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2020年06月08日
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「日輪の子 豊臣秀吉」の破綻  

 

 大系 日本の歴史 19881120

  朝尾直弘氏著 小学館 一部加筆  

 

 秀吉は東アジア諸国にたいし、みずからの手になる日本全国の統合を誇示する書簡を送った。天正一九年(一五九一)七月、ゴアのインド総督にあてた文書の中では「西側(日本)は神国なり」とし、キリスト教は邪教だから禁止するが、この禁を守るかぎり貿易は認めると述べた。天正一八年二月には琉球に、天正一元年九月にはフィリピンに、文禄二年(一五九三)一二月には高山国(こうざんこく)(台湾)にたいして、服従と入貢とをもとめる強圧的な書簡を送った。また明や高山国にたいしては、太陽受胎伝説によって秀吉みずからを日輪になぞらえ、「日輪の子」として東アジア地域に君臨することの正統性を強く主張しようと試みている。

 これらの書簡中に示された意識で共通しているのは、天下統合に際してもちだされた「武家の力による治安と秩序の回復」という信長以来の論理がそのまま天明国へ、そして他の諸国へと拡大、適用されている点である。朝鮮侵略が実行に移されると、服属関係に違約したものは朝鮮のように誅伐すると、朝鮮を見せしめにしたさらに強圧的な文言がつけくわえられた。その中核となる思想は、ゴアあての文書にみられるように神国思想をもって、仏教のインド、儒教の中国、キリスト教の南蛮・ヨーロッパに対置するものであった。

 したがって、東アジア諸国のそれぞれは多少のニュアンスのちがいをふくみながらも、日本を中心とした秩序立てのなかに位置づけられ、「日輪の子」「日本は神国」という特殊な自己認識を基盤とする外交が、東アジア全域にたいして行なわれることになった。

 

 






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最終更新日  2020年06月08日 17時21分11秒
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