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May 5, 2010

嫉妬と確執がうごめく不気味な屋敷★「紅夢」

カテゴリ：独断と偏見に満ちた映画評

きょうの名作は、'91年の中国映画、コン・リー主演の「紅夢」です。

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1920年代の中国のとある町、
貧しい家の娘・頌蓮(コン・リー)は19の年に家のため、
地元の大金持ちで、自分よりはるかに年上の大旦那と不本意な結婚をした。
それも第四夫人として‥‥
大旦那の妻たちは、それぞれ屋敷とは別棟の小ぶりの家に住まわされ、
夜になると、どの女の家に大旦那が通ってくるか
互いにそればかりを心に止め、嫉妬と不安にさいなまれる日々を送っていたのだった‥‥

文化大革命前の中国では、お金持ちは一夫多妻なんて当たり前。
モイラの亡き父は中国東北部の生まれ育ちで、
旧制中学時代の級友の、裕福な満州人の子の家に誘われて遊びに行ったら、
「この人たちが僕のお母さん」だと、４、５人の女性を紹介されて、仰天したと言っておりました。

閑話休題。
まず大旦那の夫人たちの性格づけが、面白かったです。
跡取りの男子を産み、立派に育てたものの、
女としては年をとって、大旦那から完全にうち捨てられた第一夫人・大太太。
とりたてて美人ではないけど、頌蓮の身の上を同情してみせる一見心優しい第二夫人・卓雲。
元舞台女優で、露骨に頌蓮に対抗意識を燃やすタカビー美人の第三夫人・梅珊。
頌蓮を入れて四人の妻たちのほかにも、なんとか大旦那の寵愛を受けようと必死で、
頌蓮に猛烈な嫉妬心を燃やす下女・雁兒まで登場するのですから、
邸の中はもうすごいことになります。
最初は大旦那が来るのを嫌がっていた頌蓮が、
中国式の足マッサージ（？）や年齢的な変化によって、
女として花開き、大旦那とのまくわいを悦ぶようになってくるのが、見ものです。
そんな女の変化を演じていても、一見硬質なくらい清楚なコン・リーだからか、
嫌悪感や不潔感がまったく感じられません。

敷地は広いけど、女たちの嫉妬や確執がうごめき、
閉塞感に満ち、やたらに薄暗い邸がやけに不気味でした。
抜群なカメラワーク（カメラは邸の外から一歩も出ない）が、見事にその不気味さと閉塞感を表現していました。
５人の女を不幸にする大旦那の顔がほとんど映らないのも、不気味でした。

しかし‥‥男性って金や地位を持つと
妻1人では飽き足らなくなる生きものなのでしょうかね？
旧約聖書に出てくるダビデやソロモンも、大勢の妻を持ったというし、
日本の大名も、キリシタン以外はほとんど複数の側室を抱えていたっていうし‥‥
複数の妻を持つなんて、精神的にかなりしんどいと思うんですがね‥‥？

★コン・リー作品あれこれ★