カテゴリ:松尾芭蕉資料室
○芭蕉翁、加州全昌寺一宿の説(大聖寺)
芭蕉翁、奥の細道のうち、加州大聖寺の仝昌寺といふ寺にて、
庭掃いて出つるや寺にちる柳
この句は殊に故ある句なり、其の前夜、曽良この寺に一宿すゆえに曾良を称してかく申されぬと覚ゆ。 世論徳行篇に、郭林宗は方正の士にして、逆旅にやどる事あれば、かならず其の掃除して過行く、其の跡に来りたる旅人、此のありさまを見て、則ち夜前郭林宗が宿りたる事を知るといへり。芭蕉翁この故事をとりて、ちる柳に対して、夜前曾良がやどりたる跡を感慨ありしと、是を趣向にとりたる句なるべし。 俗中の説に、曾良は山中にて翁の気にたがい、それより引き別れたるな どいふ者あれど、翁の此の句意、其の外互に餞別の句などをもて考ふれば、かつてそむきたる事なし。なをくはしき事は、細道の書にゆづりて略す。
若緑に翁塚にて
をがみふして紅しぼる片のごひ 曾良 (俳諧世説第二) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2021年09月06日 06時48分47秒
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