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山梨県歴史文学館 山口素堂とともに

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2021年05月31日
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カテゴリ:松尾芭蕉資料室

  芭蕉文集 送 許六 辞

 

木曾路をへて奮里に帰る人は、森川氏許六といふ。

古より風雅に情ある人々は、

うしろに笈をかけ草鞋に足を傷め、

破れ笠に霜露をいとひて、

おのれが心をせめて物の蜜を知ことをよろこべり。

今仕官おほやけの為に、長剣を腰にはさみ、

乗りかけの後に槍をもたせ、

歩行若党のくろき羽折のも裾は風にひろがへしたる有さま、

武人の本意にはあるべからす。

 

  椎の花のこゝろにも似よ木曾の旅

   うき人の旅にもならへ木曾の蠅

 許六云、両句一句に決定すべきよし申されけれど、

今滅後のかたみに二ながらならべ侍ると也。

 

 

芭蕉文集 送僧専吟辞

 

枕頭に草鞋をかけて、笠のうちに名々あらはす。

元禄六年やよひのはじめ僧専吟。武江の東深川の草庵をひらいて、

既に一歩をはじむと書ぬ。

此僧常に風俗をこのみ、市を避て年々斗薮行脚の身となる。

ことし叉伊勢、熊野に詣んとて、身は雲外の鶴にひとしく、

ながれに背をすゝぎ、千尋の岡に翅‘(つばさ)をふろふて、

野にふし雲にとまろらん胸中の塵いさぎよし。

予葎(むぐら)の交りをなすこと久し。

今此わかれに臨て、

ともに岸上に立て、箱根山はるかに見やる。

かのしら雲のたわめる所こそ、

旅愁の嶮難さかしきちまたたるべけれ。君かならす首をめぐらして見よ。

我また岸上に立んといひて袂をわかちね。

   鶴の毛のくろき衣や花の雲

 

芭蕉文集 既望賦

 

望月の残興なを止す。今宵は二三子にいさめられて、舟を堅田の浦にはす。其日もたそがれのほどならん、何がし成秀といふ人の家のうしろに漕入て、酔翁狂客の月にうかれて来れるおりと、舟の中よ聲々によばふ。あるじは思ひかけす驚き悦びて、すだれをまき塵をはらふに、其後園に芋あり、さゝげ有て、鯉鮒のきりめたゝさぬにしもあらす。

やがて岸上にをならべ、むしろをのべておのおのいざよひの宴をもよほす。月はまつほどもなくさし出て、湖上はなやかに照わたれり。かねて聞ぬ仲秋望日は、月の浮御堂にさしむかふを鎖山といふなるよし。

こよひ撒其あたり建からじと、かの堂上の欄干によれば、三上、水莖は左右にわかれて、其間に十二峯影をひたす。とかくいふほどに月も三竿にして、黒雲の中にかくれたれば、いづれか鏡山といふことをわかす。されどあるじの興をそへて、折々雲のかゝるそと、客をもてなせるこゝろざしいと切也。

やがて其月の雲をはなるゝほど、水面に玉塔のかけをくだきて、あらたに千服怖の光をそふ。まことやいざよひの空を世の中にかけて、かたぶく月のをしきのみかはとは、京極黄門の歎息のこと葉なるを。

我はこよひしも此堂に遊びて、ふたゝび得心僧都の衣をうるほす。無常観怠のたよりならすやといふに、あるじは興に乗じて来れる客を、などさは興盡て帰さんやと、もとの岸上に盃をあくれば、月は横川にかたぶきて、姑蘇城の鐘もきこゆなるへし。

鎖あけて月さし人よ浮御堂

やすやすと出ていざよふ月の雲

 

芭蕉文集 鳥賦

 

一鳥小大ありて名を異にす。小を鳥鵲といひ大を觜太といふ。此鳥反噛の孝を讃して、烏中の曽子に比す。或は人家にゆく人をつけ、銀河に翅をならべて二星の媒となれり。或は大年のやどりを知て、春風をさとり巣をあらたむといへり。

雪のあけぼのゝ聲さぶけに、タに寝處へゆくなんど。詩歌の才士も情あるにいひなし、絵にも書れてかたちを愛す。只貧猶の中にいふ時は其徳大也。

又汝が罪をかぞふる時は、其徳小にして害また大也。就中かの觜太は性侫強悪にして、鷲の趨をあなどり鷹の爪のときことをおそれず。肉は鴻鴈の味もなく、聲は黄鳥の吟にも似ず、啼時は人不正の気を抱て、かならず凶事をひいて愁をむかふ。

里にありては粟柿の梢をあらし、田野にありては田畑を費す粮に辛苦の勞をしらずや。或は雀のかひこをつかみ他の蛙を喰ふ。人の戸をまち牛馬の腸をむさぶりて、終にいかの為にいのちをあやまり、鵜の真似をしてあやまりを傳ふ。是みな汝むさぶること大にして、共智をせめざるあやまり也。汝がごとき心貪欲にしてかたちを墨に染たる、人にありて賣僧といふ。釋氏もこれを憎み、俗士も甚うとか。嗚呼汝よくつゝしめ、羿が矢先にかゝりて三足の金鳥に罪せられんことを。

 

芭蕉文集 笠張説

 

草扉にひとりわびて秋風さびしき折々、竹取のたくみにならひ、妙観が刀をかりて、みづから竹をわり竹を削りて、笠つくりの翁となのる。心しづかならざれは日を経るに物うく、工みつたなければ夜をつくしてならす.あしたに紙をかさね、タにほして又かさねかさね、渋といふものをちて色をさはし、ますますかたからんことを思ふ。廿日過るほどにこそやゝいできにけれ。其かたち、うらのかたにまき入、外ざまに吹かへりなど、荷葉のなかばひらくるに似て、なかなかおかしきすがたなり。さらばすみがねのいみじからんより、ゆがみながらに愛しつべし。西行法師のふじみ笠か、東披居士が雲見笠か、宮城野の露に供つれねば災天の雪に杖をやひかん。あられにさそひ時雨にかたぶけ、そぞろにめでて殊に興ず、興のうちにして俄に感ることあり。ふたゝひ宗祗の時雨ならでも、かりのやどりに袂をうろほして、みづから笠のうちに書つけ侍る。

 世にふるはさらに宗祗のやどり哉

 

芭蕉文集 閉闘説

 

色は君子のにくむ處にして、佛も五戒のはじめに置くといへども。さすがに捨てがたき情のあやにくに、あはれなるかたがたもおほかるべし。人しれぬくらぶの山の梅の下ふしに、おもひの外の匂ひに染て、しのぶの岡の人めのも守人なくば、いかなるあやまちをかしいでゝん。あまの子の波の枕に袖しほれて、家を賣身をうしなふためしもおほかれど、老の身の行末をむさぶり、米銭の中にたましひをくるしめて、ものゝ情けをわきまへざるには、はるかによして罪ゆろしぬべく、人生七十をまれなりとして、身のさかりなることはわづかに二十飴年也。はじめの老の来れること、一夜の夢のごとし。五十年八十年のかたぶくより、あさましうくづをれて、宵寝がちに朝起したるねざめの分別、何ことをかむさぶる。愚なるものは思ふことおほし、煩悩増長して一藝すぐるものは、是非のすぐ

るゝもの也。これをもて世のいとなみにあてゝ、貪欲の魔界にこゝろを怒し、溝洫におぼれて生すことあたはずと、南華老仙の只利害を破却し。老若をわすれて閑にならんこそ、老のたのしみといふべけれ。

人来れば無用の辨あり、出ては他の家業をさまたぐるもうし。尊敬が戸を閉て、杜五郎が門を鎖んには。友なきを友とし貧を富りとして、五十年の頑夫みづから書、みづから禁戒となす。

 朝がほや畫は鎖おろす門の垣

 

芭蕉文集 阿野羅集序

 

尾陽蓬左、橿本堂主入荷分子、集をあみて名をあら野と云。

何故に此の名あることをしらす、予はるかにおもひやるに、一とせ北郷に旅ねせし折々のいひ捨、あつめて冬の日といふ。

其日影相つづきて春の日、又世に輝かす。実にやきさらぎ、やよひの景色。柳桜のにしきをあらそひ、蝶鳥のおのがさまざまなる風情につきて。いささか實をそこなふものもあればにや。糸遊のいとかすかなる心のはしの有かなきかにたどりて。ひめゆりのなにゝもつかず、雲雀の大空にはなれて、無景のきはまりなき逍芝のみちしるべせんと、此野の原の野守とはなれるべし。

 

芭蕉文集 銀河序

 

北陸道に行脚して越後国出雲崎といふ處に泊まる。

かの佐波が島は海の面十八里亘滄波を隔て、東西三十五里に横をりふしたり。

峰の嶮難谷のくまぐままで.さすがに手にとるばかりあざやかに見わたさる。

さすがに手にとるばかりあざやかに見わたさる。

むべ此の島は黄金おほく出て、あまねく世のたからとなれば、限りなき目出度島にて侍るを、大罪朝敵のたぐひ遠流せらるゝによりて只おそろしき名の聞こえあるも本意なき事に思ひて、窓おしひらきて、暫時の旅愁をいたわらんとするほど、日すでに海に沈みて月ほの暗く、銀河半天にかゝりて、星きらきらと冴えわたるに、沖の方より波の音しばしば運びて、たましひけづるが如く、腸ちぎれてそぞろに悲しひ来れば、草の枕も定まらず。墨の袂何故とはなくてしぼるばかりになん侍る。

            

 

芭蕉文集 伊勢紀行 

ねなし草の花もなく實も実らず。たゞいやしき口にいひのゝしれる、たはぶれこぞの世なるを、其角一とせ都の空に旅寝せしころ、向井氏去来のぬしむつまじき契有て、酒のみ茶にかたろ折りおり.甘き、辛き、しぶき、淡き心の水の浅きより深きをつたへて、終に一掬して百川の味ひをしれるなるべし。

ことしの秋いもうとをゐて伊勢に詣す。白川の秋風よりかの濱荻の聲を聞きて、とまりとまりのあはれなることども、かたはし書あらはしてわが草の戸の案下におくる。一たび吟じて感をおこしふたゝび誦して惑を忘る。三たびよみて其無事なることをおぽゆ。此人や此道に至れり盡せり。

 

 西ひがしあはれさひとつ秋の風

 

芭蕉文集 蓑虫跋

草の戸さしこめて物わびしき折しも、たまくみの虫の一句をいふ。我友素翁(山口素堂)はたはだあはれがりて詩を題し文字をつらぬ。其詩や、にしきをぬひものにし、其文に玉をまろばすがごとし。つらつら見れば喧騒のたくみあるに似たり。また黄奇蘇新あり。はじめに舜曾参の孝をいへるは、人にをしへをとれとや。其無能を感する事は、ふたゝび南華の心を見よとや。終に玉むしのたはびれは、色々いさめんとたらし。翁(素堂)にあらずば誰か此虫の心をしらん。靜に見れば物みな自得すといへり。此人によりて此句をしる。むかしより草々もてあそぶ人、おほくは花にふけりて實をそこなひ、實をこのみて風流をわする。此文や、はた其花を愛すべし、實なをくらひつべし。

爰に何某朝湖を云あり。此事を傳聞てこれを書く、まことに丹青淡くして情こまやかなり。心をとどむれは虫動くがごとく、黄葉落るかとうたがふ。耳をたれてこれをきけば、其むし聲をなして。秋の風そよそよとさぶし。尚閑窓に閑を得て、両氏の幸いにあづかること、蓑虫のめいぼくあるに似たり。

 

芭蕉文集 虚栗集跋

 

栗とよぶ一書。其味四あり。

李杜が心酒をなめて、寒山か法粥をすゝる。これによりて其の句見るにはるかにして。きくに遠し。

佗と風碓のその生(つね)にあらぬは、西行の山家を辱て人のひろはぬ虚栗也。

戀の情つくしえたり。むかしは西施がふり袖の顔黄金鋳小紫上陽人の閨の中には、衣桁に蔦のかゝるまで也。

下の品には眉こもり親そひの娘、娶、姑のたけきあらそひをあつかふ。寺の皃、歌舞の若衆の情をも捨ず。白氏が脊を仮字にやつして。初心を救ふたよりならんとす。其話、震動虚實をわかたす、賓の鼎に句を煉て。龍の泉に文字を冶ふ。是必他のたからにあらす、汝が賞にして後のぬすびとを待。

 

芭蕉文集 閑居箴(かんきょのしん)

 

あら物ぐさの翁や、日ごろは人の訪来るもうるさく.人にもまみえじ人をもまねかじと、あまた旅心に誓う。なれど月の夜雪のあしたのみ、友のしたはるゝもわりなしや。ものをいはず、ひとり酒のみて心にとひこゝろにかたる。庵の戸おしあけて雪をながめ、又は盃を取て筆をそめ筆をすつ、あら物ぐるはしの翁や。 

酒のめばいとどねられねよる雪

 

芭蕉文集 自得箴

 

もらふてくらひ、

こふてくらひ、

飢寒わづかにのがれて.

 

めでたき人の数にも入ん年の暮

 

芭蕉文集 机銘

 

間なる時は肘をかけて、焉吹嘘の気をやしなふ。

閑なる時は書を紐解て、聖意賢才の精神を探り。

靜なる時は筆をとりて、羲(?)素の方寸に入。

たくみなすおしまつき一物三用をたすく、

高八寸おもて二尺。

両脚にあめつち二の卦を彫にして、

潜龍牝馬の貞にならふ。

これをあけて一用とせんや。又二用とせんや。

 

 應蘭子求 元禄仲冬芭蕉書

 

 

菊は東簸にさかえ、竹は北窓の君となる。

牡丹は紅白の是非ありて世塵にけがさる。

荷葉は平地にたゝす、水きよからざれば花咲ず、・いづれ0年に発岬4此境にうつす時、芭蕉」もとを植ヽ風土芭蕉O

riろにやかなひけん、散株鼠をそなへ、其葉茂りかさなりて庭をせぱめ、萱が軒端4'4F'Q 4 M&

り也。人呼で草庵0名とす。薔友、門人ともに愛して、芽をかき根をわかちて、處みヽIにおくること

年ぐになんなりぬ。ひと4Ft4Qくの行脚思ひ立て、ばせを庵既に破れんとすれば、かれはまが

きの隣に地をかへて、あたりちかき人くに、霜のおほひ夙のかこひなど、かへす乙ヽIたoみおき

て、はかなき筆のすさびに右書腿し、松はひとりにたりぬべきにやと、遠き旅宸Op4U4D'¥。Q'

人/rI0わかればせをの仙波一かちならぬわびしさも、終に三とせの春秋を過Jy 44Dび芭蕉に

449ぐ、ことし五月oなかぱ、花たちばなoにほひもさすがに這からざれは、人くのぢぎりもむ

かしにかはらす、たを此あたりえ立さらで。古き座右やx近う三間の茅屋つきぐしう、杉の柱いと

きよけに別とし、竹の枝折戸やすらかに、よし垣あつうしわたし、南にむかひ池に臨で水檎となす・。

堆は不二に対して、一門景をすiめてたxめなり。浙江の潮三またの淀にたりxて月を見る瓢よりよろ

しけれぼ、初月の夕より霊をいとひ隠をくるしむ。名月0よそほひにとて、先芭蕉をうつす。其葉賊

して琴をおほふにたれり。或は牛吹をれて風鳥の尾をいたましめ、青扇破れて風をかたしな『。たまた

ま花暁もはなやかならすご巫ふとけれども芳にあたらす、かo山中不材の頚木にたぐへて其性よし。

借試案は是に筆をはしらしめ、張板東は新葉を見て修學0ちからとせしとなり。予其ふたつをとら

す、只此かけに逍びて風雨にやぶれ安きを茨す。

 

 十        柴  “’ l 惣ハにu7で時の交也                 。犬

去年0秋かりそめにおもてをあはせ、ことし五月の初め深切にわかれを惜む。其わかれに臨て、ひと

日草原か刄―いて終日閑談をなす。其俗信をこのみ風俗を愛す。予こきりみに問ことあり、緋は何o

焉にこ0ぢや、風俗の焉好むといへり。風俗は何の鴛茨すや、翁の協吸すといへり。其まなぶrc二にし

て、用をたすことIなり。まことや君子は多能を恥といへれぱ、品二にして川一たろこと感すべきに

や。信は取て予が師とし、風俗はをしへて予が弟子となす。されども師が省は精紳微に入、箪端妙をふ

るふ。北ハ幽遠なる眼予が見る處にあらす。予が員俗は夏誼冬詞のごとし、衆にさかひて用る所なし。

只憚国西行0詞0み、か幻そめにいひちらされしあがなるかはぶれごとも、あはれたら詣おほし。後

鳥羽上皇o畳句給ひし物にもブこれらは玖にまことありて、しかもかなしびをそふろとのたまひ侍り

;

-。‥,38as

3S7

堂上の欄干によればご二上、水荒は左右にわかれて、其間に十二嶺o影をひたす。とかくいふほどに

月も三竿にして、黒雲0中にかくれたれば、いづれか鏡山といふことをわかす。されどあるじの具を

モヘて、折/Λ雲のかき心こそと、客をもてなせるこxろざしいと切也。やがて其月○雲をはなる4

ほど。水面に玉塔oかけをく戸谷そ、あらたに千穀悌の光をそふ。まことやいざよひの空を世の中に

かけて、かたぶく月のをしきのみかぱとは、京極黄門の歎息のこと莫なるを、我はこよひしも此堂に

逍びて、そこび息心借柘の。衣をうるはず。無常観想oたよりなら少やといふに、あるじは具に乗じ

て来れる客を、たどさは具盗て敲さんやと、もとの岸上に盃をあくれば、月は横川にかたぷきて、姑

蘇械0鐘もきこゆたるへし。く

      誼 あ け て 月 さ し 人 よ 浮 御 堂      j    ………-。。

      や・すノー4と出。ていざよふ月○雲

一良知大名カて名を異にす。小々良鵠ぞいひ大を背太といふ。北島反哺の孝を讃して、島中の曾子£

比す。或は人尿にゆく人をつけ、銀河に佃をなちべて二星の媒とたれり。或は大年○やどりを知て。

春風を1参り星をあらたぢといへり。雪oあけぽoゝ脈さぶけに、夕に宸庭へゆくなんど。詩歌の才

士も情為るにいひなし。綸にも書れてかzち々茨す。只良治の中にいふ時は其信太也。又汝が罪をか

ぞ声ゐ時は、其信小にして害ま左ハ也。就中やの儲太似性按強魅にし’て、鷲の趨をあなどり舞の丑石

ときことを‘みそれず。肉は鴻嘔の妹恚なく、萎は黄鳥の吟にも似ず、時時は人不正の楓を抱て、かた

・す凶奉をひいて愁をむかふ。里にありては粟柿の棺をあ・し、田野にありては田偏ぃ々費す瑕に辛碑

の努をしらすや。或は雀のかひこをつかみ池の蛙を喰ふ。人の戸をまち牛馬の臨々むさ・ぷりて、絡に

   I              I                     I                 I  j            メ       ■ ぷ〃

いか0鴬にいのちをあやまり、鵜0真似をしてあやまカを偉ふ。是みな汝むさぶること太にして、其

智をせめざるあやまり也贈汝がごとき心貪欲にしてかたちを墨忙染仁る、人にあ1て資皆ぞいふJ憚

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笠  張  臆

草蔀忙ひと洵わびて栽風さびしき折→/Λ、竹取のたくみ杞今ぶ.妙駅が刀をかりて、みづかち竹を

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わり竹を別て、笠つくりの翁とたのる。心むづかならざれは日を経ゐに物うく、工みつたなければ夜

=・-一一/390

゛t 政.

391=4

き入、外ざまに吹かへりなど、荷葉oなかばひらくるに似て、なかくぉかしきすがたな・Q。さらぱ

すみがねのいみじからんより、ゆがみながらに荒しつべし。西行法師0ふじみ笠か、東披居士が雲見笠

か、官城野の露に供つれねば災天の雲に杖をやひかん。あられにさそひ時雨にかたぷけ、そrろにめ

でこ泳に興す、具oうちにして俄に感ることあ・り。J144 9ひ宗祗の時雨ならp‘"‘a' 4.9 Q 44s24

をうろほして、みづから笠0うちに書心け侍る。

     *! L! 4 iQ I! 9 Qに宗祗0やどり費

閉 闘 設

色は君子oにくむ處にして、佛も瓦執のはじめに置くといへども。さすがに捨がたき情oあやにく

に、あ。はれなるかた/″~ぢおほかるべし。人しれぬくらぶの山の梅の下ふしに、おもひの外の匂ひに

染て、しのぶの岡の人めの闘も守人なくば、いかなるあやまちをかしいでクル。あまo子の波の枕に

袖もほれて。家を受身をうしなふがめしもおほかれど、老の身の行末をなさぶり。米銭0中にたまむ

ひをく&しめて。ものふ哨をわきまへざるには、はるかにましてづみゆるしぬべく、人生七十をまれな

りとして、身のさかりなることはわづかに二十飴年老。はじめの老の末れること、一夜0夢のごと

し‐0五十年六十年の齢かたぷくよp、あさましうくづをれて、寄席がちに梱包したろねざめo分別、

1,

何ことをかむさぶる。愚なるも○は思ふことおほし、煩悩壇長して一弥す’t/IQ slものは、是非のすぐ

る?‘eの也。これをもて世のいとなみにあてt貪欲の魔界にこxろを慈し、溝流におほれて生すこ

とあたはすと、南華老仙り只利害を破却し。老若をわすれて閑にならんこそ、老のたのしみといふべ

けれ。人来れば無用の辨あり、出ては他の家業をさまたぐるもうし。尊敬が戸を閉て、杜五郎が門を

價んには。友なきを友とし貧を富りとして。五十年の頑夫みづから書、みづから禁汽となす。

      朝がほや査は斂おろす門0垣

阿野羅集序

392

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 。い……。。。’。ベメー’~

尾陽蓬左、橿本堂主人荷今子、集をあみて名をあら野と云。何故に此名あることをしら少、予はるかに

おもひやるに、一とせ北郷に旅ねせし折くoいひ捨、あつめて多o日といふ。其日影相つyきて春

の日、又世にかyやかす。賓にやきさらぎ、やよひの景色。柳楼のにしきをあらそひ、蜂鳥oおのが

さまぐなる風情につきて、19 ‘‘' &資をそこなふ裂oもあればにや。糸遊oいとかすかなる心の勝

し○有かなきかにたどりて。ひめゆり9なにxもつかす。雲雀0大胞にはなれて、無景のきはまりな

き逍芝のみちしるべせんと、此野の原の野9とはなれるべし。

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          |

 

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鵜  河  序

北陸逍仁行脚して越後凶出雲崎といふ詣にと吐る。かの佐波が島は海の町十八星槍波を隔X東酉三

十五里に樅をりふしたり。峰の嶮錐谷のくまみx・まで.さすがに手にとるばかりあざやかに見わたj

る。むべ此島は黄金おほく出て、あまねく世のたからとなれば、かぎカなきめで度島にて侍るを.大

卸哨敵0たぐひ鏡詫せらるAによりて、只おそろしき名の聞えあるも本意なき事に思ひて。忿おしひ

伊勢紀行叙

紅なし草o花もなく賢もみのらy'z4 5 9 Jt' tl: M 14)0 '。しれる、たはぶれこぞの世こゐを、其角

        j                                                   J   I  I  I I   ♂

 一とせ都o空にたぴねせしころ、向井氏去来のぬしむつまじき契有て、酒のみ茶にかたろをりど!。

甘き。辛々、しぶき、954tji j 9Q Qj5 QWtgstl 4' Qたへて、終に」掬して百川o味ひをしれる

カるべも。こlto秋いもうとをゐて伊勢に詣す。白川o秋風よりかo演荻の諒を側て。―ま句yΛ

のあはれなることども。かたはし書あらはしてわが草の戸の案下におくる。一たび吟じて感をおこし

449び誦して感を忘る。三たびよみて其無事なることをおぽゆ。此人や此這に至れり査せり。

                                  yr・

        西ひがしあはれさひとつ秋の風

鴛  虫  践

草o戸さしこめて物わびしき析しも、たまくみの虫の一句をいふ。我友素翁はなはだあはれがりて

394

 

 

 

 

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をえて、雨士0幸にあづかること。み○むし0めいげくあるに似れり。

虚 栗 集 祓

粟とよぷ一書。其咳四あり。

李杜が心酒をなめて、寒山か法則をすiる。これによりて共句見るにはるかにして。きくに逍し。

佗と風俗0そ0生にあらぬは、西行の山家を尋て人0ひろはぬ蝕粟也。

懸の情つくしえたり。むかしは西施がふり袖の頗こ黄金ハ端心小紫ゞ上陽人の閑0中には、衣桁に蔦○

&4Q4P也。

下の品には眉こもり親そひの娘、娶、姑のたけきあらそひをあつかふ。寺の兄。歌舞の若衆の情をも

捨す。白氏が脊を仮字にやつしぺ初心を救ふたよりならんとす。其話、震動眼賓をわかたす、賓o

鼎に句を煉天龍の泉に文字を冶ふ。是必他のたからにあらす、汝が賞にして後のぬすびとを待。

閑  居  篇

あら物ぐさの翁や、日ごろは人の訪来るもう&さく。人にもまみえじ人をもまねかじと、あま’刄xび

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心にちかふ。なれど月の夜1:の。あしr・ Q 4’文のし、{`はるiもわりなしや。ものどもいはず、びとり

酒oみて心にとぞごろにかたる。庵の戸おしあけて営をながめ、又は盃を取て筆をぞめ筆をすつ?

あら物ぐる]はしの翁やo

      洒のめぱいとS‘’ 4 Jれねよる○雲         。。

自  得  篇

もらふてくらひ。こふてくらひ、飢寒わづかにのがれて、

      めでたき人の散にも人ん年の‘暮

          ■机           諮

 

問なる時は肘をかけて、略焉吹嘘の凱をやしなふ。閑なる時は書を紐解て、聖意賢才0精呻を探り、

舒なる時は筆をとりて、叙素の方寸に入。たくみなすおしまつき一物三月をたすく、高β八寸おもて

二尺。用脚にあめつち二の卦を彫にして、潜龍牝馬の貞にならふ。これをあけて一用とせんや。又二

用とせんや。

           庶閲子求 元範仲冬芭蕉書

 

芭蕉文集 座右の銘

人の短をいふことなかれ。おのれが長を誕ことなかれ。

 

  銘曰

物言へば唇さぶし秋の風

 

芭蕉文集 瓢之銘 山素堂

 

  一瓢重黛山   

   自咲稱箕山

   莫慣首陽餓     

   這中飯顆山

 

顔公のかきほに生るかたみにもあらす、

恵子がつたふ種にしもあらで、我にひとつのひさご有。

是をたくみにつけて、花入る器にせんとすれば、

大にしてのりにあたらず。

さゞえにつくりて、酒をもらんとすれば、かたち見る處なし。

ある人曰く、草庵のいみじき糧入つべきものなりと。

まことに逢の心おるかな。

やがて用ひて隠士素翁(素堂)に乞て、これが名をえさしむ。

そのこと葉は右に記す。

その句みな山をもておくらるゝが故に四山とよぶ。

中にも飯顆山は老杜の住める地にして、李伯がたわぶれの句有。

金をいだきて、黛山もかろしとせんことしかり。

  物ひとつ瓢はかろきわが世かな

 

芭蕉文集 栖 去来(向井氏)

 

 こゝかしこうかれありきて、橘町といふ所に多籠りして、む月きさらぎになりね。風俗もよしや是までにして、口をとぢんとすれば。風情胸中をさそひて、物のちらめくや風俗の庵心なるべし。

家を放下して栖をさり、腰にたゞ百銭をくはへて、柱杖一鉢に命をむすぷ。なしえたり、風情終りに菰をかぷらんとは。            ‐

芭蕉文集 鄙歌

 

おもふことふたつのけたる其跡は花の都もゐなかなりけり

あみざこを升にはかりてかふ人はうる人よりもあはれなりけり

 

芭蕉文集 興或人文

 

大和國長尾の里といふ處は、さすがに都遠きにあらず、山里にして山ざとにあらす。あるじ心あるさまにて、老たる母のおはしけるを其家のかたへにしつらひ、庭前に木草のおかしけなるを栽置て、岩尾めづらかにすゑなし、手づから枝をため石を撫ては蓬莱の島ともなりぬ。いく藥とりてんよと老母につかへ、なぐさめなどせし實ありけり。家まづしくして孝をあらはすとこそ聞なれ。まづしからすして孝を盡す、古人もがたきことになんいひける。

  多しらぬ宿や籾する音あられ

 

芭蕉文集 吊初秋七日雨星文

 

元禄六文月七日の夜、風雲天にみち白浪銀河の岸をひたして。鳥鵠も橋杭をながし。一葉梶を吹析けしき二星も屋形をうしなふべし。こよひ猶たゞに過さんも残りおほしと一燈をかゝげ妙そへる折から、遍照小町が歌を吟ずる人有。これによりて此二首を探りて、雨星のこゝろをなぐさめんとす。

 こまちがうた

  高水にほしも旅ねや岩の上

 遍照が唄

  七夕にかさねばうとし絹合羽 杉風

 

芭蕉文集 雲竹讃

 

洛の桑門雲竹、みづからの像にやあらん、あなたの方にかほぶりむけたる法師を畫て、これに讃せよと申されければ、君は六十年あまり、予は既に五十にちかし。ともに夢中にして夢のかたちをあらはす。是にくはふるに寝言をもつてす。

  こちら向け我もさびしき秋の暮

 

芭蕉文集 杵折

 

此杵のをれと名付るものは、上つがたにてめでさせ給ひ、めで炭扶桑の寄物となれり。汝いづれの山より出て、何国の里の賤が砧むかたみなるぞや。むかしは樅槌たり、今は花入と呼て、貴人頭上の具に名をあらたむといへり。人また斯のごとし。高きにゐておごるべからず、ひきゝにに在て恨むべからず。たゞ世の中は横づぢなるべし。

  此のつちのむかし捧か梅の木か

 

芭蕉文集 卒塔拠小町賛

 

あなたふとふと簔(みの)もたふとし、笠もたふとし。いづれの人がかたり傅へ、いかなる人がうつしとゞめて、千載のまぼろし今こゝに現す。其かたちある時は、たましひもまたこゝにあらん。みのもたふとし、かさもたふとし。

  たふとさや雪ふらぬ日も簑と笠

 

芭蕉文集 歌仙讃

 

伊豫国の松山の嵐、ばせをの洞の枯葉を吹て、其聲歌仙を吟ず。噫琴々■々たる風の音玉をならし。金鐡のひゞき、或はつよく或は和らかに吹て、且つ人をして泣しめ人に心をつく。只これ天竅自然の作者、芭蕉は破れて風瓢々。

 これは、雲しやれて翁閑けん芭蕉洞 井 海と云句にて、一巻を送りし時の嘆美なり云々

 

芭蕉文集 西行上人賛

 

すてはてゝ身はなきものとおもへども

  雪の降日はさぶくこそあれ

  花のふる日はうかれこそすれ

 

芭蕉文集 骸骨賛

 

みな・人のこれをまことのかたちぞとしからば此身がすぐに極楽

 

芭蕉文集 東順傳  

 

老人東順は榎氏にして、其祖父江州堅田の農士、竹氏と柳す。榎氏といふものは晋子(其角)が母方によるものならし。ことし七十歳二とせの秋の月を、やめる枕の上にながめて、花島の惰露をかなしめるおもひ、

かぎりの床のほとりまで神みだれす、終にさらしなの句をかたみとして。大乗妙典の臺にかくる。若かりし時を學びて恒の産とし、本多何某の君より俸銭をえて、釜魚甑塵の愁すくなし。されども世路をいとひて。名聞の衣を破り、杖を折て業をすつ(捨てる)。既に六十年のはじめ也。市店を山居にかへて、たのむ處筆を放さず、机をさらぬとと十年餘り、其の筆のすさび車にこぽるがごとし。湖上に生れて東野に終をとる。是必大隠朝市の人なるべし。

 

  入月の跡は机の四隅かな

 

芭蕉文集 嵐蘭誅

 

金革を褥(しとね)にして、敢てたゆまざるは士の志也。文質偏ならざるをもて、君子のいさほしとす。

松倉嵐蘭は義を骨にして實を腸にし、老荘を魂にかけて、風雅を肺肝の間にあそばしむ。予とちなむこと十とせあまり九とせにや、此三とせばかり官を辞して。岩洞に先賢の跡をしたふといへども。老母を荷ひ稚子をほだしとして、いまだ世波にただよふ。されども榮辱の間におらす、日々風雲に坐して、今年仲秋中の三日由井、金澤の波の枕に月をそふとて、鎌倉に杖を曳、其帰るさより心地なやましうして終に息たえぬ。同じき廿七日の夜のことにや。七十年の母にさきがち七歳の稚子におもひを残す、いまだをしむべき齢の五十年にだにたらす。公の為には腹おしきりても、悔まじき器のはかなき秋風に吹しほたれたる、草の袂いかに露けくも口をしくも有べき。今はの時の心さへしられて悲しきに、老母のうらみ、はららのなげき、したしきかぎりは聞つたへて、ひとへに親族のわかれにひとし。過つるむ月ばかりに、稚子が手をとりて予が草庵に来り、かれに號えさすべきよしを乞。王我五歳のまなこざしうるはしと、戒の一字をつみて蘭我と名づく。其悦る色今目のあたりをさらず、 いける時むづましからぬをだに、なくてぞ人はとしのぽゝならひ。まして父のごとく子のごとく。手のごとく足のごとく、年ごろいひなれむつびたる俤の愁の袂にむすぽゝれて、枕もうきぬべきばかり也。筆をとりておもひをのべんとすれば才つたなく、いはんどすれば胸ふたがりて、只おしまづきにかゝりて夕の雲にむかふのみ。             

 

  秋風にをれてかなしき桑の杖






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最終更新日  2021年05月31日 06時45分44秒
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