カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
日本の高度経済成長期、超ハイテンションと素早い動きで、
お茶の間の大人気をさらったコント55号。 1960年代後半から70年代前半にかけて、 彼らの主演映画は13本(東宝・松竹作品とだいたい半々)。 その多くはDVD化されていますが、 モイラが最も好きなのは、まだDVD化されていない(ビデオ化も確かされていなかったと思います) '70年の「俺は眠たかった!!」(松竹)。 この作品、製作、監督、脚本、音楽、主演が、すべて萩本欽一。 かの喜劇王チャップリンに対抗したんでしょうか。 セールスマンの萩本欽一(萩本欽一)は、夜、アパートの近くで吠える犬の声、 隣の新婚夫婦の睦言、外を走るトラックの騒音に邪魔され、 眠れない日々を送っていた。 そんな彼の不眠症に拍車をかけるのが、田舎から出てきた両親(母親役は坂上二郎)の無用な気遣い。 不眠症がピークに達した欽一は、セールスの成績も下がり、意気消沈。 疲れきった体をひきずるように、車道にふらふらと出たのが運のツキ。 一台の車が彼にぐんぐん迫ってきて‥‥ 萩本欽一が彼自身の名で主演しているのもさることながら、 二郎さんが欽ちゃんの母親、警官役など、なんと1人5役をつとめているのが面白い! でも一番面白かった、というより、心を打たれたのが、 都会暮らしの中で、理不尽にも不眠症になった男が、 これまた理不尽にも次から次と予期せぬ災難に遭い、 それでも生きなければならないという、この映画全体のテーマ。 まさに不条理劇です。 ネタバレするから言わないけど、この映画、ものすごく皮肉な結末が待っています。 この悲喜劇の手法は、まさにチャップリン映画のそれを彷彿とさせます。 ところで、映画ファンの間では、「欽ちゃんは若い頃からチャップリン映画通」と思われているようですが(モイラもそう思ってました)、 ほんとは若い頃は、2,3本しかチャップリン映画を観たことがなかったそうです。 でも'71年にスイスに飛んでチャップリンと会って、世界一の喜劇王の人柄に触れてから、 全作品を観て研究するようになったとか。 なんで「俺は眠たかった!!」が、DVD化されないんだろうかと思いますね。 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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