カテゴリ:松尾芭蕉資料室
芭蕉発句【あ】の部
『芭蕉七部集』俳句観賞 川島つゆ 昭和十五年刊 一部加筆 山梨県歴史文学館
【 あ 】 l 隠の釣瓶にあがるつばきかな l 隠の雪をさそふやほとゝぎす l 赤みその口を向けけりむめの花 l 秋風子しらきの弓に弦はらん l 秋風や田上山のくぼみより l 秋風や茄子の販のあらはるゝ l 秋風や蓮をちからに花一つ l 秋寒や日和くるはす柚のいろ l 秋たつや中に吹かるゝ雲の峯 l 秋の空尾上の杉に離れたり l 秋ひとり琴柱はづれて寝ぬ夜かな l 明くる夜のほのかに嬉しよめが君 l 灰汁桶の雫やみけりきりぎりす l あけぼのや鶯とまるはね釣瓶 l 暁や伽藍伽藍の雪見廻ひ l 朝顔の蒼かぞへむ薄月夜 l 朝顔は酒盛しらぬさかりかな l あさがほやひくみの水に残る月 l 朝顔や日前出て行く跡の垣 l 朝顔や晝は綻おろす門の垣 l 朝ごみや月雪うすき酒の味 l 朝露によごれて涼し風の土 l 朝露の花透き通す桔梗かな l 朝日二分柳の動く匂ひかな l 蘆の穂や朝撫揚ぐる夢ごゝち l 蘆の穂や招く哀れより散るあはれ l 疇道や苗代時の角大師 ❖「疇 うね」「角大師 つのだいし」 l あだなりと花に五戒の桜かな l あたらしき茶袋ひとつ冬籠 l 穴熊の出ては引込む時雨かな l あの雲は稲妻を待つたより哉 l 粟ぬかや庭に片よる今朝の秋 l 粟稗と目出度くなりぬはつ月よ l あはれなり燈籠一つに主コ齊 l 扇屋の暖簾白し衣がへ l 近江路やすがひに立てる鹿の長 l 海士の屋は小海老にまじるいとど哉 l あめつちのはなしとだゆる時雨前 l 雨の月どこともなしの薄あかり l 鮎の子の心すさまじ瀧の昔 l 鮎の子のしら魚送る別哉 l 荒磯やはしり馴れたる友衛 l あらけなや風車売る花のとき l 改めて酒に名のつくあつさ哉 l あら猫のかけ出す軒や冬の月 l 有明となれば度々しぐれかな l 有明けの面おこすやほとゝぎす l あれあれて末は海行く野分かな l あれ聞けと時雨来る夜の鐘の聲 l 青柳の泥にしだるゝ欄干かな l 行燈の煤けぞ寒き雪のくれ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年01月22日 06時10分01秒
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