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2020年09月29日
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カテゴリ:山梨県俳句資料室

『峡中俳家列伝』 勝俣三千代

 

  甲斐志料集成 

  一部加筆 山梨歴史文学館

 

三千代は郡内南都留郡東桂村の舊夏狩と云ふ處に産れ、姓は勝俣、名は儀七、別号を春草庵と称えた俳客である。痛く東都の春秋園幹雄を景慕して、是に隨身するの心得を以て交友して居た。亦義太夫の俗曲を好む事甚しく、遂に決意して東都に遊び、倭国太夫を師として新藝を研磨した。故に芸術の奥秘を窺って其の精妙を極め、殊に、是に加うるに天輿の美聲を以てしたから.山間稀に見る絶好の粋人であった。而して、風士として、騒客として春を送り、秋を迎へ、春秋を閲みする事六十年にして、明治二十七年正月十一日

梅か香に鳥影のさす障子哉

と云うのを、其の一生の絶吟として此の世を辞して遠く逝かれた、依りて同村長慶寺へ葬った。而して、彼今や即ち無し、明界、幽界遠く隔たる事十満億土なれば、芸術の人としての勝俣儀七の音容は、最早知る事が出来ない。けれども俳客としての春草庵三千代は、左録せる遺詠の無限なると共に、其の俳名も亦永久に不滅であろう。是れ即ち俳諧の徳。

 

鳥追や世をあみ笠のしのぶ妻

 町なかに露の宿あり植木店

 蠶家の嫁は白嶺にもとりけり   

名月や灯ひとつの置ところ

 夜の間にも日数かたむく桜かな






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最終更新日  2020年09月29日 10時53分15秒
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