カテゴリ:松尾芭蕉資料室
芭蕉文集 鄙歌
おもふことふたつのけたる其跡は花の都もゐなかなりけり あみざこを升にはかりてかふ人はうる人よりもあはれなりけり
芭蕉文集 興或人文
大和國長尾の里といふ處は、さすがに都遠きにあらず、山里にして山ざとにあらす。あるじ心あるさまにて、老たる母のおはしけるを其家のかたへにしつらひ、庭前に木草のおかしけなるを栽置て、岩尾めづらかにすゑなし、手づから枝をため石を撫ては蓬莱の島ともなりぬ。いく藥とりてんよと老母につかへ、なぐさめなどせし實ありけり。家まづしくして孝をあらはすとこそ聞なれ。まづしからすして孝を盡す、古人もがたきことになんいひける。 多しらぬ宿や籾する音あられ
芭蕉文集 吊初秋七日雨星文
元禄六文月七日の夜、風雲天にみち白浪銀河の岸をひたして。鳥鵠も橋杭をながし。一葉梶を吹析けしき二星も屋形をうしなふべし。こよひ猶たゞに過さんも残りおほしと一燈をかゝげ妙そへる折から、遍照小町が歌を吟ずる人有。これによりて此二首を探りて、雨星のこゝろをなぐさめんとす。 こまちがうた 高水にほしも旅ねや岩の上 遍照が唄 七夕にかさねばうとし絹合羽 杉風
芭蕉文集 雲竹讃
洛の桑門雲竹、みづからの像にやあらん、あなたの方にかほぶりむけたる法師を畫て、これに讃せよと申されければ、君は六十年あまり、予は既に五十にちかし。ともに夢中にして夢のかたちをあらはす。是にくはふるに寝言をもつてす。 こちら向け我もさびしき秋の暮 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年05月30日 17時36分46秒
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