カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
製作・田中友幸、監督・本多猪四郎、
そして特撮は円谷英二大先生という黄金トリオ。 原作は「地球防衛軍」の丘見丈二郎、脚色は関沢新一、そして撮影は小泉一と、これまた黄金トリオ。 特撮ファンの方々なら、もうおわかりですね。 1959年(昭和34年)12月下旬に公開された新春大作「宇宙大戦争」です。 【中古】宇宙大戦争 [東宝DVD名作セレクション] 近未来の1965年、東海道線の鉄橋が突然宙に浮き、走行していた列車が谷底に落ちる怪事件が発生。 これを皮切りに、世界各国でありえないような天変地異が次々と勃発。 日本の宇宙科学センターの総帥・ドクター安達(千田是也)と、その弟子・勝宮(池部良)、岩村(土屋嘉男)たちは、 天変地異の原因は、異星人が放つ冷却線による物体の無重力化だと 国際科学会議の席で発表。 しかし、異星人の魔の手は、その会議の席にも既に伸びていて‥‥ この映画が公開された1959年という年は、旧ソ連が人類史上初の有人宇宙飛行に成功し、 月の裏側の様子を見事写真におさめた年。 こうした時代背景から、まだ有人宇宙飛行どころか、高度経済成長前で、 全体的に貧しかった日本の人々も、宇宙というものに興味を抱き始めていたそうです。 この映画のすごいところは、科学者たちの月面着陸、無重力状態での歩行の様子が、 かなりリアルに描写されている点です。 アポロ11号の人類月面着陸の10年も前の作品なんですよ! これにはほんと、感心しましたね。 実は、この無重力状態における歩行演技を提案したのは、日本映画史上初の宇宙人役者・土屋嘉男氏なのです。 かの「地球防衛軍」で、「顔が映らなくてもいいから、ぜひ宇宙人を演じたい!」と 本多監督に強く訴えたほどの宇宙マニアの土屋さん‥‥さすがですね。 地球科学の最先端技術を駆使した宇宙船スピップ号の造形も、なかなかのもの。 もっとカッコよかったのは、蛇腹で前後をつないだ黄色の月面探検車。 月面裏側に異星人ナタールが密かに建設した前線基地のミニチュアもすごい! 精緻な特撮には目を見張ります。 しかし、不満もいくつかあります。 まず、国際会議のシーンがやたら多いこと。あのシーンはちょっとダレ気味。 次に、あの科学ドキュメンタリー映画もどきのナレーション。あんなの全然いらない! 白石江津子役の安西郷子。大根なのはご愛嬌でも、顔がバタくさすぎ(そのくせ美人とは言えない)。 彼女とこれまた容姿は抜群だけど、演技力が今ひとつの池部さんとのラブシーンは、 「う~ん、ちょっとねえ‥‥」という感じでした。 そして、惜しむらくは、 「日常→いきなり非日常」がお得意の本多マジックが、ほとんど使われていないこと。 「昭和ゴジラ」シリーズや「地球防衛軍」では、実に効果的に使われていたのに、残念! 【中古】フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン) Blu-ray 【中古】フランケンシュタインの怪獣 サンダ対ガイラ [DVD] 【中古】マタンゴ [東宝DVDシネマファンクラブ] 【中古】妖星ゴラス [東宝DVDシネマファンクラブ] にほんブログ村 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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