カテゴリ:俳諧資料室
恵方道 えほうみち
[解説」 恵方は陰白石で歳徳神の司どる方位であり、年頭その方角にあたる神社に参詣する事が江戸時代から盛んになり今日に及んでいる。これを[恵方(吉方)道」といい、その道を「恵方道」という。 甲己(きのえ つちのと)の年は、甲の方の寅卯の間(北東東)、庚乙の年は庚乙(かのえ きのと)の方の申酉の間(南西西)、壬丁(みずの えひのと)の年は丙の方の巳午の間(東南南)、壬丁(みずのえ かのと)の年は壬の方の子亥の間(西北北)、戊癸(つちのえ みずのと)の年は吹の方の巳午の間(東南南)が恵方である。万事に用いて大吉の方位とする。
恵方ということを言いはじめたのは平安時代からである。歳徳神
定恵方浅茅が庵は月と花 野坡(野坡吟艸) 当年は東西に行脚の志有ければ 我恵方多し松しまいつくしま 嵐更(半化坊発句集) 恵方とはこの路をただ進むこと 高浜虚子(百五十句) 若者の馬走らすや恵方道 青木月斗(俳句三代集) 白雲のしづかに行きて恵方かな 村上鬼城(定本鬼城句集) 山見れば盤石匂へり明きの方 高田牒(青坦山) 薮中の神巌かに恵方かな 野村喜舟(小石川) ひとすぢの道をあゆめる恵方かな 阿波野青畝(万両) ひたすらに真砂防をゆく恵方かな 土山山不鳴(第二同人句集) 恵方とや樹影正しき靄(もや)の中 京極杜藻(鹿火屋) 美しき茶山つづきや恵方道 森夢筆(漂泊) 袖を出る乳子のこぶしと恵方行 平畑静搭(天狼) 海峡の片側山や恵方船 長谷川浪々子(若菜) 暁の恵方の天(そら)の男山 井上白文(俳句三代集) 白鳳の野仏在はす恵方道 長谷川浪々子(若菜) 恵方より満ちくる潮の匂ひけり 森薫花壇(若菜) いと小さき凧のあがれる恵方道 岩城佳集(若菜) 山川に仮橋架かり恵方道 有本銘仙(夏草) 四十吏の貌して恵方詣でかな 野上裕(鶴) 浮浪児の面晒(さら)せる恵方かな 岸田稚魚(負け犬) 臼鷺の枯田にあそぶ恵方かな 安藤林蟲(春燈) 高塚に雀とまりし恵方かな 安藤方舟(春燈) 恵方道のどかに雪のつもるなり 岩場摂南(俳句三代集) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年01月13日 06時31分51秒
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