山梨県歴史文学館　山口素堂とともに

日本の神様　韋駄天　いだてん

いわゆる「章駄天走り」というすこぶるはやい仏さま。

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韋駄天。インドのバラモンの天神。本名をベーターといい、増長天に属して八大将軍のうちの一人とし、また四天王に属し、三十二将軍の首位で、仏法を保護し、邪魔を駆逐しています。

童顔で純真を表わし、甲胃を着し、両手には宝剣を捧げ、勇猛なる武人の典型であります。その性、聡明、行状極めて清浄、一切の欲を離脱し、親しく釈迦牟尼仏から仏法の外護を命ぜられ、東、西、・南の三州を統謎しています。

お寺の庫裏には必ず、堂塔伽藍の守護神として偉駄天のどんな小寺にいっても、偉駄天さまの祀っていない所はない。それら伽藍の守護神として崇拝されながら、ことに釈迦文仏面授の附嘱を受けて。守護堂塔の任にありながら、時々寺が焼けたり、盗賊は入ったりする。

こんな時韋駄天将軍何をしているか、この将軍はしばしば白河夜船が好きと聞いています。

さて、この韋駄天さま、例の通り居眠りをしていると、そのひまを見計って、鬼神が仏舎利（一説には釈迦が入滅して、釈天がその舎利〈遺骨〉を受けるとき、見神が後ろから来て、釈迦の歯を盗み去ったという）を奪い、すたこらと遠出したので、気がついた時はすこぶる遅い。

韋駄天さま、大いに驚き一散に走り出し、遂に、追いつき取り返したという。これから韋駄天走りの名声天下に鳴り渡り、今の世でも走者の雄姿はこの天神の名によって名誉づけられるのです。