんでしょうね。 東宝特撮「変身人間4部作」の3作めを飾る佳作です。 [DVDソフト] 美女と液体人間 [DVDソフト] ガス人間第1号 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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