カテゴリ:独断と偏見に満ちた映画評
岡本喜八監督は豊橋の予備士官学校在学中、空襲に見舞われ、
大勢の学友が死んでいったのを目のあたりにしたことから、 戦争というものに果てしない嫌悪感と怒りを覚え、 のちに、反戦のメッセージが強い映画をいくつも作りました。 その中の代表作であり、監督自身の出世作でもあるのが 1959年の「独立愚連隊」(東宝)ではないでしょうか。 独立愚連隊(DVD) ◆20%OFF! 日本の戦争映画の常連俳優・佐藤允演じる戦闘服姿の新聞記者が、 崖の上に仰向けに寝そべっていたかと思いきや、 いきなり崖からひょいッと飛び降り、その下で待ち構えていた馬にまたがり、 パッカパッカとだだっ広い北支の大陸を駆けるオープニングは、まさに西部劇。 彼が目指すは、北支の最も危険な最前線にいる 落ちこぼれの兵隊どもの集団・通称「独立愚連隊」。 以前、女とピストル心中した愚連隊小哨長・大久保の本当の死因を探ろうとしていた彼だが、 実はその正体は‥‥ 一匹狼佐藤允が、薄汚い手を使って部隊の実権を握り、やりたい放題の男をやっつけるという 痛快無比なストーリー展開なのですが、 その過程で、戦争の愚かしさを痛烈に批判しております。 シナリオの構成がまた、舌を巻くほど秀逸! ひと癖もふた癖もある油断ならない軍曹(中谷一郎)をはじめとする、個性豊かな愚連隊の面々、 わけてもサイコロ博打にあけくれる二人組や、手榴弾をおもちゃ代わりにする兵士の様子には、 「う~む、これぞ岡本マジック!」と、思わず唸らされる、実に巧みな伏線が張られています。 一匹狼と元看護婦の従軍慰安婦(雪村いづみ)の恋物語も、 一歩間違えたら三流メロドラマになりがちなのも、 岡本マジックならではの、一見ドライだけど、奥深い人間観察が垣間見える演出が 功を奏しています。 横暴というより冷酷無比な中尉・中丸忠雄が なんともハマっておりました。 満州人馬賊のボス・鶴田浩二も 出番は少ないながらも、サングラス姿がかっこよく、 さすがは日本映画界屈指の大スターらしい貫禄を見せておりました。 大スターといえば、三船敏郎が、 城壁から落っこちて頭を打って、気のふれた部隊長を演じていましたね。 洗濯をしている慰安婦たちを兵隊と思い込み、完全にイッちゃってる目で 「気をつけえーッ!」と軍刀片手にバカ声張り上げるシーンには、 「へえー、世界のミフネもこういう役をやるんだ‥‥」と、一瞬目がテンになりました。 今の若い世代の人は、モノクロというだけで、観るのを敬遠しがちだそうですが、 この作品は、絶対、ぜーーーったい観て損はありません! いいえ、親御さんたちも戦争を知らない世代である20代、30代の方々にこそ、 ぜひ観ていただきたい一作です! 肉弾(DVD) ◆20%OFF! 英霊たちの応援歌 最後の早慶戦 激動の昭和史 沖縄決戦(DVD) ◆20%OFF! 独立愚連隊西へ(DVD) ◆20%OFF! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
May 12, 2010 09:40:16 PM
コメント(0) | コメントを書く
[独断と偏見に満ちた映画評] カテゴリの最新記事
|
|