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2019年05月01日
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カテゴリ:食べ物 飲み物

醸造法の変遷 伝説時代

 

『日本の酒』 住江金之氏著 河出書房新社 昭和37年刊 (一部加筆)

 

 人類文化の発達史を見ると狩猟時代、遊牧時代、農耕時代の三時代があった。

私見によれば、酒の初めは人類の周辺に多くあるものが、

なにかの機会で酒になったのを飲んで味を知り、

工夫研究をかさねて今日の酒となったのに相違ない。

私も子供のころ生家にあった葡萄棚に上って、一粒ずつつまんで食べていたが、

たまたま傷んで少し発酵しかけた粒が、

特別な風味ができているのを気づいて、これを探して食べるのがたのしみだった。

これが少しすすめば、葡萄をつぶして発酵させることになるのはごく自然である。

それで狩猟時代のように天然物に依存した時代には、果実酒が行なわれたものであろう。

世上伝えられるところでは山に行くと、木の股とか岩の阻みなどに「猿酒」があるという。

猿がどんな目的のために造ったのか、それとも貯めておいたのが、

はからずも酒になったのか知るよしもないが、いかにもありそうなことである。

満月の夜、野猿の群れが集い来たり、

本の実を噛み砕き、

樹木の凹所に貯えておいて、

次の満月の夜ふたたび寄り合ってこれを飲むという伝説もある。

 

 遊牧時代には身辺に豊富なのは乳類である。

これを発酵させると2パーセントくらいのアルコールを含むのができる。

現に蒙古人は「奶酒 ないしゅ」という牛乳の酒を飲用している。

 

農耕時代

農耕時代になると身辺に多いのは穀類である。

穀類の酒となると、アルコールも強いのができる。

これまでの乳酒とは比較にならぬほどの良い酒となる。

エジプトのオシリスが酒の神と農業の神を兼ねていること、

支那で儀狄(ぎてき)が発明したという酒も穀類の酒であることなどは、

この間の消息を物語るものである。

私見では、われわれの先祖は、酒よりも先に甘味がほしくて、飴とか甘酒を造り、

それを放置するあいだに酒に変化するのをみて、酒を発明したのではないかと思う。

 

日本書紀 

日本古代の酒は、「日本書紀」に、

「スサノオノ尊の大蛇退治の酒が果実酒であったという一説が有る」

と記してあるから、古い時代に果実酒もあったらしいが、

日本には葡萄のような好適な果実が豊富でなかったので、

発達しないでおわったのではあるまいか。

 

穀類から酒を造る

 

穀類から酒を造るには三法がある。

一は、発芽させてそのときできるジアスターゼで澱粉質を糖化する方法で、

ビールなどはこの方法である。

二は、カビを利用して糖化する法である。

三は、口中に噛んで糖化する法で、もっとも原始的な方法である。

わが国の古代にこの方法が行なわれたことはたしかである。

少なくとも奈良朝時代までは、一郎の地方にこの風習が残っていた。

カビを使う法がいつから行なわれたかは明らかでないが、

出雲地方は朝鮮と文化交流が頻繁であったことと、

大国主命とともに国造りに大功のあった少名彦名尊は、

海の向こうから渡来した神であって、酒の神と仰がれていることから、

この当時すでに大陸の方法で黴(かび)を使う法が行なわれたとみるべきであろう。






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最終更新日  2021年04月23日 04時33分24秒
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