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2021年04月19日
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カテゴリ:松尾芭蕉資料室

芭蕉忌・翁忌・桃青(とうせい)忌・時雨(俳諧歳時記・冬 s22

 

【本朝文選】 

芭蕉翁は伊賀の人也。武名は松尾甚七郎、藤堂家に奉仕する。

(略)風雅を業となし、桃青と号す。乃ち誹諧正風体中興の開也。

(略)深川芭蕉庵に入る。(略)天下芭蕉翁と称す。

東西南北に遊び、風雅を説き諸門人を助く。國中悉く芭蕉風に録す。

一たび難波津に遇して病に伏し終に卒す。年五十一。江州義仲寺に葬る。

 

[栞草]

(十月十二日、俳諧正風体の開組芭蕉庵桃青の忌日なり。

小文庫】

 芭蕉忌と申しそめけり三回忌   史邦。 

 

 十月十二日は元禄の俳星芭蕉松尾桃焉の忌日である。

芭蕉は伊賀國阿拜郡柘植村の人、

幼名金作、又、半七。提、甚七郎、叉、忠右衛門と言い、

俳諧の名は初め宗房・後桃青と号した。

深川に庵を結び、一株の芭蕉を植えて芭蕉と称したのは後の事であった。

 早く官を辞し、風月を友とし、諸国を遊歴し、到る處吟詠を悉くした。

 野ざらし紀行・笈の小文・更科紀行・鹿島詣・奥の細道などの紀行文、又幻庵の記以下沢山の随筆もある。

 また、冬の日・春の日・廣野・猿蓑・ひさご・炭俵などの選集もある。

 「この翁孤独貧窮なりといえども風雅にとめる二千人の門葉ありて、夷洛ひとへに合信する因と縁との不可思議いかにとも勘破しがたし」

と其角をして云はしめてゐるだけに俳風天下を風靡していた。

常に閑寂の中に遊び、幽玄枯淡の句調を尚び、所謂蕉風(正風とも云う)の體を樹てたのである。

俳諧の祖と言ってもよい程の偉業を完成したのである。

元禄七年秋、南都におもむく逡中大阪で病を得、御堂前太郎町花屋仁方衛門方裏屋敷に静養し、門人数人の看護を受けつゝつひに十月十二日みまかったのである。享年五十一。

俳人この日、忌を修し俳聖の悌をしのぶのである。

 

今は新暦を用いるので厳格に言へば秋の季題となるが、芭蕉忌はまた時雨忌などとも言い、冬の季感が多いので冬の部にも入れて置く方が便利であろう。

 

   芭蕉忌 

 

  芭蕉翁一周忌

おもひ出す空の機嫌もしぐれ月    浪化

    一日は塚の伽するしぐれかな     同

    かしこまる後も壁のしぐれ哉     同

    いひ出すもけふの佛の寒かな     同

  ばせを一回忌 

    羽氷る蝶もかなしき其日かな     同

  七回忌

    霖時雨それもむかしや座興庵     嵐雪

  元禄九丙子十月十二日 翁三回忌

今更に袖を絞るや冬櫻        桃隣

旅姿時雨の鶴よ芭蕉翁        樗良

    ばせを忌や飯をゆかりの茶に染ん   蓼太

    木がらしに古人荷葉の夢さむし    樗良

    いつの世に誰か此の日を忘れ花    也有

    我ねがふ小春の望みや十二日     蓼太

俳諧に古人有世のしぐれ哉      凡

霜と消へて消えぬ翁のむかしかな   白雄

この日數の故人おもふしぐれかな   白雄

時雨行日をおもかげの翁かな     白雄

松島をよく見て句なき翁かな     白雄

擔ひもて毛呂に翁のしぐれかな    白雄

  義仲寺蕉翁碑前

障子まで来る蠅も有翁の日      暁塞

世にふるはさらにばせをの時雨哉   士朗

ばせを會に瓢の底をたゝきけり    成美

翁忌や鴈も平話な並び様       一茶

芭蕉忌や江戸にもこんな松の月    一茶

芭蕉忌や留守をして居る袴衆     一茶

旅心皺御覧候へばせを佛       一茶

ばせを忌と申も只一入哉       一茶

ぱせを忌や畫から錠の明く菴     一茶

ばせを忌やこさしもまめで旅颪    一茶   

旅の哀たぶけせうものばせを佛    乙二

  粟津の翁忌に

安濃の蛍に木の葉かゝせむ翁の日   蒼

木菟も夜を来てさやせ翁の日     蒼

ばせを忌や伊賀の干そばみのゝ柿   梅室

冬の朝日の哀也けりばせを翁     乙二

達磨の畫かけて芭蕉を祭る哉     宗雅

芭蕉忌や壁に掛たる文の切      吟江

芭蕉忌や櫻畫し芳野椀        菊堂

芭蕉忌に芭蕉の像もなかりけり    子規

芭蕉忌や芭蕉に媚びる人いやし    子規

邑蕉忌や其角嵐雪右左        子規

芭蕉忌や我俳諧の奈良茶飯      子規

伊賀山に時雨かけたり桃青忌     月冬

芭蕉忌に琉球人の末座かな      梅白

年々や同じ芭蕉の像の前       虚子






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最終更新日  2021年04月19日 06時23分13秒
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