カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
盲、聾、唖の三重苦を抱えながら、大学を卒業し、
世界的に名を知られる社会事業家となったヘレン・ケラー。 そんな彼女が、いかにして「心の目」「心の光」を得ることができたか‥‥ 少女時代のヘレンと彼女の家庭教師との、激しいバトルにも似た交流を軸に、 人間の尊厳を高らかに謳いあげた名作が、「奇跡の人」 ('62年)です。 DVD 奇跡の人 (1962年度製作版) 【UA90周年記念キャンペーン】 (8/2 発売予定) 南部の名家に生まれたヘレン・ケラーは、生後19か月で熱病のため、 光と音を失った。 両親は三重苦の娘を不憫に思う一方で、「この子はどう育てても、どうせまともな人間にはならない」と見捨て、 ろくな躾もせず、邸で飼い殺し状態にしていた。 それでも母親は一縷の望みをかけ、盲人の教育で成果をあげている北部ボストンの学校に問い合わせをし、 ヘレンのための家庭教師を依頼した。 しかしやってきた教師は、わずか20歳の娘で、しかもひどい弱視のアニー・サリバン(アン・バンクロフト)。 父親は失望するが、アニーが到着したその日から、野放し状態だった野生児・ヘレンとの格闘が始まるのだった‥‥ ウイリアム・ギブソンの名戯曲が原作で、ギブソン自身がシナリオを執筆、 それを、「俺たちに明日はない」のアーサー・ペン監督が、 モノクロながら迫力のある演出で仕上げています。 「憐れむべき重度の障害児」だったヘレンを、アニーだけは健常者と同等に扱い、 ヘレンの父母の戸惑い、兄の冷笑も跳ね返し、 ヘレンに「心の目」「心の光」を与えようと、孤軍奮闘‥‥まるで闘いでした。 アン・バンクロフトの迫力ある演技もすごかったけど、 ヘレン役のパティ・デュークの名演にも拍手でした。まるで本物の障害者でしたから。 障害のない子どもでさえ、教育し、一人前に育てるのは大変なこと。 (モイラには子どもがいませんが、世のお母様方を見ていてそう思います) まして重度の障害を持った子どもを教育するのは、至難の業。 ヘレンが井戸の水を手にして、「ウオーター!」と叫ぶあの映画史に残る名シーンには、 障害を持つ子どもさんを育てる親御さんたちも、どれほど感銘を受けたか‥‥ モイラは小学6年の時、この映画を父に連れられて名画座で観たのですが、 大人になってからは、演劇も観ました。 アニー役は大竹しのぶさん。まさに名演技でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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