カテゴリ:江戸時代史料
江戸時代の方言
引用資料『裏見寒話』野田成方著 広瀬廣一氏(稿) 宝暦2年(1752)刊。 《註》著者野田成方(甲府勤番士、鷯鼠子)について …享保九年(1724)に甲府の勤番となり、宝暦三年(1753)に致任する。『裏見寒話』の内容は、その30年間の甲斐の出来事や歴史、それに文学などをまとめた書。刊行は三男の来淑堂仙鼠(吉川正芳、七左衛門)。 里語通用
《乾坤》 ◆かんだち(雷のこと) ◆あれ(風烈しき事) ◆なへ(地震の事) ◆つぼ(中庭) ◆いきれる(殊の外暑き事) しみる(殊の外寒き事) ◆かうち(藪又田畑の事) ◆高くね(竹林の事) ◆たっちゅう(塔頭・墓場の事) ◆つぢ(角力場の事) ◆わで(上の方をさす) ◆かさ(上の方也) ◆ひっかためる(戸をしめる事) ◆御はんぎょう(制札場の事) ◆お正月(門松) ◆御足木(松飾枝)
《人倫》 ◆大じん(裕福者) ◆あんねい(姉) ◆びい丈(人の小娘) ◆おかた(人の妻) ◆あねい(人の妻女) ◆いせき(養子) ◆お上もの(業婦) ◆お代官(帯刀する人) ◆かぎ(小盗人也) ◆通り者(芝居者) ◆おかたみ(嫁に来た人を祝う) ◆子取(取揚婆) ◆ごんだく(角兵獅子) ◆口っぱたき(口軽き人) ◆鎗っかつぎ(物毎跡に成を云) ◆はいっ子(未だ立たない子) ◆ばんた(野守) ◆どうしゃ(神仏参詣の人) ◆たが掛(桶の輪掛) ◆うっちぐ(死) ◆うっぱしる(走る) ◆いろう(人より物を借りる事) 《気形》 ◆お天がら(天狗) ◆かなんぼう(鹿) ◆こま(牡馬) ◆ざうやく(牝馬) ◆かがみっちょう(蚊龍) ◆けうむし(毛虫) ◆えんまる(犬) ◆とうねこ(馬の子) ◆通りみさき(野狐) ◆磯わし(鳶) ◆みそっちょう(鷦鷯) ◆へいび(蛇) ◆ぎりしっとう(きりぎりす) ◆とんち(鰌) ◆とりかんぶつ(とさか・鶏冠) 《器材》 ◆かんぶつ(兜) ◆かなかんぶつ(菖蒲兜) ◆石ごき(茶碗) ◆四寸(平皿) ◆糸目(坪皿) ◆茶まが(茶がま) ◆火じろ(いろり・囲炉裏) ◆なんじゃ(脇差) ◆ずんこ(藁草履) ◆てしほ(小皿) ◆のしんぼう(麺棒) 《衣類》 ◆すっぽん(口が狭い襦袢) ◆ふんごみ(股引) ◆うでんぼう(腕ぬき) ◆べべ(小児の衣類) ◆はばき(きゃはん・脚絆) ◆そぶつ(余所着にする小袖) ◆ちゃんちゃん(小児の袖無し着物) ◆ちはや(素袍) 《食類》 ◆餅吸物(雑煮) ◆めんす(素麺) ◆ほうとう(温飩を味噌汁にて煮たもの) ◆中入れ(朝飯と昼飯の間の食) ◆夕ざけ(昼飯と夕飯の間の食) ◆おしきせ(夕方飲む酒) ◆あんも(餅) ◆おじや(雑炊) 《病疫》 ◆おこり(瘧) ◆ねぶつ(根太) ◆いなずり(麻診) ◆そらも(水痘) ◆かはら(小児五疳) 《雑類》 ◆圓金(甲金) ◆身のしろ(給金) ◆糸目(銭貳拾四文) ◆でかいもの(大きい物) ◆にいしい(新しい) ◆ねこひもの(小さいもの) ◆ふるしい(古い) ◆よもう(叱る) ◆むかはさる(嫁に行く) ◆いきやり(遊山に行く事) ◆あぢやり(人柄だ善い) ◆りやうる(人を閉口させる事) ◆六日一日(七日の事) ◆しゃれる(立派の人の真似) ◆花入れ(神社仏閣に米麦をまく事) ◆わんなり(あやにく) ◆しわい(情けの強い) ◆よた(物の下品) ◆とべ(いそげ) ◆かたる(夫婦になる) ◆おちょうだい(薪)
○ 里俗云う山々の木の冬枯れの時に至りて落木の枝を貧民に給う処の信玄に仁政を以って今に残りて居を戴と云心にて「おちょうだい」と云う。また甲州は山河多し、秋水張り溢れて郷村を害す。夜陰一町に四五カ所宛右の薪を積みて篝火を恒として水を防ぐ落火炬と云う。また云う信玄御用木の薪を古府城へ運ぶ処に一女あり、頭上に戴きて運ぶこれは上へ献ずる故、謹慎の余り也。其女の名を「おちょう」と云う故に「お頂戴」と云う説もあり。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年04月22日 04時34分02秒
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