カテゴリ:松尾芭蕉資料室
芭蕉翁位牌…『宮川舎漫筆』肖像絵入り。 此家は本国伊賀にて、其むかしは郷士のよし申傳へ候惜哉。 類焼にて書物類焼失にて、相わからず。此村松家より松尾服部両家出る。 はせをの翁の時は村松家は姪の世にて有しなり。 右ゆえ翁終焉之後、翁の位牌并手澤の手道具を始、 種々の品等有之ところ、池魚の災にかゝりて、残りなく烏有の員に入りし事、 惜むに餘りあり。今は唯位牌肖像桃青の石印二類、幸ひに持傳ふ。 されば翁の流を汲む俳士、往々尋来、尊牌を拜するもの少なからず。 一入尊(ヒトシオトウ)き所置なれば、 今に翁々と高位高官の床に懸らるゝ事、 此上もなき事ならずや。近き頃さる宗匠なるもの上京のうへ、 翁に大明神の神號を願し處、御免を得て花本(ハナモト)大明神と崇めしよし、 是諺にいえる贔屓の引倒しともいはん歟。翁といえるにて、 風流の正味たるべきを、思も寄らぬ大明神の神號は、 翁の意(ココロ)には叶ふべからず、と潜に思ひ侍りぬ。 利水居士 水 寛保二壬戌年六月五日 村松氏 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年04月25日 11時36分06秒
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