カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
今夜はとても古い、
しかし、今観ても斬新で鮮烈な映画のお話です。 バンツマこと、阪東妻三郎主演の不朽の名作「雄呂血」('25年 阪妻プロダクション)です。 ビデオメーカー Talking Silents3「雄呂血」「逆流」 正義感の強い若侍・平三郎は、通っていた漢学塾で意地の悪い家老の嫡男に嫌味を言われ、 ついにキレて喧嘩となるが、誰も彼の味方をしてくれる者はなく、 密かに恋慕っていた武家娘・奈美江にまで、そっぽを向かれる。 それが平三郎の転落の始まりで、彼は塾のみならず藩からも追放され‥‥ 昭和2年公開の映画ですから、もちろんサイレントです。 モイラはこの映画を大学生の時、読売ホールで観たのですが、 公開当時の楽団の音楽と、弁士の語り(たぶんレコード)を堪能できました。 「これぞ活動大写真!!」って感じでしたね。 この時代劇活動写真、公開当時としては大変画期的で斬新だったそうです。 なぜならば、この当時、時代劇といえば、 ヒーローはすべて完全無欠のスーパーマンで、 多勢の悪党どもに囲まれても、1人でばったばったと相手を次々斬り倒し、 いかなる窮地に陥っても、常に冷静で、 超カッコよかったのです。 ところが、バンツマ演じる平三郎は、少しもカッコよくない。 本当は好青年で、善意の行動をとっても、それがすべて裏目に出て、 周りの人に誤解され、悪人と決め付けられ、どこへ行っても嫌われ、 遂には犯罪者として追われる身となるのですから。 クライマックスは、脱獄した平三郎が、役人どもに取り囲まれ、 投げ繩で蜘蛛の巣にかかった蛾のごとく、暴れながら捕らえられるシーン。 抜群のカメラワークでした。迫力満点でした。 あのジョン・フォード監督が、この映画を絶賛したのも、首がちぎれるほどうなずけましたね。 アンチ・ヒーロー、不条理、アンハッピーエンドといった負の要素を ここまでふんだんに織り込んだのも、当時としてはかなり勇気が要ったと思います。 バンツマは役者のみならず、プロデユーサーとしての才能にも、 大いに恵まれていましたね。 [1951年松竹:DVD未発売]稲妻草紙●阪東妻三郎/田中絹代 (中古ビデオ/VHS) 【中古】 【ポイント10倍】クレカで全国送料無料!!丹下左膳阪東妻三郎 送料無料!!【DVD】破れ太鼓/阪東妻三郎 バンドウ ツマサブロウ 大江戸五人男 / 阪東妻三郎 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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