鏡像
自らの姿を3次元的、立体的にリアルタイムで見ることは出来ない。鏡を使えば、2次元的、表面的には見ることが出来る。鏡像の左右が逆転しない鏡があるらしいけど、鏡で見慣れている自分の姿が別人に見えるだろうな。一冊の本を読み終え読書メーターに投稿しました。転載します。鏡の花 [ 道尾 秀介 ]偶数の合せ鏡の内側の世界を廻るような誌的世界を堪能した。物語の全体構造は最終章で明かされるが、全ての章で親しい人の死が描かれる為、決して温柔な物語ではない。人の運命が儘ならないのは、世界の事象が神が用意した単一のシナリオに基づくものでなく、人夫々が影響及ぼし合う複数の世界の集合体である為だ。自分が今触れている世界は、自分が知り得た知識と自分に反応してくれる存在との範囲で創造したもので、合せ鏡の向こうの世界を知らないのと同じだ。動物名がタイトルの道尾作品とは違うテイスト。関連作光媒の花を読み返したくなった。