カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
映画ファンなら知らない人はいない名作ってありますね。
この映画など、まさにそうじゃありませんか? 1972年、出来不出来の激しい名匠フランシス・コッポラ監督が、 渾身の力をこめてメガホンをとった大作。 第二次大戦直後のマフィア・ファミリーの愛憎を描いた一大叙事詩で、 PART2、PART3と全三作あります。 通常シリーズ物は、続篇を重ねるごとに、作品の質が落ちる傾向が強いですが、 この「ゴッドファーザー」シリーズは、数少ない例外で、 PART1は無論のこと、PART2、PART3もPART1にまさるとも劣らぬ大傑作と言えるでしょう。 なぜ続篇を重ねても、大傑作が出来上がるか‥‥? これはもう、シナリオのたぐいまれな秀逸さと、 コッポラ監督の計算しつくされた演出、 ニーノ・ロータの素晴らしいテーマ音楽、 そして、マーロン・ブランド、アル・パチーノ、ロバート・デュバルら、 役者陣の映画史上に残る名演の賜物でしょうね。 モイラはこの作品を、小学生の時、映画人だった亡父に連れられて観たのですが、 何しろまだ子どもでしたから、銃弾飛び交う血で血を洗う抗争の場面を目にした時、 最初はスクリーンから顔をそむけたものです。 実を言うと、この時モイラは「マフィア」なんて言葉すら知らなかったし、 当時、巷でよく流れていた「ゴッドファーザー 愛のテーマ」(涙が出るほど美しい曲です!)を聴いて、 「ああ、いい曲だなあ。『ゴッドファーザー』って、ラブストーリーなのかな?」 なんて、とんでもない勘違いをしていたのです。 実際、映画館にはモイラと同じ勘違いをしていたらしい大人の女性もいて、 血の抗争の場面を観て、「何これ?暴力映画じゃない‥‥」なんて お金を払って映画館に入ったことを、心から後悔しているようでした。 しかしモイラは終盤に近づくにつれ、あふれる涙を抑えきれませんでした。 特にジェームズ・カーン演じる血の気の多い長男ソニーが、 愛する妹コニー(タリア・シャイア)が、亭主にいじめられていると聞くや、 おっとり刀で車でコニーのもとに向かう途中、 高速の料金所で、銃弾で蜂の巣にされて、ボロキレのように殺される場面。 そして、そのむごたらしい遺体を、冒頭でドンのヴィト・コルレオーネ(マーロン・ブランド)に頼みごとをした葬儀屋が、 「私がご遺体を修復いたしましょう」と言い、 これを聞いたドンが、葬儀屋を身内同様に思い、彼の身体を抱き寄せる場面。 家族愛がこれほどきっちりと、そして丹念に描かれた映画は、そうないと思います。 一番驚いたのは、ドンを演じたマーロン・ブランドが、この時まだ48歳だったということ。 (モイラはこの「ゴッドファーザー」という映画で、初めて名優マーロン・ブランドの名も知ったのです。) てっきり70歳前後の人かと思ってました。 マフィアの大ボス・ヴィト・コルレオーネ役は、ブランド自ら「俺が演じたい!」と言ったのですが、 製作スタッフ側は、「マーロン・ブランド? 冗談じゃない! あいつは確かに名優だけど、わがまますぎるし、今じゃすっかり落ち目。第一年が若すぎる」と、 最初は歯牙にもかけなかったそうです。 そこでブランドは丹念な年寄りメイクをし、 ものすごいしゃがれ声を作って、その姿をフィルムにおさめ、 スタッフに送ったら、スタッフは皆、そのフィルムに釘付けになり、 「これぞまさに、我々が探していたドン・コルレオーネだ! いったいこのフィルムの役者は誰だ?」 そして、フィルムに映っているのが、かつてジーンズ文化を若者たちに定着させ、 「エデンの東」の主役に起用されながら、赤狩りに協力したエリア・カザン監督への憎悪から主役を蹴り、 撮影所では新人女優に次々手をつけるトラブルメーカーで、 スタッフからは総スカンを食っていた、超わがままな名優ブランドと知って、 腰を抜かすほどびっくりしたようです。 「さ、さすがはマーロン・ブランド。やはり名優だ!」 ブランドはこの「ゴッドファーザー」でアカデミー主演男優賞に選ばれましたが、 当時まだ人種差別が横行していたハリウッドの体質に抗議をし、 受賞を拒否したのは、あまりにも有名です。 また映画とは全然関係ありませんが、 モイラの農園の種子島安納芋が大売出し中です♪ にほんブログ村 にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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