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2019年06月09日
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カテゴリ:甲斐武田資料室
◇甲斐源氏の祖 新羅三郎義光の子 義業、実光、義清、盛義、親義

義光には義業、実光、義清、盛義、親義らの子がありました。
嫡男の義業は吉田清幹の女をめとって久慈郡佐竹郷に住んだ。その子昌義は佐竹冠者と号し、常陸国に定住するのです。
義清は那賀郡(吉田郡)武田郷に住んで刑部三郎武田冠者と呼ばれています。「武田」は武田郷の地名であり、この地に定住したことを示しているのです。

刑部三郎は父義光が刑部丞なので、その三男の意味です。義光は常陸国への進出にあたり、常陸大橡平重幹・致幹父子と提携しました。那珂川以南の地が常陸平氏の支配下にあるのを知った義光は、那珂川以北に拠点を作ろうとしたのです。そこで致幹の弟の吉田清幹に近づき、その女を嫡男義業の妻に迎えたのです。こうして義業を久慈川流域の佐竹郷に、義清を那珂川北岸の武田郷に配置することに成功したのです。

佐竹郷と武田郷の地は、ともに水運の拠点でした。佐竹郷は久慈川・山田川の合流点にも近く、古代には河川港があった可能性があります。というのは『旧事本紀』の『国造本紀』によると、久自国造は成務天皇の御代に、物部連祖伊香色雄命の三世の孫船瀬足尼を国造に定めた、とみえます。久自国造の名である「船瀬」は、大輸田船瀬(神戸港)、水児船瀬(加古川市の加古川河口)が示すように河川港と関係のある名であります。また船瀬には船の停泊地、造船所、物資集積地の意味があります。おそらく、久自国造は久慈川・山田川合流地付近にあつた河川港を支配したものと思われます。
那珂川流域の武田郷も水運と関係があります。『和名抄』には那賀郡川辺郷の名がみえます。川辺は川部とも書き、重要河川に置かれ、渡し舟や物資輸送に従事した部民が設けられていたのです。那珂川も古代には重要河川とされていたのです。武田郷の対岸の水戸は三戸とも記され、かって「御津」と呼ばれた可能性があります。『万葉集』巻一の六三にみえる「大伴の御津の浜松」が、巻七の(?)一一五一の歌に「大伴の三津の浜辺」とみえ、伊勢国度会郡の「御津」も『山家集」に「三津」とあり、近江の坂本の津も「御津」(三津)と呼ばれていたのです。御津には難波御津が示すように特別に重要な港の意味があります。御津は中世には御(三)戸とも呼ばれるようになります。『常陸国風土記』那賀郡の条にみえる「平津」は中世には「平戸」となります。岩手県の大船戸もかつては大船津と呼ばれていたのでしょう。水戸もかつては那珂川と千波湖が通ずる大きた入江のようになっており、重要な河川港の役割りを果たしていたのです。
武田の地も那珂川北岸の物資の積出しが行われたことも考えられます。付近の勝倉には船渡がありました。
こうした水運の拠点に義光は、義業・義清を配置したのです。
義光は『尊卑分脈」には「平日、三井寺に住す」とあるので、近江大津の水運の重要性を熟知していたのであります。義光と吉田清幹は、一時はかたり親密な関係にあったようです。浅羽本「武田系図」によれば、義光は清幹の女をめとって義清をもうけています。義清の名も義光の「義」と清幹の「清」をとって付けたことも考えられます。また『尊卑分脈』には、清幹の二男成幹(鹿島三郎)が「義光の郎等」とみえますので、義光は吉田郡の郡司でもあった清幹父子の力を背景に吉田郡や鹿島郡の地にも勢力を伸ばそうとしたことが考えられます。
『尊卑分脈』によると、義清は清光をもうけています。浅羽本『武田系図」では、清光の母は上野介源兼実の女で、天永元年(一一一〇)六月九日の生まれとなっています。その清光は源師時の日記『長秋記」の大治五年(?二三〇)十二月三十日条に、「常陸国司、住人清光濫行の事等を申すたり。子細目録に見ゆ」と記されています。『尊卑分脈』には、義清は「配流甲斐国市河荘出家四十九才」とあり、清光は「号免見冠者、黒源太」とあります。ということは、清光の濫行の罪により父親の義清もそれに連坐して、甲斐国市河荘に配流されたことが知られるのです。親まで連坐にまきこみ流罪という重罪を犯した清光の濫行とは、いったいどんな行為だったのでしょうか。濫行とは今日の乱行の意に類し、「みだりの所行、でたらめな行い」の意味があります。





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最終更新日  2021年04月14日 14時30分45秒
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