追憶のかけら
追憶のかけら人の悪意を起点とした話を書かせたら、面白いんだけど、陰陰滅滅とすること間違いなし、という印象が根付いた貫井作品。これも、のっけから陰鬱な手記が始まり、読書のスピードが全然上がらなかったですね。しかし、ストーリーの中盤以降、人間不信が二転三転する泥沼状態に陥りながらも、友人や身近な人たちの助けで切り抜け、最後はホロッとさせたことで、安心できる作品という評価です。二転三転するあたりは、一瞬どれが真実か、わけわからんようになりました。悪意の正体が解明されても徒労感が残りますが、主人公のわだかまりの解消や、人間関係が改善されることで、それを打ち消してくれます。ラストが良かったことで、全体的な印象もアップです。