カテゴリ:松尾芭蕉資料室
芭蕉文集 阿野羅集序
尾陽蓬左、橿本堂主入荷分子、集をあみて名をあら野と云。 何故に此の名あることをしらす、予はるかにおもひやるに、一とせ北郷に旅ねせし折々のいひ捨、あつめて冬の日といふ。 其日影相つづきて春の日、又世に輝かす。実にやきさらぎ、やよひの景色。柳桜のにしきをあらそひ、蝶鳥のおのがさまざまなる風情につきて。いささか實をそこなふものもあればにや。糸遊のいとかすかなる心のはしの有かなきかにたどりて。ひめゆりのなにゝもつかず、雲雀の大空にはなれて、無景のきはまりなき逍芝のみちしるべせんと、此野の原の野守とはなれるべし。
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最終更新日
2021年05月27日 06時08分42秒
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