カテゴリ:松尾芭蕉資料室
○句空 芭蕉翁を尊む説
資料 『奥の細道詳解』「逸話集」岩田九郎氏著 昭和五年 発行 至文堂 一部加筆 山口素堂資料室
句空は金城卯辰山に住して、庵を柳陰軒といふ。 蕉門に深切の風士なり。抑々蕉翁の門人となりてよりこのかた、朝夕翁を念じて三拝す。かくまでに師の恩を忘れざるもの、餘人にいまだ聞申。翁もかつていつくしみ給ひ、義仲寺にての旅寝の吟を、句空が兼好の画賛して、 秋の色ぬかみそ壷もなかりけり 芭 蕉
とは残されぬ。此句は兼好のつれづれ草に見えたる、 世を捨て人は浮世の妄愚をはらひ捨て耀 糂沙瓶一つも持つまじぎものといへるの心をとりて、秋風吹盡して草木零落の時に至り、天地一の塵埃なき抖撤(?)撫の身のきさんじを述べ給へるものならし。もとより此柳陰軒には、翁も旅寝の杖をとゞめ給ひ、いと睦じくかたらひ給ふ。
句空の作に、 せっかくとゆかしがらせよ月の雨 句空 藤咲きて庵のやうになかりけり 同 (俳諧世説巻四)
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最終更新日
2021年09月06日 06時42分15秒
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