山梨県歴史文学館　山口素堂とともに

芭蕉の俳句　アの部（２）

俳書大系　『芭蕉 蕪村 一茶 全句索引』

　　　勝峰普風氏著　昭和四年刊

　　　一部加筆　山口素堂資料室

　　　　アサナ　朝な

（類聚）　朝な／＼手習すゝむきりぎりす

アサム　朝睦

（類聚）　あさむつや月見の旅の明はなれ

（其袋）　あさむつや月見の旅の明はなれ

アサヨ　朝よさ

（類聚）　あさよさを誰まつしまぞ片ごゝろ

（桃舐）　あさよさを誰まつしまぞ片こゝろ

（廿五）　朝よさを誰松嶋ぞ片ごゝろ

（三冊）　朝よさを誰松しまの片心

（寂栞）　朝よさを誰松嶋ぞかたごゝろ

アシノ　芦の

（類聚）　芦の穂やかしらや．■羅生門

アスハ

（類聚）　あすは粽難波の枯葉夢なれや

アセミ　汗水

（類聚）　汗水や吉野どまりの笈山伏

アソピ

（類聚）あそび来ぬ魨釣かねて七里迄

アチコ

（廻米）　あちこちや面々さばき柳髪

アヂサ　紫陽花

（類聚）　紫陽花や帷子時の薄浅黄

　（睦衛）　紫陽草や帷子時の薄浅黄

　（類聚）　紫陽花や藪を小庭の別坐鋪

　（集成）　「紫陽花や藪を小庭の」の連句

　（別座）　「菊陽花や藪を小庭の」の連旬

　（古太）　「菊陽花や藪を小庭の」の連句

アツキ　暑き

（類聚）　暑き日を海に入たり最上川

　（奥細）　暑き日を海にいれたり最上川

アツミ

（類聚）　あつみ山吹浦かけてタすゞみ

　（奥細）　あつみ山や吹浦かけて夕すゝみ

　（晨日）　あつみ山吹浦かけてタすゞみ

　（韻塞）　あつみ山吹浦かけて夕すゞみ

　（宇陀）　あつみ山やふく浦かけて夕すゞみ

　（集成）　あつみ山や吹浦かけて）の連句

　（ばせ）　東路の手隨耻かし床すゞみ

　（卯辰）　あなむざんやな甲の下のきりぎりす

　（花實）　あなむざんやな甲の下のきりぎりす

　（集成）　あなむざんやな甲の下の）の連句

アノク

（類聚）　あの雲は稲妻をまつたよりかな

　（曠野）　あの雲は稲妻を待たより哉

　（睦奥）　あの雲は稲妻を待たより哉

　（寂葉）　あの雲は稲妻をまつ便りかな

　（古學）　あの雲は稲妻をまつたより哉

　（古學）　あの雲はいなづまをまつたより哉

アノナ　あの中

（類聚）　あの中に蒔繪書たし宿の月

　（更科）　あの中に蒔繪かきたし宿の月

　（水篶）　あの中に蒔繪書たし宿の月

アハヒ　粟稗

（類聚）　粟稗にまづしくもなし草の庵

　（笈日）　粟稗のまづしくもなし草の庵

　（麻刈）　粟稗にとぼしくもあらず草の花

　（集成）　「粟稗にとぼしくもあらず」の連句

（秋日）　「粟稗にとぼしくもあらず」の連句

アフギ

（類聚）　扇にて酒くむかげやちる櫻

　（笈小）　扇にて酒くむかげやちる櫻

アフミ　近江

（類聚）　近江蚊屋汗やさゝ波夜の床

アマノ　海士

（類聚）　海士の顔先見らるゝやけしの花

　（笈小）　海士の顔先見らるゝやけしの花

　（虚粟）　海士の顔先見らるゝやけしの花

　（類聚）　海士の家は小海老に交るいとゞ哉

　（猿菱）　海士の家は小海老にまじるいとど哉

　（去来）　海士の家は小海老にまじるいとゞ哉

アメヲ　雨

（類聚）　雨折々思ふ事なき早苗哉

（ばぜ）　雨おり／＼思ふ事なき早苗哉

アメノ

（類聚）　江鮭あり屯やすらり富士の湖

　（類聚）　雨の日や世間の状を堺町

アメハ

（集成）　「雨はれて栗の花咲く」の連句

アヤメ

（類聚）　あやめ生り軒の鰯のされかうぺ

　（ばせ）　菖蒲生けり去年の鰯の関頭

　（類聚）　あやめ草足にむすぱん草鞋の緒

　（奥細）　あやめ草足に結ん草鞋の緒

アユノ　鮎

（類聚）　鮎の子の白魚送る別かな

　（績猿）　鮎の子のしら魚送る別哉

　（伊達）　鮎の子の白魚送る別かな

アラウ　荒海

（類聚）　あら海や佐渡によこたふ天の川

　（奥細）　荒海や佐渡によこたふ天河

　（文集）　あら海や佐渡に横たふあまの川

　（其袋）　あらうみや佐渡に横ふ天川

　（勧進）　荒海や佐渡によこたふ天の川

　（本朝）　あら海や佐渡に横たふ天の川

　（頬柑）　あら海や佐渡によこたふ天川

　（青根）　あら波や佐渡に横たふ天の川

　（新虚）　あら海や佐渡に横たふ天の河

　（寂栞）　荒海や佐渡へ横たふ天の川

　（はた）　あら海や佐渡に横たふ天の川

アラガ　

（類聚）　あらがねの土よりおこる火桶かな

アラシ

（類聚）　嵐山薮の茂りや風のすじ

　（嵯峨）　嵐山藪のしげりや風の筋

　（落柿）　あらし山蔽のしげりや風のすじ

アラタ

（類聚）　あらたうと青葉若葉の日の光

　（奥細）　あらたうと青葉若葉の日の光

アラ・ナ

（類聚）　あら何ともなきのふは過てふくと汁

　（宇陀）　あら何共なぞ昨日は過て河豚魚汁

　（集成）　「あら何ともなやきのふは過ぎて」の連句

アラレ　霰

（集成）　「あられかとまたほとかれし）の連句

　（類聚）　あられきくやこの身はもとのふる柏

　（類聚）　でぜば網代の氷魚を煮て出さん

　（華摘）　あられせば網代の氷魚を煮て出さん

（寂栞）　あられせよ網代の氷魚な煮て出さん

　（類聚）　霰まじる帷子雪はこもんかな

アリア　有明

（類聚）　有明も三十日にちかし餅の音

　（三舒）　有明も三十日にちかしもちの昔

アリガ　有難き（や）

（類聚）　有がたきすがた拝まん杜若

　（書翰）　有難きすがた拜まんかきつばた

　（類聚）　有難やいただいて踏む橋の霜

　（類聚）　有がたや雪を薰らす南谷　

　（奥細）　有難や雪をかほらす南谷

　（集成）　『有難や雪をめぐらす』の連句

　（華摘）　『有難や雪をめぐらす』の連句

アリト

（笈日）　有とあるたとへにも似ず三日の月

　（麻刈）　有とあるたとへにも似ず三日の月

アレア

（集成）　「荒／＼て末は海行」の連句

（集成）　あれ／＼て末は海行」の連句

（笈日）　あれ／＼て末は海行」の連句