健全な家族にはアシモ君が必要、の巻
【バーさん HEAD NEWS】★ 風邪の名残か、少々だるさを訴えるも、元気に活動【熱】 36.2~36.5 【リハビリ】 作業療法:プライベートレッスン(風船・ボール遊び) 理学療法:プライベートレッスン(立位訓練少々・足の運動少々)【感度】 おおむね良好。 時折「だるい」と行った様な言葉も。【嘔吐】 0【ウンコ様】 おやすみ【ヒミツのごっくん】 かなり飲んだ。@@@@@9:30頃到着。週末の番人(兄)本日欠席のため、私と姪が参上。「のほほん週末」を逃した母の一日は、殆んど平日と同じように過ぎた。午前中、ラウンジで暫く時間を過ごした後お風呂。午後、昼食後(3時過ぎ)から再び起こし、風船・ボールなどで遊ぶ。午後のスコールのおかげで、暑さがましになったので、見舞い客を見送りがてら病院の周りを車椅子で散歩する。風に吹かれて余程気持ちよかったのか、「ハァァ~ ハァァ~」と、大きな声を出しながら風を全身に受けていた。戻ってから一階のホールに置いてあった平行棒で立位の訓練を行おうと試みるも、車椅子が二本の平行棒の間に納まらず、どうもうまく行かない。一度だけ立たせたが、結局断念。洗面所で足を洗い、部屋で顔と手を拭いたあと、ポータブルトイレ経由でベッドに帰還。私がマッサージを施してもだめだったが、のんびりした性格の姪がのんびり口調で話しかけながらお腹をマッサージすると、魔法に掛かったようにオシッコ様がおいでになられた。午前中も、午後も「ナンカシンドイ」と数回漏らしていたので、平日に比べて一時間程起きている時間は短かったものの、体調に目立った変化は見られず、発話もよくあった。9時過ぎ病院を出る。@@@@@本日区役所から届いた通知により、母の要介護度が決定された。ご存知かもしれないが、この制度の要約など。(詳しくは「法令データ提供システム」なんかでで見てみてね♪)この「介護保険法」、平成9年に制定され、平成12年から施行される事になったという目的は、第一条 この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に 起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者 がその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に 基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。だそうだ。「要介護状態」になった場合(入院中の場合ケアーマネージャーという人がこれを代行するが)介護保険の申請を行うと、医師の診断等を元に自治体が認定調査を行い「要介護度」を決定する。 現在、要介護度は6段階に区別されており、「要介護状態」が一番低いものから順に、要支援 :日常生活の能力は基本的にあるが、つめ切りなどに一部介助が必要 (\61,500)要介護度1:立ち上がりや歩行が不安定。排せつ、入浴などに一部介助が必要 (\165,800)要介護度2:起き上がりが自力では困難。排せつ、入浴などに一部介助が必要 (\194,800)要介護度3:起き上がりが自力では困難。排せつ、入浴などに全介助が必要 (\267,500)要介護度4:排泄、入浴、衣類の着脱等全般について全面的な介助が必要 (\306,000)要介護度5:生活全般について全面的な介助が必要。 (\358,300)とのこと。そして要介護度に応じて、支給限度額が異なる(利用者は一割負担)。母は、くも膜下出血により「要介護状態」となり、このたびめでたく、トップレベルである「要介護度5」の地位を獲得した。この通知を見てなんだか複雑な気分になった。支給額が最高であるから、リハビリ・入浴など、在宅サービスを最大限に利用できる点では、母にとってはベストな結果だ。一方で、何ヶ月も植物状態だったにもかかわらず、こんなに目覚しい回復を見せているというのに、、それでも最高の要介護レベルが必要な人間だと「公式に」定められたこと。「かーちゃん、がんばってるやんかよぉ~」と役所に言いに行きたい気もする。いずれにせよ、夏の間は少なくとも訪問入浴サービスとリハビリを中心に介護保険を利用し、「きれい」で「元気」な毎日を送っていただくことにしたいと思う。@@@@@母が病に倒れて以来、本や新聞、そしてインターネットでつまみ食いするかのように、ちょこちょこと日本の医療制度に関する知識をかじってきた。断片的な知識ばかりなので、全体像をいまだ掴めないでいるため、以下のメモは「こんなかんじなんかなぁ」程度の「医療制度想像図」でしかない。勝手に思い込んでいるところもあるかと思うが、どうやらコンナ感じ。一昔前までは「社会的入院」というのが良く見られた。「病気は治ったけど、じーちゃんに障害が残った。自宅に連れ帰っても受験生がいるので、世話をしきれない。病院に居てもらおう」みたいなのが「社会的入院」と呼ばれていたそうだ。病院側としても、ゼニ儲けのため、なんだかんだと理由をつけてこういう患者を受け入れていた。これが医療保険の支出を膨らませた。医療費削減のため、政府は改革に乗り出した。【病院】一定期間(現在3ヶ月)を過ぎた患者を置いておくと、病院が損をする(医療保険から医療機関に支払われる額が減らされる)する仕組をとった。 また、過剰な検査・投薬を抑えるため、包括医療制度とかよばれるものが導入された。 病院は機能により分けられ(急性期病院・リハビリ病院・療養型の病院)それぞれの病院が医療サービスを提供した場合に、どれだけの期間、いくらの診療報酬が医療/介護保険から出るかが、事細かく設定されているみたいだ。同時に、【患者】医療保険と介護保険を別体系にし、医療費削減を図る。 介護保険を使うと医療保険は安易に使えなくなる。 これらのあやふやな知識から母の現状を考えてみると、くも膜下出血自体は、何とか乗り切ったので「急性期病院」は卒業。が、嘔吐が続くため「リハビリ病院」にいられない。なぜリハビリ病院が退院を勧めるか?理由は単純。同じ医療報酬を得るならば、もっと軽症の患者(事故で片足をなくしたお兄さん)を置いた方が楽。(介護する手間が省ける。 嘔吐による窒息死・肺炎などの心配をしなくて良い、などなど)さて、我が家が「問題家族」である事がここで幸いとなる。行き遅れの娘がおり、もらい遅れの息子がおり、83にして所得のある父がいて、おまけに母が育ててきた孫が二人。姪などは、無邪気に「おばあちゃん、いつ帰ってきやはるの~?!」と母の帰宅を首を長くして待ち、現時点で既に(兄よりも何倍も大胆に(?))母を起こし、座らせ、車椅子に移乗することを、事もなげにやってのける。入院中に母を見舞った回数は兄と比較すると少ないが、とにかく何でも出来てしまう状態だ。栄養剤を母の胃ろうチューブにつなげる作業も、一度やればもうマスターした様子。母が家に戻ってくる不安は皆抱えているだろうが、どちらかというと(私と姪を筆頭に)待ち遠しい気持ちの方が先立っている。が、「立派な家族」の場合どうだろう?社会の価値観をきちんと身につけた賢い娘は、短大卒業後、何か資格を取って仕事に燃え、30前後にちゃーんと結婚し、今は仕事を続けながら子供二人を育てている。幼稚園から電話が入り、子供が発熱したといえば事務所に頭をさげて早退。病気になったといえば、夜中に子供を抱いて救急病院へ走り、それでも翌朝キャリアウーマンの沽券にかけても遅刻はしない。長男はすでに近所に家庭を持ち、子供3人の養育費・教育費と家のローンに追い回されて、奥様もパートに出ている。じーさんは、ちょっと痴呆の陰りを見せながらも、朝から近所を散歩して健康維持にいそしみ、頻繁に顔を出してくれる長男の嫁と、時折、孫が甘えた声で「おじーちゃん~♪」と(小遣いをせびりに)やって来るのだけが楽しみだ。こんな家庭に、くも膜下出血で身動き取れないバーサンが病院から送り返されてきたら…?在宅介護は無理だからといって、慢性的な障害や疾病を持つ家族を長期的に入院させるのは困難だ。 なぜならそういう患者を長期入院させる病院は一定の金額の枠内で患者を看るように定められているため、母のような患者は敬遠されてしまう。こういう医療制度に問題を投げかける書物を見つけた。「患者追放:行き場を失う老人たち」(もうちょっと突っ込んで欲しいという気はするが)現状を知るにはもってこいの本。それで、つまるところ厚生労働省は、結局我々大日本帝国国民にどうして欲しいのでしょうか?女性の社会進出を後押しし、「自立した女性」(何が自立であれ)が安心して子育てを出来るように政策を打ち出す一方で、在宅介護を推し進め「在宅の終末医療を現在の2割から4割にする方針」さえ打ち出したという。一体誰が世話をすると考えているのだろう??少子化問題を解決するために、結婚して子を産めといい、でも女だって外に出て働こうよ!と薦めながら、その口でかーちゃん・とーちゃんを死ぬまで家で世話しろよ~という。頼りにすべき「在宅介護」のサービスは要介護5レベルでも35万程度。が、一割負担(3万5千円)の範囲内で何をしてもらえるかというと、たいした事はしてもらえない。週に3回お風呂に入れさせてもらって、週に3回リハビリしてもらい(それぞれ一時間とした場合)、ベッドと車椅子を借りたらもう一割負担の限度額に近くなる。旦那と奥さんが共に立派なキャリアを積んでいた場合、残業を一切しなくとも朝8時ごろから夕方6時ごろまではお留守となるだろう。(通勤時間含む)その留守の間に、受けられるサービスは一時間ずつのリハビリと入浴のみ。そして勉学に燃えるよい子は学校から塾に直行…。じーちゃん・ばーちゃんの体位交換は? お昼ごはんは? 話し相手は???「厚生労働省!今度は国民に『分身の術獲得政策』を推し進めてくれ!」と「健全な家族」のメンバーは訴える必要性が生じてくる。「健全な家族」に育ってしまったが、どう頑張っても分身の術を獲得する自信のない方、アシモ君の購入を考える必要があるかと思います。