カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
美しさ、妖艶さの上に気品を兼ね備えた市川雷蔵様の当たり役「眠狂四郎」シリーズ5作め
「眠狂四郎炎情剣」('65年大映)‥‥ 眠狂四郎炎情剣 黒い着物の着流し姿で旅をする浪人・眠狂四郎(雷蔵)は、 赤みがかった髪と雪をも欺く白い肌、 そして「異形」と呼ばれる彫りの深いエキゾチックな美貌。 転びバテレンの欧州人と日本人との混血の彼は、剣の達人でもある。 そんな狂四郎は、ふとしたことから夫の仇討ちをする武家の妻女ぬい(中村玉緒)の助太刀をするが、 さる大名家の悪徳家老(安倍徹)の陰謀に、徐々に巻き込まれてゆくのだった‥‥ 今回も狂四郎は、持ち前の凄みさえ感じる美貌を武器に、 色じかけで目の前に立ちふさがる女たちを、殺し文句で次々と斬りつけてゆきます。 中でも背筋がゾクッとしたのが、悪徳商人(西村晃)が「お好きなように」と若い娘を差し向けた時、 眉ひとつ動かさずにつぶやいた一言。 「俺は女を犯すことには慣れた男だ‥‥」 これ、他の役者が口にしたら、下手するととてつもなく下品になっちゃうけど、 雷蔵様が口にすると、ちっとも下品じゃない。むしろ、 「うわ‥‥こんないい男になら犯されてもみたいもの‥‥」と 多くの女に思わせるようなセリフです。 鎖国時代に異国に渡った海賊の末裔たちが登場するのも、ユニーク。 男まさりの海賊の娘を演じるのは、中原早苗。 得意の手裏剣を狂四郎の剣に跳ね返され、悔しそうに歯噛みし、 「約束だ。この身体をどうとでもしやがれ!」と、着物の帯を解いて横たわるも、 狂四郎が娘の胸に下がった十字架を見て、指一本触れないところなどは、 まあお約束といえばそうですが、「これぞ男気だねえ」と思いました。 女は魔物と呼ばれ、女の魔性で身を滅ぼした男は古今東西大勢おりますが、 そんな魔物を手もなく操る術を知っている男‥‥それが狂四郎でしょう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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