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2021年06月16日
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カテゴリ:松尾芭蕉資料室

 

高山傳右衛門(糜塒) 松尾芭蕉の俳諧指南

  

天和元年(一六八一)の書簡

 

五月十五日 松尾挑青 

    高山傳右衛門様

 

  貴恭添致拝見先以御無爲被成御座候珍重奉存候。

私無異儀御在候、

仍両得巻致拝吟候。

尤感心不少候共古風之いきやう多く御座候間

一句の風流おくれ候様に覚申候段近頃御尤。

先は久カ爰元俳諧をも御間不申候、

其上京大阪江戸共に

俳諧殊之外古く成候而皆同じ事のみに成候。

折ふし折々思入替候を

宗匠と申す者もいまだ三四年己前の俳諧になつみ、

大かたは古めきたるやうに御座候。

一日學者猶俳諧にまよひ。

爰元に而も多くは風情あしき作者共みえ申候。

然る處に遠方御へだてと両此段御のみこみ

無御座御尤至極に奉存候。

王句之内三四句も加筆仕候。

句作のいきやぅあらまし如此に御座候

 

一句前句に全體はまる事古風中興共可申哉

  俗語の逡ひや5風流なくて。叉古風にまぎれ候事

 

一句細工に仕立候事不用之事

 一

古人の名を取出て何ゝの白雲などゝ云捨たる事第一古風に而恨事

 一

  文字あまり三囚字五七字除りに而も句のひびき候へば

一字と而も口にたまり候を御吟味可有候事

 

子供等も自然の哀催すに

   つばきと暮て覆盆子刈原        才丸

    賤女とかゝる蓬の戀         同

よこし摘あかさか園に垣間みて

今や都はを喰ふらむ        其角

夕端月蕪は葉ごしに成にけり     

といはれし所杉郭公         同

心野を心にわける幾ちまた

    山里いやよのがるゝとても      町庵

    鯛売聲に酒の詩を賦す        愚句

    葛西の院の住捨しあと

    ずゐきの戸蕗壺の間は霜をのみ     同

 

本式俳諧之次第

 

初折の面十句

   但し面十句之内名所一つ必出すなり

一 

名残のうら六句なり

}一

花は先四本五六七八も有之面に

花をひとつづゝしてもくるしからす

」一

月は五句去にいくらもあるべし

 

雪月花郭公寝覚是五色の内いづれも二句去なり

猿と檜原山類に用ふ。

往古の式には初祈の面十句之内何れも賦物をとる。

一順のはじめに献物を書つくすなり。

其後はむづかしき故に發句斗りにふしものをとれるなり

降ものとふりものとの間二句

五句のもの三句々々の物は二句去

七句去のものは十句去なり

  右あらまし如此

みゆ ウクスツヌフムルシ

 

 むかふの山に雪のたつみゆ

   あれなら海に舟をこくみゆ

   花の垣根に胡蝶とふみゆ

下の句つづ留り

  大やうものを二つ言ならべてとまるべし

  たとえば

   右も左も袖はぬれつゝ

また

   二艘のふねを漕流しつゝ

又ものゝかぎりなき心にもあり

  譬ば

  たえす深谷の水流れつゝ

 一

上の句つゝ留

   是難儀大切なる手爾波なりとて先建も多くはせざるなり

  讐ば

   散花は筏に波にかがしつゝ

  此上の句の留も下の句のつづどまりとしたての心相似たり。

物を二つにいふと又かぎりなき思入などにてとまるべし

 一

下の句で留

  前句の上の句の五文字に、さればこそ心こそなどある時

下の句にててしと留るなり。

また前句にもかまはすしててどめあり

  譬ば   ラリルレロ

  此五文ての字の上におくなり

   花のにほひは袖にとまり

   ものおふとは色にしられ

下の句に留

  譬ば

 前句上の句五文字にかさなりてつらなりて

など有る時にと留るなり。

また前句にもかゝはらかと

  留るあり

  譬ば

   涙は袖に夥はたもとに

   花は園生に霧はまかきに

  右二つ手本なり。

是山を見る玉を見る王を見るといふ手爾遠なり。

一大事の秘傅あなかしこあなかしこ

  右山玉の字を坐の句のかしらにおくなり

大まはし登句

  譬ば                                    リ

   稲莚敷歌蔦の道草の種

  或は三段切、かさね切らん留、をまはし、五文字切、

但し座の五文字なり

脇てには留

  腰に韻字をすえてあ6なり

」一

第三韻字留

  前句の五文字にかゝらず長高くして一句(たしか)にとまる。

同第三のてにて留巾内。あるひはらんらんは

常の事のやうに候へども口傳あり。

叉もなし留に留前の句のあひしらひによりあるべし口傳あり

 一

二字のらん留

 にほひのみ花は震に晩ぬらん

  雪いと高しふみ迷ふらん

右口傳

  過現未三つのし文字

  現在のし

   山遠し  水高し

  過去

   過し 見えし 數へし

未来

去りぬべし来たるべし

 一

こそかゝへ手邇波 ヘケセンメ

下の向こそとめ  ニバ

下の句上の句もの宇の留

   野も山も、山も麓も雪もあられも、

   等(など)とも文字を二つに對していへば留るなり

 

花に櫻付やう

  是別て祀する事に侍る。

前句の花。花がつを、花の袖などゝいうたらば、

櫻を付けて苦しからす。

前の花別のものなるゆゑに、

叉たとへ木花に仕立たる句なりとも、

名字の付たる櫻を付候にゞくるしからす。

乍去此分にても不功者の人ならば付けはだへ

相違あらんかと覚なし。

功者ならでは、いかが

 

上の句やど言て下にでと留る事

とかく口あひのやならばとまるべし。

譬へばその原や近江路やなどゝ

名所にかゝるや文字にてと留る事は

大かたの人存じたる手爾波なり。

叉はの字に通ふやあり是にててと留るなり。

或はや文字なら少ともか文字などにて

うたがひの字にてもおさへ字にならひあり留る事なり

 

  右萬々先聖の秘しおかれたまへる事どもなり。

とくと心にをさめ手に握るごとくにても、

大事のて爾遠波などをばせぬが迷俳のいのちなるべし。

なるべし。






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最終更新日  2021年06月16日 12時54分40秒
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