カテゴリ:俳諧人物事績資料
葛の谷 飯田龍太
雁の夜の海に集る人思ふ 眠る木に肉色の空プール冷え 夜が長く鶏に風吹く八ツ岳 黒葡萄さゝげて骨のふんわりと 菖の谷辛い白地の乳母車 双つの眼こほろぎの声宙にあり 墓の旭は遠方の覇者露の空 胸中の文意煙れる残暑光 細指に一片の稿きりぎりす 雨蛙西日移りて林檎炎ゆ 露の子に熱くやさしく曠野の陽 かたつむり激しく細る川の情 雁の夜の海に集る人思ふ 眠る木に肉色の空プール冷え 夜が長く鶏に風吹く八ツ岳 黒葡萄さゝげて骨のふんわりと 菖の谷辛い白地の乳母車 双つの眼こほろぎの声宙にあり 墓の旭は遠方の覇者露の空 胸中の文意煙れる残暑光 細指に一片の稿きりぎりす 雨蛙西日移りて林檎炎ゆ 露の子に熱くやさしく礦野の陽 かたつむり激しく細る川の情 川上に一燦の過去竹煮草 露深しカーテンの色老後の彩 青萱に山彦ながれ死病去る 川波に小事泡だつ秋日和 鰯雲鋭き胸の尖き憎む 岩灼けてひとり息子の食器鳴る 爽涼と川風蒼む椿の実 故人の音芒遠のく灯の中に 残署光妻子埃と消し難し 秋光の深浅は乳のにほひにも 寝ころんで肉の硬款青芒 硝子戸に青空睡り露の山 陽を呼びて集る柿にプール見え 秋空に爪かけて鳴く山鴉 秋の墓わが身離れて消えもせず 露の子の膚鋭く山路ゆく 捨て難き贅肉に野の秋灯 秋燕枕の病手動かねば お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2020年09月13日 18時37分05秒
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